表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愚者の心臓・蜂娘 〜蜂をナデナデする話〜  作者: ✨️ゲーミング百合✨️
5面:スラスラスター 〜ぷるぷるゆれるおほしさま〜
91/108

雨上がりの荒れ模様

かぎかっこの前に:を入れてみました。




  ぶーん ぶーん ぶーん♪


 蜂が飛ぶ。


 蜂と言っても全部シオサだ。


 スラスラスター(シオサ命名)全域を飛び回り、空から地上を観察しているのだ。


 雨粒スライムの豪雨により、プリンの大地に水溜りが出現。


 流れて削れて川ができ、大きな湖になる。


 緑があれば良い景色になりそうだ。


シオサ:「そうですね。せっかくだから草を生やしましょう」


 しゃがんでプリンに両手を突っ込む。


シオサ:「では、プリンのまま【草の性質】を付与しましょう」


   ザザッ!


 プリンの存在が歪む!


 プリンの地表がうごめき、黄緑色の草を形取る。


 カヤ、ブタクサ、ヨモギ、タンポポ、様々な雑草に姿を似せる。


シオサ:「すごいですね。食感はプリンなのに味と匂いは草なんですね」ムシャムシャ


 風が吹くと雑草が揺れ、ざわめきと香りが生命力を感じさせる。


シェード:「これは……心臓が喜んでます。ママの好みならもっと自然豊かにしましょう。」


 川に両手を突っ込む。


 スライムの存在が歪む!


 スライムはサラサラの水となり、川の流れは加速する。


シオサ:「次は動物ですね」


 再びプリンに両手を突っ込む。


 プリンの存在が歪む!


 プリンは虫になり、鳥になり、獣になり、魚になる。



シオサ:「そうだ、折角だから……」



 猪スライムは『ウボア』

 熊スライムは『ゲキジョグマ』

 鰯スライムは『イワシラン』

飛竜スライムは『ワイドバーン』


 魔獣の名を冠するスライムは、大地を駆け、空を飛び、海を行く。


シオサ「いい感じですね。心臓がドキドキしますよ」


 頬は赤く、目はキラキラ。


 次は何を作ろうか──



   げしげしげしげし げしげしげしげし!!!



