脅威の前兆
『いきなりこんな手紙を書いてごめんね。
昨日の朝からリリーの顔を見かけないから、みんな心配しています。
気持ちの整理がついた時は、顔を出してくれるだけでも安心します。
僕やカサブランカも、いつでもリリーが戻れるような環境を作っておくからね。
話は変わりますが、カリスのことは聞きました。
僕も最初聞いた時は驚いたけれど…事情を察した時はなんとも言えない気持ちになりました。
サルビア。リリーは『復讐』関連の話題を今特に聞きたくない時期だとは思いますが、きっと僕はサルビアを始末して見せます。
それはカリスの仇をとる目的もありますが、次いで被害者を出さないための戦略のつもりです。
ちなみに言うとサルビアは今精神崩壊を起こして廃人状態です。
それはおそらく数々の裏切りや失敗の結果だと思われます。彼女も必死に生きているのだなと痛感します。
でも僕らも必死に生きています。
次の夜明けの晩が過ぎたら、僕はこのゲームで最後の復讐を実行します。
亡くなったカリスの想いは無駄にしない。きっと、きっと救って見せるから。
アス』
アスからの手紙が、部屋の扉の隙間から姿を覗かせていた。
ダイヤちゃんがそれを引っ張って持ってくる。
閉じたカーテンの隙間から差し込む陽光が、薄く部屋に色をもたらす。
「はぁ…」
何気にもう昼過ぎだ。
朝からずっと部屋の隅でしゃがみ込んでいた。泣くでもなく、ただ俯いて足の指先を見つめていたのだ。
たまにダイヤちゃんが顔を覗きに来るが、基本的には私の隣に寝転んでいる。
明日は夜明けの晩。
もうゲームは、とっくに後半に突入していた。




