スライムの滴
最近ママが主人公になりつつある気がする。
きらきら光る お空のおほしさま
おそらの上で みんなを見てる
きらきら光る お空のおほしさま
すやすや眠る お空のおほしさま
おそらの下に しあわせ見えた
すやすや眠る お空のおほしさま
ぷるぷる揺れる お空のおほしさま
おめめが覚めた いっしょにあそぼ
ぷるぷる揺れる お空のおほしさま
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べちょっ
─────────────
--スライムが現れた。
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晴れわたる青空。うっすら雲がかかる。
何の前触れもなく、空からスライムが降ってきた。
スライム「ぷるぷる」
アオサ「何これ?」
シェード「スライムなの」
自宅の前に丸くて水色なスライム。
ぷるぷるの弾力ボディがキラキラ光る。
スライム「ぷるぷる、ぷるぷる」
アオサ「可愛いね」
シェード「危ないのよ」
丸いおめめとマヌケな口で愛嬌を振りまく。
アオサがそのスライムに触れる。
その瞬間!
ずるり!
アオサはスライムの体内に引っ張り込まれてしまう。
どぷん……
--アオサは食べられてしまった。
スライム「もしゃもしゃ」
シェード「え、……???」
……アオサが復活する気配はない。
スライム「もしゃもしゃ」
シェード「………」ぞわり
背筋が凍る。
スライム「もしゃもしゃ」
シェード「!!!!!」シャキン!
2色の毒針を構えて戦闘態勢!!!!!!!!
▼▼▼▼▼▼▼▼
[1ターン目] 未知との遭遇だ
ブゥゥゥゥゥゥン!
--シェードは翅を震わせ全力で毒針を振り抜いた!
ズシャァ
--スライムにダメージはない。
シェード「毒針が溶けたの?」
--スライムは【赤血球】を使った。
スパ
ァン!
──────────
───
>『シェード』に『麻
痺』を付与
──────────
───
スパ
ァン!
ザハト「大丈夫か?」
シェード「助かったの」
蜂の女騎士が麻痺の概念を切り裂く。
シェード「まさかあのスライム、アオサの能力をコピーしたの?」
[2ターン目] 汗が流れる錯覚がする。
ザハト「針がダメならレーザーはどうかな?」
シェード「嫌な予感しかしないの」
--ザハトとシェードはレーザーを放つ。
スルッ スルッ
--スライムには効果がないようだ……
--スライムは分裂した!
もももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももももも
--スライムが1000万匹増えた
シェード「なによこれ!」
ザハト「これはまずいぞ」
物理も魔法も効かないスライム。
何でも食べるスライム。
青いぷよぷよが草原を埋め尽くす!
蜂「キャー」
蜂「たすけてー」
蜂「いやー!」
スライム「もしゃもしゃ」
スライム「もしゃもしゃ」
スライム「もしゃもしゃ」
飛び交う毒針も物ともせず、スライムは捕食を続ける。
フレア「なによこれ、なんなのよ」
ハッチ「地下に避難するわよ」
ミチル「機械が……食われた……」
スカラ「機械はいいから早く逃げるでござる」
ヒョウム「ちょっとー、止まらないのは聞いてないですー」
ソーネ「そーね、そーね!」
……
ガチャッ
ジヒナ「なんだこれは!?」
ユイキリ「あらあら大変ね〜」
シェード「ママさんスライムが止まらないの」
ユイキリ「ここは私に任せなさい」
ユイキリは腕まくりをする。
[3ターン目] ユイキリが目を見開いた!
ユイキリ「アオサちゃ〜ん、戻って来なさい」
ユイキリの少し低い声がまるで魂まで響くように草原を支配する。
--ユイキリは赤血球を使った
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>『スライム』に『アオサの心臓』を付与
>『スライム』に『アオサ』を付与
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ドクンッ!
