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愚者の心臓・蜂娘 〜蜂をナデナデする話〜  作者: ✨️ゲーミング百合✨️
5面:スラスラスター 〜ぷるぷるゆれるおほしさま〜
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Final Boss:最後の戦い 〜緑の闘志と銀の援軍〜


▲▲▲▲▲▲▲▲



 [11ターン目] 反転世界は静けさを取り戻す。



アオサ:「えーと、もう食べて良いのかな?」


 龍の体は静かに漂う。


 高速道路のように長い黒金の背中にアオサが直立する。


 両手で毛細血管を動かして、食欲を持て余しているのだ。


ジヒナ:「ア、アオサ、止めといたほうがいいんじゃ?」

シェード:「お腹壊しても知らないの! …あれっ、身体が自由に動くの!」ぶんぶん


 ユイキリから解放されて嬉しそうだ。


 そしてアオサの食欲が危機感を上回る


アオサ:「いただきまーす」ずずずずず


 毛細血管が龍の全てを覆い、真っ赤な繭になる。


   ごくっ ごくっ ごくっ♪


 アオサの心臓が喉のように鳴る。


アオサ:「んん〜マンゴージュースみたい♪」ごくごく


 思わぬ甘味に笑みがこぼれる。



  ごくごく ごくごく ごくごく ごくごく


  ごくごく ごくごく ごくごく ごくごく


  ごくごく ごくごく ごくごく ごくごく


  ずずっ、ずーーー……



 血管をストローにして、ギスラヴァールをすっかり飲み干してしまった。


アオサ:「ふぅ〜」げぷっ


 目を細めて満足そうに中に浮く。


 一方シェードちゃんは…


シェード:「こらぁユイキリ! あんた何考えてるのよ!」ガシッ

ユイキリ:「あらあら〜、私はアオサちゃんを独占したかっただけよ〜」

シェード:「くそばばあなの!」ぶんぶん



  (わーわー)  (あらあら)

      (ぎゃーぎゃー)  (うふふ♪)



ユイキリ:「ダメよ、大人しくしなさい」ナデナデ

シェード:「あうぅ? ナデナデぇ〜♪」


 あっさりナデナデに屈してしまう。すると…


アオサ:「ウッ!?」


「「「アオサ!」」ちゃん?」


 アオサの中で、何かが暴れだす!



▲▲▲▲▲▲▲▲



 [12ターン目] アオサの中で何かがうごめく!



 アオサは心臓を押さえて呻く。


ユイキリ:「アオサちゃん!」ナデナデ

アオサ:「ママぁ〜、痛い、痛…くない?」


 アオサはふわりと幸福感に包まれた。ナデナデを鎮痛剤代わりに様子を見る。


 すると、アオサの表皮が蠢いて──


   にょきにょきにょきぃぃぃぃぃ!!!!!!!!


--ワカメの群れが現れた!!


 アオサの皮膚から無数のワカメが生い茂る!!


アオサ:「おごごごごぉぉぉ… 」


 目から、耳から、口からワカメが飛び出していく!!


 アオサはワカメに覆われてしまった。



▲▲▲▲▲▲▲▲



 [13ターン目] ワカメの大繁殖だ!



ユイキリ:「止まりなさい!」ナデナデ


--耐性で弾かれた!


ジヒナ:「ええっ!? ナデナデが無効化された?」

シェード:「アレはアオサを乗っ取ってる訳じゃないの。物理的に拘束してるだけなの」


 アオサを乗っ取ってはいないので、【ユイキリ弱点】なんて特性は持っていない。ゆえに純粋にステータスと耐性で抵抗できたのだ。


-------------


ワカメの群れ Lv u(ν)(水+土)


HP   :u(ν)

こうげき:u(ν)

ぼうぎょ:u(ν)

まりょく:u(ν)

せいしん:u(ν)

すばやさ:u(ν)


(ν:a hypercompact cardinal, ι<ν)


-------------


 そしてワカメが猛スピードで伸びる!!



シェード:「ちょっとこっち来るななの!」

ユイキリ:「あらあら〜」



--ワカメはシェードに巻きついた!

