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愚者の心臓・蜂娘 〜蜂をナデナデする話〜  作者: ✨️ゲーミング百合✨️
4面:リグラシティ 〜序曲で染める新世界〜
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宇宙の作り方

今までの ω の理論がガバガバでご迷惑をおかけしました。今度は大丈夫なはず。


▼▼



 最初に『無』がありました。



     無



  ↑これが『0』です。


 女神さまは『無』を優しく貝がらで包み込みました。



     {無}



  ↑これが『1』です。


 貝がらの横に新しい『無』が産まれました。



     (0),{無}(1)



 女神は『無』を一緒に貝がらで閉じました。




    {無,{無}}



  ↑これが『2』です。


 今度は『2』の隣に『0』と『1』が産まれました。



    (0),{無}(1),{無,{無}}(2)



 女神さまはまたまた貝がらで包みました。



    {無,{無},{無,{無}}}



  ↑これが『3』です。



 今度は『3』の隣に『0』,『1』,『2』が産まれました。



   (0),{無}(1),{無,{無}}(2),{無,{無},{(3)無,{無}}}



 今度も女神さまは貝がらで包みました。



  {無,{無},{無,{無}},{無,{無},{無,{無}}}}



 無が産まれ、貝がらで包まれて、宇宙はどんどん大きくなっていきました。


 『無』と『貝がら』が無尽蔵に増えていきます。



   {無,{無},{無,{無}},{無,……}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}




 ここで女神は数字にパワーを吹き込んでいきます。


 女神の吐息がフッとかかると、じっとしているだけだった数字は音を立ててガタガタと揺れ始めます。


 数字の個数だけビックバンが起こり、『無』と『貝がら』の間に星々が誕生しました。


 女神さまは止まりません。『無』と『貝がら』は増えていきます。


 いくら増えてもキリがありません。


 そこで女神さまはギアを一段階上げました。



  キュゥゥイィィィィン!!!



 数字は無限を突破して『ω(オメガ)』が産まれました。無限個の『無』と『貝がら』から成る数字です。



  キュゥゥイィィィィン!!!!!



 女神さまは更にギアを上げます。


 目にも止まらぬ速さで貝がらが増えていきます。


  (ω)ω(ω の ω の ω の ω の……乗乗乗乗……)の更に先に『ω_1』ができます。


 『無』と『貝がら』の個数はもはや数える事ができません。


 数字を ω_1 だけ並べる事で『時間』と『空間』を作り、手を加える事ができるようになりました。


 そして星とニンゲンが動き始めます。


 女神さまは片手間に時間軸の糸で服を織り、空間を調理して食べてしまいます。


 女神さまはもっとギアを上げます。


  キュゥゥイィィィィン!!!!!!!!


 ω_1 の ω_1 乗の ω_1 乗の ω_1 乗の……を無限に繰り返した更に先に『ω_2』ができます。


 全ての人の可能性の数だけ時間軸が枝分かれし、全ての粒子の可能性だけ空間が増殖します。


 【パラレルワールド】が無限増殖してしまったのです。


 だがそんな事は関係ないと女神さまはひたすらギアを上げつづけます。


  ω_3 , ω_4 , ω_5 ……


 『無』と『貝がら』の個数は早速理解不能な領域に突入しました。


 数字の恩恵も人間には馴染みのない事ばかりです。


  ω_ω , ω_ω_ω , ω_ω_ω_ω , ……

 

 無限を無限回超えた程度じゃ満足しません。ひたすら貝がらに貝がらを重ねていきます。


 そして、


  ω_ω_ω_ω_……(無限個)


 ようやく『貝がら』がストップしました。



▼▼▼▼▼▼▼▼



女神「できました。これが宇宙の作り方です」

ジヒナ「ちょっと待ってそれはおかしい!」


 小さな宇宙出身の少女はポカンと空いた口を閉じて渾身のツッコミを入れる。


女神「この宇宙では数字そのものが膨大なパワーを持っています。ω ともなれば、並の宇宙を凌駕する程度の破壊力を秘めています」


シオサ「なるほどなるほど、大きな数字は宇宙そのものなんですね」


アオサ「?」

シェード「ちょっと意味がわからないの」


女神「貴女たちのステータスの数字は宇宙と同じになりました。意識を向けるだけで宇宙の何処へでもアクセスできるのですよ?」


アオサ「えっマジで? ……うわっ!」

シェード「綺麗なアオサが何人もいるの」


アオサ「ちょっとコイツ蜂にしてみよう。えいっ」

シェード「新しい惑星追加してみるの」


シオサ「ママたち、そろそろその辺で」


女神「アオサちゃん」

アオサ「ふえっ?」ビクッ


 女神さまはその細指でアオサの背後から肩をソワっと掴む。


女神「貴女の目的は私のサンドバッグになる事です」

アオサ「えっ、いやそれは──」


女神「貴女に【サンドバッグの加護】を授けましょう」


  ビリビリィ!


