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ありがとう

 今日は訳あってぼっち飯。何があったのかと言うと由依ちゃんが休み。遥ちゃんは先生に呼び出しを受けたからだ。

男子と食べるのは気まずいのでひとり、木陰で食べることにした。

 母が愛情を込めて作ったお弁当。だけど味が薄い。アニメや漫画でしか見た事がなかったぼっち飯。一人で食べるってこんなにも味がしないし、寂しいんだ。と感じた。

屋上には慎二くん達がいる。

私はそこをぼうっと見た。

「あ」

慎二くんと目が合った。私は思わず目を逸らした。

 目が合った。

あれは、きっと結月だ。何故一人で食べているのだろうか。淋しくないのだろうか。

「ごめん! 抜ける!」と俺は言った。

「何で?」と淳司に言われた。本当の事を言う訳にはいかない。いや、言ったら言ったで気まずいし。

「えーっと、用事を思い出した」と誤魔化した。

上手く誤魔化せただろうか。少し不安に思ったがそれどころではない。結月が……

「大事なんだろ? 今すぐ行って来なよ」と光は俺の用事の内容を分かっている言い方をした。

「結月!」

「慎二くん……? なぜここに?」

まさか、私が一人で食べているところを見たから……?

「それはこっちの台詞」と慎二くんは言った。

「色々事情があって……」

私は由依ちゃんと遥ちゃんがいないことを話した。

「そっか。だったら一緒に食べよう」

この会話を光くんと淳司くんが見て、聞いていた。

 私は「うん。ありがとう」と言い、「好き……」とぼそっと呟いた。

「聞こえてる」と慎二くんは微笑みながら言った。

私は辺りの景色を見ていた。すると「いただきっ」と慎二くんは、私の弁当に入っていたエビフライを箸でつまんだ。

「ちょっと。それ、大好物なんだよ」と慎二くんの弁当に入っていたミートボールを食べた。

「食べ物交換だな」

「うん」

私と慎二くんは笑いながら言った。


 テストが返された。

休み時間、私は慎二くんの席に行き、今回のテストについて話した。

「やば……あこれ怒られる系かも……慎二くんは?」

慎二くんは何も言わなかったが、やばそうな顔をしていた。

「勉強しないと……だけどやる気が出ないんだよねー」

「勉強会開く?」と慎二くんが提案してくれた。

すると、その話を盗み聞きしたのか「おっ。いーなー!」と光くんが話に入ってきた。

「勝手に会話に入るな」と淳司くんが止めた。

「ごめん。ごめん。じゃっ、二人で楽しんでねー」と光くんは自分の席に戻ろうとした。

すると、慎二くんが光くんの肩をぐいっと引き「光。勉強会なんだからもっと人数必要だろ。嫌ならいいけど入って」と言った。

「いいのか? 本当に」

「うん」慎二くんは笑った。

慎二くんの笑顔は前よりも自然な笑顔だった。


 今日はテスト勉強会だ。まず数学がとてもひどい。

見たくない数字だ。

全体順位は二桁取ると母と約束したのに。

はあ。だるいけど推しである慎二くんの笑顔でどうにかなるだろう。

タイミングよく、慎二くんが来た。

「結月。おはよう」

「おはよー。あのさ、テストの結果見せて」

少し気になった。

「え、あ、うん。いいよ」

全体順位も男女別順位も二桁で、上位。凄すぎる。

「すご……」と私は声を漏らした。

「そうか?」

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