--【サンドバッグの加護】発動!

--アオサが巻き付かれました。


ジヒナ:「アオサのおかげで無事らしいな」

シェード:「でもアオサが苦しんでるの!」



--シェードは毒針を飛ばした。

--ワカメの群れにダメージはない。



シェード:「やっぱりダメなの。硬すぎるの」


 アオサが苦しむ中、何もする事ができないのであった。


ユイキリ:「アオサちゃん、…頑張って!」



▲▲▲▲▲▲▲▲



 [14ターン目] ワカメが加速する!


 アオサはもっとワカメに覆われてしまった。


シェード:「来るななの」べしっ

ジヒナ:「これじゃキリがない」スポポポポ


 シェードとジヒナはワカメを振り払い、ユイキリは目を閉じてじっとしている。


 ワカメの鞭が3人目掛けて振り下ろされ、アオサへ痛みが伝送される!



◯◯



 荒れ狂うワカメの中心部、アオサはがんじがらめになっている。


 首を締められ、内臓を締められ、脳も心臓も締められる。


 魂も、心も、存在も、ワカメに痛めつけられて、ただひらすらに苦しさが流れ込む。



--アオサに u(ν) のダメージ

--アオサはふんばった


--アオサに u(ν) のダメージ

--アオサはふんばった


--アオサに u(ν) のダメージ

--アオサはふんばった


 連続的なダメージをただひたすらにこらえ続ける。


--アオサに u(ν) のダメージ

--アオサはふんばった


--アオサに u(ν) のダメージ

--アオサはふんばった

--アオサに u(ν) のダメージ

--アオサはふんばった

--アオサに u(ν) のダメージ

--アオサはふんばった

--アオサに u(ν) のダメージ

--アオサはふんアオサに u(ν) のダアオサはふんばっ

--アオサアオサアオサアオサアオサアオサアオサアオサアオサアオサアオサアオサアオサアオサアオサアオアオアオアオアオアオアオアオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア



アオサ:「(痛い、苦しいよ、みんな、助けて…)」



 その時!


  (ゴゴゴゴゴゴゴゴ)


           (ギシギシ)



 アオサの夢が古い木材のようにきしむ。


  (ギシギシ ギシギシ)


     (バリィィィィィン!)


 海が、ガラスのように割れる!


アマノウス:「助けに来たぞ!」

アマコウ:「アマアマァ!」


 白銀の大神だ!



◯◯◯◯◯◯◯◯



 少し遡る。


 創世犬は草原で寝そべっていた。


 夏のそよ風に吹かれて毛並みが揺れる。


 アマコウも犬小屋で寝そべっていた。


 朝のさざなみに揺られてあくびをする。



   ぴこーん♪



 そこにアオサとユイキリの願いが届く!



アマノウス:「!? アオサが危ない!」


ネルリリーリゼ:「ユイキリさんが困ってますわ」

ルルリエ:「行きましょうアマコウ!」

アマコウ:「あまぁ〜?」


 物理的に時空を超えて助けにきたのだ!



▲▲▲▲▲▲▲▲



 [15ターン目] 援軍だ!



アマノウス:「ここは我々に任せろ!」


ルルリエ:「行くのです、アマコウ!」

アマコウ:「あまあま〜!」


 アマノウスとアマコウは、激しい雄叫びを上げる!



   ガルルルルルルル(わんわんわんわん)!!!



 力の濁流が、ワカメを巻き込み削り取る!


--ワカメに u(γ) のダメージ!

--ワカメは消滅した!!


ジヒナ:「な、なんだよアレ!?」

シェード:「あれは……シオサの気配がするの!」



-------------


アマノウス、アマコウ Lv u(γ)(火氷雷水風土光闇)


HP   :u(γ)

こうげき:u(γ)

ぼうぎょ:u(γ)

まりょく:u(γ)

せいしん:u(γ)

すばやさ:u(γ)


(γ:120-huge cardinal, ν<γ)


-------------



 アマノウスとアマコウはシオサ作の創造犬(ペット)


 シオサと女神の殴り合いの余波で、シオサから増えすぎた(ステータス)が流れ込んでいるのだ。


 急激なステータス増加の結果、あっさりワカメを粉砕してアオサを解放できたのだ!