1000万匹のスライムが、一斉にぐねぐねと波打つ。
ぐねぐね ぐねぐね
べちゃぁ…
ヒュン ヒュン ヒュン
スライムはユイキリ目指して飛んでいく。
うぞうぞ うぞうぞ
ユイキリの前に集合して、人型を形づくる。
スライム「あー、あー」
ユイキリ「あらあら〜?」
スライム「ママー?」
ユイキリ「そうよ、ママよ〜」
ナデナデ
スライム「えへへ〜」
ユイキリ「うふふ〜」
シェード「待ちなさいユイキリ、それ本当にアオサなの?」
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戦いは終わり、再び家族会議だ。
アオサの膝にはスライム。ワカメと触角と翅が生えている。
ユイキリ「スライム対策会議を始めま〜す」
膝のスライムをナデナデする。
ユイキリ「まずはアオサちゃ〜ん、スライムの特徴を言いなさい」
スライムがスッとアオサの姿に変わる。
アオサ?「えっとね、このスライムは食べたモノの能力をまるごとコピーできるんだ。私はアオサと蜂数匹をコピーしたんだ」
シェード「待ちなさい、貴女はアオサなの?」
アオサ?「んー、肉体もスライムも過去も全部スライムのモノなんだけど、たぶんアオサだよ?」
シオサ「詳しく言いますと、ママは先日この ωの宇宙全てに心臓移植しました。つまりママは宇宙全体に存在しているのです」
シオサは小さな手を振りながら説明する。
シオサ「つまり、この宇宙全てがママなんです」
ジヒナ「え、つまり私も?」
シオサ「そうです。みんなの心臓の中にママが存在しています」
ジヒナは心臓をスリスリして、ユイキリは頬を赤く染める。
ユイキリ「あらあら〜、私の中にもいるのね〜」
アオサ「ごめんねこんな身体になって」
ユイキリ「アオサはアオサよ。スライムでも可愛いわ」ナデナデ
アオサ「ママー♪」
シェード「むぅ、さっさと会議を進めるのよ」ぷい
シェードはほっぺをプクーっと膨らます。
ユイキリ「アオサちゃん」
アオサ「はっ、えっと〜? そうそう、このスライムはステータスも耐性も表示不可能なほど高くてね、何も通さないんだ」
シオサ「チートですね」
アオサ「でもね、私だったからママの攻撃は全部通るんだ」
シオサ「詳しく」
アオサ「えっと、私自身に【ママ弱点】の特性を付与したんだ」
シェード「ああ……そこまでするのね」
ジヒナ「つまり、マザコンに救われたんだな」
ユイキリ「まあ、嬉しいわ」
アオサ「そうだ、ママ──」
ひそひそ ひそひそ
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>『ユイキリ』に『特性【アオサ特攻】』を付与
>『ユイキリ』に『特性【アオサのママ】』を付与
>『アオサ』に『特性【ユイキリの娘】』を付与
>『宇宙の全存在』に『アオサとユイキリ』を付与
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ズキューン♪
シェード「あぁ!!!!!」
ジヒナ「はうっ!?!?」
シオサ「んふぅ……」ぽっ
この時、宇宙が幸せに包まれた。
全てがアオサで全てがユイキリ。そして食べたらもれなく感染するのだ。
ユイキリ「あらあら〜、みんなアオサでみんな幸せなのね」
アオサ「これでスライム対策はバッチリね」
シェード「ちょっと、なんて事してくれるの」もじもじ
シェードにもアオサ成分とユイキリ成分が流れてしまったのだ。
ユイキリ「おいでシェードちゃん♪」
シェード「むむむ……」トテトテ
ユイキリ「よしよし」ナデナデ
シェード「えへへ〜」デレデレ
ユイキリ「ほら、2人も来るのよ」
ジヒナ「う、うん」とことこ
シオサ「これは逆らえませんね」テトテト
ユイキリ「よしよし」ナデナデ
ユイキリの膝枕は4人でぎゅうぎゅう詰めだ。
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シオサ「それで、いつ星へ向かいます?」
ユイキリ「ジヒナ、船はどうなの?」
ジヒナ「おう、バッチリだ」
ユイキリ「シオサちゃんはどうかしら?」
シオサ「ママたちが強化された恩恵で意図せずステータスが強化されました。おかげで仕組みが分かりました」
ユイキリ「なら大丈夫ね。お隣さんに挨拶してから行きましょう。アオサ準備しなさい」
アオサ「はーい」
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午後6時、湖に夕日が揺れる。
船のそばには蜂が密集している。
アオサ「みんなー、行って来るねー」
ブゥゥゥゥゥゥン
ブゥゥゥゥゥゥン
ブゥゥゥゥゥゥン
ハッチ「気をつけてね。無茶しないで生きて戻るのよ」
アオサ「うん。心配しないで」ちゅっ
フレア「べ、別に心配なんかしてないだからね」
アオサ「うん。ちゃんと戻るから安心してね」ちゅっ
ミチル「………(船尾をじっと見ている)」
ジヒナ「帰ったら好きなだけ見ていいからな」ちゅっ
スカラ「この星の防衛は任せるでござる」
アオサ「うん、安心して戦って来るよ」ちゅっ
ザハト「シェード、ずいぶん腕を上げたな」
シェード「帰ったら決闘でもするの」ちゅっ
ヒョウム「フフン、ワタクシからは何も言う事はありませんよ」
ソーネ「そーね。さみしいんだって」
アオサ「そっか。寂しさを紛らわせてあげる」ぶちゅ
ヒョウム「!??!!!?????」
ユイキリ「そろそろ出発よ〜」
アオサ「はーい」
ザバーン
ぴちょぴちょ
白い豪華客船が浮上する。船底から水がしたたる。
バヒュン
そのまま空へ消えていく。後には夕陽が静かに揺れていた。
TO BE CONTINUED…
今回で全宇宙の生命という生命がアオサと同じ戦闘力になりました。
みんながチートで最強でハーレム。自由で平和で平等な世界になりました。