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愚者の心臓・蜂娘 〜蜂をナデナデする話〜  作者: ✨️ゲーミング百合✨️
5面:スラスラスター 〜ぷるぷるゆれるおほしさま〜
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アオサの夢




ユイキリ:「どうかしら?」

ジヒナ:「あー、あー。うん、大丈夫」


ユイキリ:「こっちは…」

シェード:「大丈夫なの!」


 ユイキリは青白いオーラに囚われて、本性が剥き出しになっている。


 このオーラは負の心。おほしさまが今まで食べた人の悪い気持ちの集合体。


ジヒナ:「シェード♪」ナデナデ

シェード:「はいなのー♪」ナデナデ


 ジヒナとシェードは毛細血管で繋がれれ、遠隔操作されている。


 ユイキリの操作によって、2人は抱き合ってナデナデさせられる。


ジヒナ:「はうぅぅぅ♪」ナデナデ

シェード:「あはは〜♪」ナデナデ


 嫉妬の炎は鎮火して、フワフワした幸福感に包まれてしまった。



ユイキリ:「シオサちゃん?」

シオサ:「はい。」


ユイキリ:「貴女は抵抗しないのかしら〜」

シオサ:「私はアオサの娘ですよ。ママさんに従うのが一番の幸せなのです。」


ユイキリ:「あらあら〜、嬉しいわ! でもママさんは止めなさい」

シオサ:「はい。ユイさん♪」



 シオサを抱き寄せて頬ずり。満面の笑顔でナデナデ。


ユイキリ:「シオサちゃ〜ん、これからどうしましょう?」

シオサ:「お腹の中のママが迷宮(ダンジョン)になっています。そして泣いています。」


ユイキリ:「あらあら〜、すぐに行くわよ」


 心臓に意識を集中させる。


 心臓と、世界が、裏返る!



▲▲▲▲▲▲▲▲



 (反転世界)



ユイキリ:「あらあら〜?」

シオサ:「これは、ママの気配がします」


 そこには異様な光景が広がっていた。


 豊かな森に囲まれたと思ったら、近未来の鉄色メトロポリス。


 ファンタジーな王都が見えたら、現代の物流倉庫が目に入る。


 連続的に、周囲の景色が移ろう。


 ビルが裏返って樹木が生えて、枯れ木が裂けてお菓子の家が飛び出す。


   ザァァァァァァァァ!!


 天気は雨。


 黒灰色の空からどしゃ降りの雨粒、突風に乗って冷たく肌に突き刺さる。


 雨粒が地面に着くと、反射して空へと登る。


 雨粒の挟み撃ちだ。


シオサ:「涙の味がしますね」

ユイキリ:「アオサちゃーん! ママよー! 会いに来たわー!」


    (ママー!)


 雲が消えて一瞬で晴れ渡る。


 青い髪と長ズボンの少女が、両手を広げて飛行機のように一直線!


アオサ:「ママー♪」


 そして、ママの胸へ、顔面ダイブ!



