たのしいね
朝、私は「おはよー」といつも通りに挨拶をした。
「おはよ……」とみんなは掠れた声で言った。
みんな元気が無いなと思い、目を見ると隈ができていた。
私は「だっ、大丈夫⁈」と心配したが「だいじょうぶ……」と絶対大丈夫ではない答えが返ってきた。
「どう見ても大丈夫な訳無いでしょ!」と私は強く言う。
「ってか寝不足?」
「トランプやり終わって寝ようとしたけど中々眠れなくて。で、寝たのが大体四時くらいかな」と遥ちゃんが言う。
「私ぐっすり寝てた」私はグッドサインを出して言った。
「すご……」
時計を見ると九時を指していた。チェックアウトは十時だが、帰りの電車が無いので、九時ごろに出ると決めたのだ。
「もう時間だね。帰るか」
私達は宿を出た。
私は思い出した。三連休だったことを。
慎二くんに会いたいから予定を入れようとした。
丁度テストが近いので、みんなで勉強しよう。そう思い、私はチャットを開いた。
結月「みんなって今日暇?」
光「暇だよー」
結月「じゃあ、テスト勉強しない?」
慎二「いいね。誰の家でやるか?」
結月「私の家来る?」
全員「了解」
ぴーんぽーんとインターホンが鳴り「こんにちはー!」とみんなの声が聞こえる。
「はーい」
返事をしてドアを開けると、私服がかっこいい慎二くんたちがいた。他の人もおしゃれな服を着ていた。
服装はとてもシンプルだ。シンプルだけどかっこいい。
「あっ、じゃあ入って」
「お邪魔しまーす」とみんなは言って中に入った。
「あれ? 結月の部屋はどこ?」
「私の部屋は二階にあるよ」
階段を登っていく。
私はドアを開けて「ここだよ」と言った。
「き、綺麗……!」
自分では綺麗だと思わないが、よく家族や友達に綺麗と言われる。自慢ではない。
「そう?」
「めっちゃ綺麗だよ!」と真剣な口調で遥ちゃんは言う。
本当に綺麗なんだな、と私は実感した。
「これってどう解くんだっけ?」淳司はペンを回しながら言う。
「これがこうで、こうして、こうすれば解けるんじゃないかな……」と私は教えた。
「うわ。解けた。凄すぎ……」
「結月って意外と頭良いんだな」と慎二くんが言ったので、私は「“意外と”が余計」と笑いながら言った。
そうだ。おやつがあるんだ、と私は思い出し「おやつ取ってくるね」と言い、部屋を飛び出していった。
*
「ってか結月さんとどういう関係なんだ?」と唐突に光が言った。
「友達以上恋人未満かな。ってか何で下呼び?」と俺は頑張って隠した。
「だから名前呼びなんだな。下呼びは……何でもいいだろ」
「確かに……な」
「付き合っちゃえば?」と光は軽く言った。
「そこまでは……」なぜか恥ずかしい。
「好きなんだろ?」
俺は黙りこんでしまった。
こんな時、なんて言えばいいのか。素直に「好き」と言うか、「別に」と言うのか……あとは「実は付き合ってた」と暴露するか。結月だったらどうするのだろう。




