たのしみ
嬉しかった。私を一人の〈人〉と見てくれる人がいてとても嬉しかった。
私の班はあの七人グループだ。運が良かったのかもしれない。
「次は班長を決めたいと思います。班長が決まったら副班長。という感じに進んでください。終わったら報告してください」と先生が指示を出した数秒後「私、やりたい!」と遥ちゃんが真っ先に手を挙げた。
「じゃあ、決定だな」
班の中に一人だけこういう人がいると助かる。
「次は副班長」
「どうする?」と訊いた時、しんとした。
数分後「じゃあ、俺、やるわ」淳司くんが手を挙げてくれた。
「おー! ナイス!」
私にもこういう勇気があればいいのに、と心の中で思う。
「次は地図係だね」
「じゃあ、やる」と明くんと光くんが同時に言った。
「あと残っているのが……保健係と時計係だから……二人余ることになるんだよね」と私は言った。
「じゃあ、この二人でいいか?」と慎二くんが確認する。
「地図係は明くんと光くんで決定だね」
慎二くん、凄い。私が考えていたことを分かっていた。私は余りを無くしたかったからこういうことをしたいな、と思っていた。もう、過去のような体験をしたくない。たとえ夢でも二次元でも。
「次は保健係だな」
「私がやる」と由依ちゃんが挙げた。
「決定だね」
どんどん決まる。
「残った私達が時計係だね」
「うん」
こうして役割は決まった。
六月──
朝は快晴だったのに放課後になると突然の雨。朝、晴れてたから当然傘は持ってきていない。
びしょ濡れになりながら帰るのか。そう考えていて歩こうとした時、「入る?」と慎二くんが傘を持って言った。
嬉しいけれど気まずい。
「気にしてくれてありがとう。だけど大丈夫だから」と私は断った。
「風邪ひくけど?」
「大丈夫、大丈夫」
私が歩こうとしたその時、慎二くんに肩をグイッと引っ張られた。
「駄目。風邪ひくと困る」
こ、困る……?
慎二くんは私を無理矢理傘に入れた。
そこまで心配する? と思ったが嬉しかった。
長い梅雨が明け、七月になった。
今日は運命の席決め。慎二くんの隣になりたい。
お願いっっ! と祈る。
結果、運が良かったのか隣になれた。
「結月。隣だな」
「うん!」
席はこんな感じだ。
明 由依
慎二 結月
光 遥
淳司 クラスメイト
七月といえば夏休みだ。もう少しで夏休みが来る。だから今、みんなでどこに行くか考えている。
「夏休みどこに行く?」
「海とか?」光くんが最初に提案した。
「えー。日焼けしちゃうじゃん」と遥ちゃんが不満な顔をして言った。
「うーん」と明くんは考え「じゃあ水族館はどうだ?」と言った。
涼しいので最適だ。
「え⁈ 行きたいー!」「私も!」「俺も」とみんな言った。
「じゃあ、決定だな!」