▲▲▲▲▲▲▲▲



ユイキリ:「アオサちゃ〜ん♪」

アオサ:「ママー♪」


「「あはははは〜♪」」


 抱き合ってくるくる回り、見つめ合う。


 恋人のように、軽くついばむようなキス。


アオサ:「ママ、久しぶりだね」

ユイキリ:「ああ、アオサちゃん、会いたかったわ!」


アオサ:「ママのお腹の中、とっても温かかったよ」

ユイキリ:「まあ嬉しいわ〜」


 おほしさまソウルの青いオーラで理性は吹き飛んでいる。


 本心が剥き出しになって、ひたすらに甘い空間が出来上がってしまったのだ。



▲▲▲▲▲▲▲▲



アオサ:「ところで、どうして3人ともじっとしてるの?」


 ユイキリの背後には、シェードとジヒナが満面の笑顔を貼りつけている。


 シオサは自然な表情だ。


ユイキリ:「それはね〜、みんな私のお人形さんになっちゃったの〜♪」

アオサ:「ええっ!?」


ユイキリ:「ハーレムはダメよ〜アオサちゃ〜ん♪ ちゃんと私だけを見るのよ〜♪」

アオサ:「待ってママ、急にどうしたの!?」


ユイキリ:「待たないわ〜」ナデナデ


 後頭部をポンポンしながら優しく髪に指を這わせていく。


アオサ:「あ、ママぁ♪」

ユイキリ:「そう。アオサちゃんはもう立派に成長したのよ〜」ナデナデ


 青白いオーラがアオサを包んでいく。


ユイキリ:「後はママに任せなさい。もう旅は終わりよ〜」ナデナデ

アオサ:「で、でも…」


 嫁と娘への未練、アオサの理性をつなぎ止める。


ユイキリ:「アオサ、貴女が本当に大切なものは何?」ナデナデ

アオサ:「大切?」


ユイキリ:「ようやく気づいたの。アオサ、貴女さえいればいいのよ。他には何にも要らないわ!」ナデナデ

アオサ:「ママぁ♪」


 何かが弾ける音がする。


 青白いオーラがアオサの心臓へ流れ込む。


アオサ:「あ、ママの気持ちが流れ込んで来る」

ユイキリ:「アオサちゃんの愛が伝わるわ〜」


 負のオーラを交換し合い、愛を確かめ合う。


 独占欲と嫉妬の嵐で周囲の景色は無に帰してしまう。


アオサ:「今までごめんなさい。ママ。一生ママだけ愛するよ」

ユイキリ:「ありがとうアオサちゃん♪ 一生面倒見てあげるわ〜♪」


アオサ:「えへへ♪」

ユイキリ:「うふふ♪」



▲▲▲▲▲▲▲▲



 名も知らぬカフェ、木のテーブルに並んで座る親子。


 指を絡めて肩を寄せ、ほっぺたを重ねる。


 外では草とそよ風の音がする。


 小さなケーキとジュースを2人で分ける。


アオサ:「ママ、あーん♪」

ユイキリ:「あーん♪」


 アオサのフォークにしゃぶりつく。


 イチゴとクリームと、アオサの味が広がる。


アオサ:「…んへへ」

ユイキリ:「…うふふ♪」


 穴が開くほど互いの瞳を見つめあう。


 見つめ合いながら、アオサは左手で蜂をいじくり回す。


 アオサの肩には30センチの蜂、シェードだ。

 アオサの首には錨のネックレス、ジヒナだ。

 アオサの膝には緑髪のお人形、シオサだ。


 蜂をナデナデして、ネックレスを指でこすり、人形の服を着せ替える。


 一通りスキンシップをした後、


アオサ:「ママー、これからどうする?」

ユイキリ:「そうね〜……」


アオサ:「え、なになにシオサ?」


 シオサ人形を耳に当てる。


アオサ:「え、女神さまが来る?」



   ガッシャァァァァン!!!!!



ユイキリ:「あらあら〜?」

アオサ:「なになに!?」



   メリメリ、どっひゅーん!


 突風で木造のカフェがもぎ取られてしまった。


 裏返ってくるくる回って飛んで行く



▲▲▲▲▲▲▲▲



 空から港町が生えて、下方の大空から雷が打ち上がる。


 そして前方には、巨大なドラゴン!


 黒金の皮と白銀の逆鱗。あれは……



ギスラヴァール:「はーっはっはっは。久しぶりだなアオサ」


アオサ:「ギスラヴァール!?」

ユイキリ:「あらあら初めまして」


ギスラヴァール:「む? 仲間がいるのか。まあ良い。女神さまに復活させてもらったのだ!」


アオサ:「なんだよ、せっかくの楽しいひとときを邪魔してさ」

ギスラヴァール:「む? それはすまなかったな」


 


女神:「アオサちゃん、久しぶりですねー」

アオサ:「女神さま!」


女神:「元気そうで何よりです」

アオサ:「うん、元気だよ…イテテ」


 ユイキリの指がアオサの肩にめり込む。


女神:「本当に貴女は想定外の塊ですよ」

アオサ:「想定外?」


女神:「

   おほしさまと戦うと思ったら、何故か融合。

   融合しても、アオサちゃんは暴走しない。

   シオサさんは暴走せずに爆発。

   ユイキリさんは別ベクトルに暴走

アオサ:「あー」


女神:「やはり、ナデナデは不味かったですね」


 腕を広げて肩を落とす。


女神:「ナデナデは私の腕、『肉体』『魂』『心』『存在』全てを自分の思い通りに塗り替える」

アオサ:「!?」


女神:「本当は心臓や赤血球なんかよりよっぽど危険な代物。今まで熱い戦いを演じる事ができたのは、相手をナデナデしなかったから」


アオサ:「ほえー…」


 目を丸くする。


女神:「アオサちゃん、貴女の腕は私の腕。ほら…」

アオサ:「あっ!」


 女神が右手を挙げると、アオサの右手も勝手に挙がる。


 そのまま自分の頭をナデナデ。


アオサ:「女神さまぁ♪」

ユイキリ:「アオサ!」


女神:「ほら、こんな簡単に変わってしまうんです」ぺちん

アオサ:「!?」


 ユイキリの胸に顔を埋めてナデナデしてもらう。


ユイキリ:「あらあら〜、女神さまは戦いを見たいのね〜」

女神:「そうですよ。だから、彼を復活させてみたんです!」


ギスラヴァール:「まあ命じられずとも自ら戦いに行くがな、はっはっは」


 高らかに笑うドラゴン。以前のような圧倒的な威圧感は発していない。


 しかし、体内、皮膚、ウロコ、どれを取っても以前と比較にならないパワーが詰まっている。


 雷と竜巻をバックに、アオサは決意を抱く。


女神:「アオサ、貴女の不思議な不思議な冒険は、終わりを迎えます。最後にふさわしい戦いを期待していますよ」


アオサ:「分かったよ。全力で行くよ」

ユイキリ:「うふふ、一緒に戦うのは初めてね〜♪」


 既に置き去りになった時間を到達不能の彼方まで引き離し、最後の戦いが幕を開ける!











▲▲▲▲▲▲▲▲



シオサ:「女神さま、失礼します」

女神:「あら、シオサさん、どうしました?」


 いつの間にかシオサはニンゲン形態に戻っている。


 戦いを他所に、女神に歩み寄る。


シオサ:「・・・」

女神:「・・・」


 無言で見つめあう2人。


 不意にシオサが拳を握る。



   スパァァァァァン!

             ゴキィ…



女神:「・・・」


 左の頬に右ストレート。それにより首が180度回る。


女神:「あ は は ♪」


 もう一つの戦いが始まってしまった!

ようやくボス戦です!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] > このオーラは負の心。おほしさまが今まで食べた人の悪い気持ちの集合体。 人限定なのかの? > ジヒナとシェードは毛細血管で繋がれれ、遠隔操作されている。 > ユイキリの操作によっ…
[一言] おや、ギスラヴァールさんじゃないですか。こんにちは、どうもです。 そして一方、シオサさんと女神さんは拳の会話ですか、楽しそうで何よりですね。 100部オメデトです、ボス戦頑張ってください…
[良い点] 女神こそBOSSですが、本格的なBOSS戦がいよいよ始まりますか [気になる点] 大きな基数のある戦闘シーン描写が楽しみです
2020/06/30 20:00 退会済み
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