100万回生きたママ
ごめんなさい、ひでぇです。
100万回も しなない 少女が いました。
100万回も しんで, 100万回も 生きたのです。
少し変わった 少女でした。
100万人の 人を, その少女が かわいがり, 100万人の 人が, 少女がしんだとき 泣きました。
少女は 1回も 泣きませんでした。
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あるとき, 少女は 小さな島国の 女王でした。 少女は 妹が 大好きでした。
少女は 占いで 国を治め, 争いを 鎮めました。 そして, 嫌がる 妹を かわいがり, 毎日 一緒に おはなししました。
ある日, 不吉な日食のとき 少女は 敵国の 暴れ馬に 踏まれて, しんでしまいました
妹は 戦いの 真っ最中に, 姉を 抱いて 泣きました。
少女は 戦争に 負けて, 敵王は 少女を 立派な お墓に 埋めました。
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あるとき, 少女は 海賊船の 船長でした。
少女は, 誘拐した 王女が 大好きでした。
少女は, 世界中の 海と, 世界中の 港に 嫌がる 王女を 連れて行きました。
ある日, 少女は 戦闘中に 船から 落ちてしまいました。 少女は, 海水で 力を失う 呪いを 持っていたのです。
王女が 潜って 引き上げると, 少女は ぐったりと しんでいました。
王女は ぼろ雑巾のようになった 少女を 抱いて, 大きな声で 泣きました。 そして, 遠い いなか町の 岬の先に 少女を 埋めました。
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あるとき, 少女は 悪魔のカード使いでした。
少女は 悪魔が 大好きでした。
少女は, 毎日 カードを ドローして, 下級悪魔を 生贄に 捧げて, 上級悪魔を 召喚します。
それから 嫌がる 上級悪魔と ダンスを踊り, バイクに 乗った 悪魔使いを 爆破しました。
ある日, 少女は 決闘に 負けて, 闇に 呑まれてしまいました。
上級悪魔は, 少女の デッキを 両手に かき集め, 大きな声で 泣きました。
上級悪魔は, 荒野の 真ん中に デッキを 埋めました。
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あるとき, 少女は ロボット泥棒の 幹部でした。
少女は, 正義の メカ娘が 大好きでした。
少女は, 嫌がる メカ娘と 一緒に, くらい城下町を 影のように 静かに 歩きまわりました。
少女は, 防衛マシンのある 施設にだけ 泥棒に 入りました。 メカ娘に 戦わせている あいだに, 少女は 巨大ロボを ハッキングしました。
ある日, 少女は 巨大ロボとの 戦闘の末に 踏み潰されてしまいました。
メカ娘は, 盗んだ チップと 一緒に 少女を抱いて, 夜の空を 大きな声で 泣きながら, 飛びました。 そして アジトに帰って, 小さなカプセルに入れて 少女を保存しました。
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あるとき, 少女は よぼよぼの おばあちゃんでした。
おばあちゃんは, 孫娘が 大好きでした。
おばあちゃんは, 毎日 嫌がる 孫娘を 膝に乗せて 背中を ポンポン しました。
孫娘は, 膝の上から 這い出そうと パタパタ していました。
やがて, おばあちゃんは 歳をとって しにました。 孫娘は おばあちゃんの 棺に しがみついて, 一日中 泣きました。
おばあちゃんは 火葬されました。
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あるとき, 少女は 女の子の ご主人様でした。
少女は, 女の子が 大好きでした。
少女は, 嫌がる 女の子を にゃあにゃあ 鳴かせたり, 激しく 抱いて 寝たりしました。 不機嫌なときは, 女の子の 顔面に 足をグリグリ しました。
ある日, 少女は, 奴隷解放を叫ぶ 勇者の 流れ弾が 首に 当たって, 死んでしまいました。
ぐらぐらの頭に なってしまった ご主人様を 抱いて, 女の子は 一日中 泣きました。 そして, ご主人様と ボートに乗って 一緒に沈みました。
…
少女は しぬのなんか 平気だったのです。
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あるとき, 少女は 何者でも ありませんでした。
ひとりぼっち だったのです。
少女は 初めて 孤独を 感じました。
なにしろ 立派な 女ったらし だったので, 女の子が 欲しいと 思ったのです。
少女は, 久しぶりに 神に 祈ります。
榊の葉に 紙垂をつけて ふりふりします。
すると, 白い 美しい 女神さまが 現れたのです!
「望み通り, 貴女に, 女の子を 授けましょう」
なんと, 少女は, 女の子を 身ごもりました。
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アオサ「ええー、そんな過去だったの!?」
ユイキリ「そうよ、ママ100万回もしんだのよ」
大きめのソファーに家族5人がぎゅうぎゅうに座っている。
丸テーブルには一冊の絵本。ユイキリの自伝だという。
シェード「完全に予想外なの」
ジヒナ「こんな人生初めて見たよ」
シェードはアオサの背中にしがみつき、ジヒナはユイキリと手をつなぐ。
ユイキリ「まっすぐな好意が初めてで、あたふたしちゃったのよ〜。ママー、ママーってもう可愛いんだからぁ〜」くねくね
アオサ「そういえばキクラは?」
ユイキリ「反抗的だったからつい、今までみたいにしつけたら、嫌われちゃった」てへっ
アオサ「あぁ……」
シオサ「それはお気の毒ですね」
シオサはコンパクトな蜂になってアオサの膝に収まっている。
アオサ「……えっ、ちょっと待って、もしかして私のパパって」
にゅるっ♪
女神「やっほーアオサちゃん♪」
アオサ「女神さま!?」
女神さまがアオサの背中からニュッと生えて来る。
女神「そうそう実は私がパパなんです」
アオサ「なんてこった」
シェード「えええええ!?」
ジヒナ「はうぁっ!?」
シオサ「突然ですね」
突然の爆弾発言に、みんなは意外と落ち着いていたようだ。
女神「ジヒナちゃん、大丈夫。遺伝子的には関係ないのですよ」ナデナデ
ジヒナ「はぅぅ」もじもじ
ユイキリ「女神さま、ありがとうございます。おかげで私はとっても幸せです」
女神「そんなに畏らなくてもいいのですよ」
ちゅっ♪
アオサ「あっ、私も私もー」
ユイキリ「いいわよ〜」
ちゅっ♪
女神「そうそう、耐久テストも兼ねて危険なキッスをどうぞ」
ちゅっ♪
アオサ「!?」ビクン
--アオサは死んでしまった
女神「あららら、まだまだですね〜」ぺちん
--アオサは生き返った
アオサ「女神さま……」ぽっ
ユイキリ「あんまりアオサちゃんをいじめないでくださいね」
女神「え? あ、はい善処します」
シオサ「ところで女神さま、どうして急に家に来たんですか?」
女神「そうそう、そのためにはまず、宇宙の成り立ちから説明しなきゃいけないんです」
ジヒナ「宇宙って、ビックバンから始まるんじゃ?」
女神「いいえ、それはただの宇宙よ」
女神が手をかざすと部屋が真っ暗になる。
否、周囲から全てのモノや概念、情報なんかがなくなってしまう。
形を保っているのはアオサたち5人と女神さまだけ。
女神「ここはなにもない空間。宇宙が始まる前の場所よ」
そう言って女神は宇宙を生成し始めた。
これはやらかした感あります。