シオサ「おや、どうしたのでしょう?」



▼▼▼▼▼▼▼▼



 げしげしげしげし


シェード:「なによ、なによ、何なのよ!」


 プリンの大地を踏む。


シェード:「おかしいの。何もかもまともじゃないの!」


 その瞳には嫉妬の紫が揺れる。


シェード:「シオサ、シオサ!」

シオサ:「はいはい。荒れてますね」


シェード:「そうなのよ。何なのよあの、あの、おかしいのよ!」

シオサ:「まあまあ、イチゴジャムパンでも食べてください」


シェード:「いただくの」


   もぐもぐもぐもぐ もぐもぐもぐもぐ


 リスのようにジャムパンをパクつく。


シェード:「ふう、落ち着いたの」

シオサ:「深呼吸でもしましょう」


 両手を広げて、吸って、吐いて。


シェード:「シオサ、知ってる事を教えるの」

シオサ:「了解です」


 心臓から毛細血管が伸びて、互いの心臓が繫る。


シオサ:「(これで女神さまに聞かれないはずです。まずは今の状況)」

シェード:「(そう、女神さまと会ってからおかしいの)」


 口では普通に愚痴りながら、心臓で会話をする。


シオサ:「(女神さまの想像力が周囲を歪めていると推測します)」

シェード:「(やっぱりクソ女神なの)」


シオサ:「(そもそも、ステータスを調べている時に、謎の線を発見しまして)」

シェード:「(謎の線?)」


シオサ:「(私たちのステータスは、存在そのものと密接にリンクしています。『肉体』『心』『魂』『時間軸』これらの要素をある種のパワーが覆っているのです)」

シェード:「(?)」


シオサ:「(これらの要素から、細い線が伸びているのですよ。謎の場所へ向かって)」

シェード:「(なんなのよそのホラー)」


シオサ:「(謎の場所が何処かと独自に調査したところ)」

シェード:「(まさか)」


シオサ:「(そう、女神さまの心臓と繋がっていたのです。)」

シェード:「(うわぁ)」


 血の気の引いたようなげっそり顔で心臓を押さえる。


シオサ:「(そこからパワーが流れている事から、残念ながら、ステータスとは女神パワーの事のようです)」

シェード:「(ええ……)」


シオサ:「(女神パワーと一緒に女神の感情も流れて来るようでして)」

シェード:「(そうなのね、違和感の正体が分かったの)」


シオサ:「(抑える手段はありますよ。)」

シェード「(ちゃんと方法はあるのね)」



 シオサ曰く、


 肉体全体に付いている謎の線を押さえる。

  心全体に付いている謎の線を押さえる。

  魂全体に付いている謎の線を押さえる。

時間軸全体に付いている謎の線を押さえる。



シェード:「肉体全体から意味不明なの!」

シオサ:「連続体ですからね。ω_1本だけ謎の線があるんですよ。」


シェード:「謎の線って何なのよ! 何も見えないの!」

シオサ:「気合で頑張ってください。」


 こうして謎の線を見る修行が始まった。


 そして日が暮れる頃──


シェード:「ちょっと、この辺太陽ないじゃない!」

シオサ:「そうですね、作りましょう」


 太陽スライムを作って公転させる。


 これでようやく日が暮れた。



▼▼▼▼▼▼▼▼



 白い船の小さな部屋のベッドに妊婦が2人。


ジヒナ:「なあユイキリ」

ユイキリ:「なあに?」


ジヒナ:「全身がだるいんだけど」


 お腹をさする。


ユイキリ:「あらあら〜妊婦ってそんなものなのよ〜」

ジヒナ:「そ、そうなのか」



 お腹の形が歪む。アオサが足を伸ばしたようだ。



ジヒナ:「なあユイキリ」

ユイキリ:「なあに?」


ジヒナ:「食欲出ないんだが」


 むかむかして食事が喉を通らないようだ。


ユイキリ:「あらあら〜、ハチミツレモンを飲むといいわよ〜」

ジヒナ:「そうなのか?」


 時空をねじ曲げハチミツレモンのペットボトルを取り出す。


   ごくごくごく


ジヒナ:「ふぅ、酸味が欲しくなるんだなー」

ユイキリ:「そうよ〜」


 ベッドにもたれて上の空。しばらく目を閉じる。


ジヒナ:「……」

ユイキリ:「……」


ジヒナ:「なあユイキリ」

ユイキリ:「なあに?」


ジヒナ:「私がママになるの嫌だったんじゃないのか?」

ユイキリ:「うふふふふ、貴方が産むのはスライムの方よ〜。さっさと名前考えときなさい」


 少し威圧感が強くなる。


ジヒナ:「あ、ああ。」

ユイキリ:「うふふふ〜」


ジヒナ:「なあユイキリ」

ユイキリ:「なあに?」


ジヒナ:「もし、両方からアオサが産まれたら、アオサが2人産まれたら」

ユイキリ:「!!!!!」ピシッ


 その可能性に思い至り、空気が凍りつく。


ジヒナ:「あ、ご、ごめん」

ユイキリ:「……」


 笑顔が凍りついたままだ。


ユイキリ:「う、うふふー仕方ないわねーアオサちゃんがそう望むなら受け入れるわー」

ジヒナ:「お、おう」


 そこから会話は途切れた。



▼▼▼▼▼▼▼▼



シオサ:「ご飯ですよー!」


ジヒナ:「はーい」

ユイキリ:「今いくわ〜」



 テーブルには、ご飯、梅干し、味噌汁、白身魚の素揚げ、きゅうりの酢の物。


 尚、全て元はプリンとスライムだ。


「「「「いただきまーす」」」」


 

……


……


 淡々と食事が進む。


 皿と食器の音が虚しく響く。


 まるで嵐の前の静けさだと、シオサは感じたのだった。

そろそろカオスが加速します。ご注意ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] > スラスラスター(シオサ命名)全域を飛び回り、空から地上を観察しているのだ。 シオスラスター、シオサラスター……いや、なんでもないのじゃ。 > 雨粒スライムの豪雨により、プリンの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