アオサ「あがっ、あが……?」


 アオサの中で何かが変化した。脳が痺れる高揚感と共にネジが外れる音がする。


シェード「うわぁ」

シオサ「容赦ないですね」


女神「しかし、まだ足りません。今の貴女はより強いパワーに押し潰されたら死んでしまいます」

アオサ「ううっ」


女神「だから、貴女に試練を与えます」


アオサ「試練?」


女神「この宇宙の外側の宇宙、無限という概念の外、この宇宙の外の宇宙、あの煌く(きらめく)星が見えますね?」


 本来は無限の先なんて遠すぎて認識できない。


 女神は指先からパワーを送る。するとアオサたちの視力が一時的に強化されたのだ。












        ■■■■

     ■■■■■■■■■■

   ■■■■ ■■■■ ■■■■

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   ■■■■■■■■■■■■■■

     ■■■■■■■■■■

        ■■■■






 アオサたちの目に映るのはかつて敗れた巨大惑星。


ジヒナ「あ、あれは!?」ガタガタ


シェード「アオサ、アオサ、やばいのよ」

アオサ「うわあ、強そう……」


 みなさん覚えているだろうか? あれはワカメの前の負けイベントの【おほしさま】だ。


ユイキリ「あらあら〜、話に聞くより強そうね〜」

シオサ「うーん、現時点では勝率0%ですね」


女神「あの名もなき星はあと1ヶ月で目覚めます。目覚めた瞬間に宇宙は消滅します。心臓でも再生できないかもしれませんねー」


アオサ「ちょっ!?」

ユイキリ「あらあら〜」


女神「という事で頑張ってください。楽しみに待ってますよー」


  シュポン……



▼▼▼▼▼▼▼▼



 あれ? 一瞬で自宅に戻って来た。


 さっきまでの宇宙は見当たらない……


ジヒナ「あ、あう、あぅあぅ」がたがた

ユイキリ「あらあらジヒナ、大丈夫よ〜」ナデナデ

ジヒナ「あうぅ♪」


シェード「あれは死の宣告なのかしら?」

シオサ「女神さまの事です。きっと頑張ればギリギリ勝てますよ」


 みんな不安になってるね。


アオサ「大丈夫、1ヶ月もあるんだよ。みんなで力を合わせればきっと勝てるよ」


シェード「あれ? アオサってあんな熱血系だったかしら?」

シオサ「どうしたんでしょう?」


 なに言ってるのかなみんな?


アオサ「立派なサンドバッグ目指して頑張るよー」

シェード「待ちなさいアオサ」


 ? 本当にどうしたんだろう?


シオサ「気付いてないですね」

ジヒナ「あれ完全に洗脳だよね」

ユイキリ「あらあら〜、でもやる気に満ちてるアオサちゃんも素敵よ〜」


 よく分からないけど心臓からやる気が湧き出る! マグマのように煮えたぎってるよ!


アオサ「うぉぉぉおおおおお!」


 ……で、どうすればいいんだろう?


アオサ「シオサー、どうしよう?」

シオサ「そうですね、ステータスに関しては1つ考えがあります」


アオサ「さすがシオサ」

シオサ「ママはそうですね、友情パワーのようなものをお願いします」


 そうか、友情パワーか! それならママに任せて!


ユイキリ「あっ!」


アオサ「ママ?」


ユイキリ「キクラの事忘れてたわ〜」


 あっ、私も忘れてたよ。


シオサ「おばさんなら復活させときました」

ユイキリ「よしよしえらいわ〜」ナデナデ

シオサ「んふふ〜」


 さすがシオサ、優秀すぎる。


 えっと、意識を向けるだけでアクセスできるんだったよね。覗いてみよう。


 友情パワーのヒントがあるかもしれない。


 ……


 おお? キクラの感覚も感情もまるっと伝わって来る。


 プライバシーなんて無かったよ。


 あ、ミミナちゃん可愛い。


 ……


 え? なんか手足が変だよ!?

Wikipedia と睨めっこしました。頑張った。


>グロタンディーク宇宙

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― 新着の感想 ―
[良い点] > 今までの ω の理論がガバガバでご迷惑をおかけしました。今度は大丈夫なはず。 う、うむ。そうじゃの……。 [気になる点] > 最初に『無』がありました。 世の中には『偽の真空』と…
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