ふたりだけのひみつ、だよ?
トイレ行きたいな、と思ったがやめようとした。
トイレに行くには男子グループが寝てる部屋に一回入らないといけない。
想像する。
ゆっくり。ゆっくり。心の中で唱え、慎二くんの寝顔を見る。
「はぁっ!」
「結月⁈」
絶対勘違いされる。
だけど耐えられない行くしかない!
布団をめくってさあ出発。
布団から出て、ゆっくりとふすまを開ける。まだバレていない。
現在地はやっと慎二くんの頭上だ。
歩きながら寝顔を見よう、と思いちらっと観た。
(と……尊い‼︎)
すると、ドンッと何かにぶつかってしまった。
「ん?」
バレてしまった。
慎二くんは目を擦りながら私を見た。
(こっち見ないで……死ぬ……)
「ゆ、結月⁈」
「え……あの、トイレ行きたくて……」
「そっか」
「じゃあ行ってきます!」と私は話を切り上げ、逃げた。
「ヤバい。あの目で私を見ないでくれ……死ぬ」とトイレにこもって呟いた。
トイレ済ませたから寝ようと思い、戻ろうとしたその時、「結月。ここ行こう」と慎二くんに声をかけられた。
「ここって……夜鳴きそば⁈ こんな時間にやってるの?」
今の時間は二時だ。
「三時までって書いてある」
「じゃあこっそり食べに行く?」
「うん」
「着いた」
「まだやってる! やったー!」
「いただきまーす」と言い、口に麺を近づける。
「あっつ!」
「大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。私猫舌なんだよね」
そう、私は猫舌だ。
すると、慎二くんがふーっと冷ましてくれた。
「やめてぇー!」と顔が紅くなる。
普通に無理だ。推しの息が食べ物に付着するから。汚い意味で言ってはないが、無理だ。
「大丈夫だから」と私は言う。
「本当に?」と慎二くんは私を疑った。
疑う目かっこよすぎと思いながら「うん。本当に大丈夫だから」と私は言った。
閉店ギリギリで食べ終わった。
部屋に入った時、「あれ? 二人とも。どこいってたんだ?」と光くんは目を擦りながら言った。
「お腹減ったから食べに行っちゃった」と私はあははと笑った。
「ずるいなー」
「あはは」と今度は慎二くんも笑った。
「ってかなぜ起きてるんだ? しかも全員」と慎二くんが質問する。
私も疑問に思った。
「二人がいなかったから」と光くんがとても簡潔に言った。
「まず、前のことを話すと……」と淳司くんが説明してくれた。
トイレ行きたいな。と俺は思った。
起き上がった時、慎二がいなかった。
「え⁈」と驚きのあまり声を出してしまった。
「で、全員起きて……今の感じになったってこと」
「わお……ごめん……」
「目覚めちゃったしアレやるか?」と光くんがにやりと笑いながら言う。
「だからアレって何のことだよまた枕投げか?」と明くんが言う。
「いいや、今回は枕投げじゃない!トランプだ!」と光くんは人差し指を上に向ける。
「大人数トランプ……めっちゃ楽しそう!それにしよう!」
「いいね!」と遥ちゃんと由依ちゃんが言った。