▲▲▲▲▲▲▲▲



 [16ターン目] ワカメは去った。


アオサ:「ううっ、ママー」ぎゅっ

ユイキリ:「あらあら大丈夫?痛かったでしょ。」ナデナデ


 ワカメと共に緊張感も消え去ってしまった。


シェード:「やっぱりシオサの仕業なの?」

アマノウス:「うむ。体内で謎の蜂が増殖していてだな……」

シェード:「ホラーなの」


アマコウ:「あまあま〜」

ルルリエ:「よしよし〜」




  ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!




アマノウス:「なんだと!? まだ生きているのか!」

ジヒナ:「……違う、この気配は!!」




   ガガガガガガガガ



     にゅるにゅるにゅる♪



        くるくるくるくる〜













        ■■■■

     ■■■■■■■■■■

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--【おほしさまソウル】が現れた!









 宇宙の 重力が 乱れる!



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▲▲▲▲▲▲▲▲

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女神:「うふふふふ〜」シュパン

シオサ:「……」ガキィィィィィン


 殴り合いは激化する!


 蹴りや手刀、瞬間移動に破壊光線。


 様々な殺法が飛び交う魔境。



女神:「ああ素敵、思いっきり殴れるって素敵♪」ザンッ

シオサ:「……手加減、してますよね?」ぺしっ


女神:「だってもったいないじゃないですか!」

シオサ:「ほう、私がそう簡単に壊れるとでも?」ぼすっ


 不満気に顔を蹴りつける。


女神:「いいんですね? 本気で殴りますよ?」

シオサ:「むしろカウンターで貴女を再起不能にしてやります。」



女神:「言いましたね? 覚悟なさい!」グググ

シオサ:「蜂エネルギー充填完了。遠慮なくどうぞ。」グググ


 女神は右手を握る。


 アオサ(サンドバッグ)に力を流しながら慎重にパワーを込める。


 女神が力を込めると宇宙が消滅するので、アオサ(サンドバッグ)も同時に強化するのだ。


 一方、シオサの中では蜂が猛スピードで繁殖していた。


 【宇宙のスープ】を強化・改造して、より強いパワーによるカウンターを狙っているのだ。


 増えた蜂は小さな右手へ向かい、次の一撃を待つ。


 やがて女神の姿がブレて、右ストレートでシオサの左頬が殴られていた。


 次の瞬間、シオサのカウンターが女神の左頬にめり込んでいた。






       ド       ド

        ガ     ガ

         ア   ア

          ア ア

           ア

          ア ア

         ア   ア

        ア     ア

       ァ       ァ



   ふらり…



 女神が崩れ落ちる。


 糸が切れた人形のごとくフワリと宙に浮く。


 魂が抜けたような無表情。



 シオサが拳に込めたのは『沈黙』そして『粉砕』


 女神の心は粉々、存在は砂のように崩れ去り、その大海のような魂と、人形同然の肉体だけがただただ沈黙している。



 難攻不落の殴りの女神が崩れ落ちたのだ!



シオサ:「あ……」


 シオサは胸を押える。


 呼吸が荒くなる。


 シオサの中で、何かが壊れる音がする。


 動かなくなった女神を抱きかかえ、一筋の涙を落とすのだった。


ハイパーコンパクト基数、膨大基数……要はクソデカ数字です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 倒されてまた食べられました。肉の味が気になります。 [気になる点] 女神はこのように打ち負かされましたか?女神はまだ手を出していないような気がします。 属性の宇宙と実際の宇宙との関連があ…
2020/07/11 19:54 退会済み
管理
[気になる点] > アオサ:「えーと、もう食べて良いのかな?」 > 龍の体は静かに漂う。 ドラゴン肉にガブリと噛みついてみたいのじゃ。 多分……鳥肉味? > アオサ:「んん〜マンゴージュースみたい…
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