BOSS:零魔ゼノジーノ 〜ゼロと無限のビルドアップ〜
前回の後半は怖かったので、軽く修正。
ゼノジーノ「くそっ、離せクソガキ!!」
シオサ「ダメです。ダグヌ第二形態でグダらせるのはNGです」
映画館のような赤と黒の観客席で、ジジイと幼女の取っ組み合いが続いている。
シオサは8人ほどに分裂して、ヒゲジジイを寄ってたかって押さえつける。
ゼノジーノ「こんな一方的な虐殺が許されるか! もっと激しい攻防と熱い展開を──」
シオサ「うるさいですね。時代は火力とスピードなんですよ」
みなさん覚えているだろうか?
ヒゲジジイの名はゼノジーノ。12話ぶりの登場なのだ。
ゼロを司る者であり、今回の騒動の黒幕だ。
スクリーンには蜂たちが戦闘を終えて幸せそうにナデナデちゅっちゅしている。
ヒゲジジイはスクリーンを指差し唾を飛ばして叫んでいる。
背中と両手両足にしがみ付くシオサを引き離そうとゴロゴロ転がってバタついている。
シェード「2人とも子供ねぇ」
シオサ「じゃあ私達と勝負しましょう」
ゼノジーノ「なんじゃと?」
シオサ「うふふ、貴方がいい勝負を演出すればいいんですよ」
ゼノジーノ「生意気なクソガキめ、いいだろう、ゼロの恐ろしさを思い知らせてやる」
バチバチバチバチ
ジジイと幼女の額に火花が散る。
ゼロと無限の戦いが今、始まる!
シェード「シオサー、頑張るのよー」
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[1ターン目]
シオサ「まずは私の真の姿をみせましょう」
ゼノジーノ「何ぃ?」
ブゥゥゥゥゥゥン!
--シオサの身体が崩れて蜂の群れが次々と姿を現す!
ブゥゥゥゥゥゥン
シオサは蜂球の
ぶすぶすぶす!
--シオサは毒針を刺した。
--ゼノジーノに0ダメージ。
ゼノジーノ「フォフォフォ、無駄じゃ。何をしようとゼロの前では無力。死ねぃ!
--ゼノジーノは『ゼロ』を使った。
ジュッ……
--シオサは消えてしまった……
シオサ「残念、パワーが足りませんでした」
ゼノジーノ「???」
ゼノジーノは首をかしげる。
ゼノジーノ「貴様、今確かに効いたじゃろ。攻撃は通ったはずじゃ!」
シオサ「そうですね。確かに身体の一部が消えました。全身の0%ほどですが」
数の暴力である。
シオサの身体を構成する蜂は純粋に数が多いのだ。
まともな手段で全てを消す事は不可能なのだ。
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[2ターン目] 泥仕合の予感がする
シオサ「(ふむ、何をしても0ダメージですか……)」
ゼノジーノ「(まさか宇宙よりも膨大だとは、ぬかったわ)」
--シオサは思考を巡らせる
--ゼノジーノも額にシワを寄せる
シェード「早くすればいいのに」
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[3ターン目] 沈黙が場を支配する
シオサ「(解析完了。行動全てが無に帰すのですね。)」
ゼノジーノ「(ワシが一度に消せる対象は ω_ω個まで。蜂がそれよりも多いとなると……)」
--シオサはゆっくり考える
--ゼノジーノは額に汗を流す
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[4ターン目] 睨み合いが続く
シオサ「(数で押し潰すしかないですね!)」
ゼノジーノ「(ワシ自身が強くなるのじゃ!)」
2人とも結論が出たようだ。
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[5ターン目] そして戦況が動き出す!
シオサ「行きますよ、【蜂増殖】」
もももも もももも
全ての蜂が無限に増殖する!
それぞれの蜂は無限の『有』と無限の『無』になる。
そして『有』と『無』が合わさり新たな世界を構築する!
一度だけでもすさまじい強化倍率だが、あろう事かそれを無限回くりかえしたのだ!
--シオサを構成する蜂が怖ろしい勢いで増えていく!!
--蜂は ω_ω_ω匹になった。
ゼノジーノ「ワシのパワーを見よ!【ビルドアップ】じゃ!」
ムキムキ ムキムキ
ゼノジーノの筋細胞も蜂と同様の増え方をする!
--ゼノジーノの手足が筋肉ムキムキになった!!!!!
--【ゼロ】の攻撃対象の数が ω_ω_ω匹になった!
シェード「何なのこれ?」
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[6ターン目] 増殖とビルドアップは続く
シオサ「まさかの互角ですか、それならもっと増殖します。」
もももも もももも
--蜂は ω_ω_ω_ω匹になった。
ゼノジーノ「4連オメガじゃと? まだまだ余裕じゃわい!」
ムキムキ ムキムキ
--【ゼロ】の攻撃対象の数が ω_ω_ω_ω匹になった!
シェード「何よこれ、何なのよ!?」
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[7ターン目] 戦いは平行線だ。
シオサ「【蜂増殖】」
ゼノジーノ「【ビルドアップ】じゃ!」
シオサは蜂の数が足りないと心臓もろとも消されてしまう。
ゼノジーノはゼロの力が足りないと蜂まみれで死んでしまう。
お互い命がかかっているのだ!
シェード「他から見るとシュール極まりないの」
[8ターン目] 同じ光景が続く
シオサ「【蜂増殖】」
ゼノジーノ「まだまだ、【ビルドアップ】じゃ!」
[9ターン目] 続く……
シオサ「【蜂増殖】」
ゼノジーノ「ふんぬ、【ビルドアップ】じゃ!」
--蜂は ω_ω_ω_ω_ω_ω_ω匹になった。
--【ゼロ】の攻撃対象の数が ω_ω_ω_ω_ω_ω_ω匹になった!
シェード「何よ、何よ、何なのよ! もう見てられないの」
ゼノジーノ「くそが、これだから無限のバトルは嫌なのじゃ」むきむき
シオサ「確かにクソゲーですねこれは」もももも
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[10ターン目] シオサの口元が緩む
シオサ「なら、加速しましょう」
ゼノジーノ「なんじゃと!?」
シオサ「今は ω が7個ですか。じゃあ10個並べます」
--蜂は ω_ω_ω_ω_ω_ω_ω_ω_ω_ω匹になった。
ゼノジーノ「ぐぬぬ、ならばワシも、はぁぁぁあ!!!!!」
ムキムキムキムキ ムキムキムキムキ
--【ゼロ】の攻撃対象の数が ω_ω_ω_ω_ω_ω_ω_ω_ω_ω匹になった。
ゼノジーノ「ぜい、ぜい、どうじゃ!」
シオサ「ふふっ、筋肉から変な音しますけど、大丈夫ですか?」
ゼノジーノ「うるさいわい」
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[11ターン目] 赤黒い空間がミシミシと音を立てる
シオサ「じゃあωを15個です」
ゼノジーノ「おおおおお!!!!!」
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[12ターン目]
シオサ「40個、どんどんいきますよー」
ゼノジーノ「ぎ、ぎぎぎ」
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[13ターン目]
シオサ「ω を100個です。そろそろ降参しませんか?」
ゼノジーノ「うご、ま、けぬ、負けられぬのじゃ」
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[14ターン目] ゼノジーノは白目を剥いてヨダレを垂らす
シオサ「ω を10000個です。どんどん加速しますよー」
ゼノジーノ「おごっ、おごごごご、ごふぉっ」
シェード「ちょっと待ちなさい、そろそろ危ないわよ!」
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[15ターン目] 赤黒い空間に白いヒビが入る
シオサ「ω を100億個です。そろそろ破裂しそうですね」
ゼノジーノ「ごふっ」
ムキムキ……パァン
パァン パァン パァン パァン
パァン パァン パァン パァン
シェード「あーあ、ダメじゃないシオサ」
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赤と褐色の血肉が辺りに飛び散ろうとしている。
シオサ「あっ、これはまずいですね」
シェード「もう、あんまり煽っちゃダメなのよ」
シオサ「うっ、ごめんなさいママ」
シェード「分かればいいのよ」ナデナデ
シオサの人型部分はナデナデされている。
シェード「血液や肉片には、んっ、ゼロの力が宿ってますね、んぅ♪」
シオサは膨大な蜂で肉片を包み込む。これで外には出ない。
そんな事よりナデナデだ、と言わんばかりにナデナデの幸せを全身で味わう。
シェード「それにしても、このゴミどうするの?」ナデナデ
シオサ「うんぅ、捨てたら全宇宙がメルトダウン、します。飲み込むのも、負担になります、あうぅ」
シェード「困ったのね」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
シオサ「あっ、まずいです。暴走して第二形態か何かになりそうな予感です」
シェード「ちょっと、捨てて来……って何処に捨てても宇宙崩壊じゃないの!」
シオサ「仕方ないですね。戦闘再開です」
グオォォォォォオ!!!!!
--ゼノジーノが現れた!
蜂球を蹴散らして現れたのは、赤黒い巨人だ!
肌は爛れ、人体模型のように骨と筋肉が露呈する!
このままでは全宇宙が消滅するので、シオサは蜂の壁でドームを作る。
シオサ「これは一人では骨が折れますね。ママ、手伝ってください」
シェード「ようやく出番なの!」
親子は両手を繋いで軽く微笑んで見つめ合う。
シオサの肉体が圧縮されて二本の針になる。
荒れ狂う熱波は物ともせずにシェードは目を開く!
クリーム色の髪の幼女に紫の眼光が怪しく光る。
シェードはサンドバッグを見るような目をして巨人へ駆けていくのだった。
またおかしな話ができました。なんじゃこりゃ?
一応、数学的には大丈夫っぽい。たぶんね。