忍者シティ
代わり映えのしない蜂が続く。
ざっ ざっ ざっ
黒衣の忍者は草原を歩く。
ざっ ざっ ざっ
無言で歩く。
ざっ ざっ ざっ
目の前に大きな門が見えて来る。
ざっ ざっ
クウジン「これはテーマパークか何かでござるか?」
派手なネオンライトで『忍者シティ』の大きな文字。
寿司や手裏剣によるチャラチャラした装飾。
忍者グッズの売店(自販機)。
クウジン「とりあえず、罠はなさそうでござる」
平静を装いながら内心怒りを燃やす。
忍者の誇りと伝統を小バカにされた憤りを胸の中に押さえ込み、クウジンは中へ歩を進める。
◯◯◯◯◯◯◯◯
[回想]
クウジンは昔の記憶を思い起こす。
山奥の曲がりくねったアスファルトの車道。その先にたくさん田園とビニールハウスがひろがっている。
一見穏やかな農村だけど、じつは『忍者の里』なのだ。
ここはクウジンの故郷。
彼が【風魔の勇者】となる以前はこの里で厳しい修行を続けて来たのだ。
麦わら帽子のおじさんがほうれん草を収穫し、避暑頭巾のおばあちゃんが稲を刈り取っている。
ズババババッ!
シャキン シャキン シャキン!!!
少し人間離れしているように見えるけど、一見平和な農村だ。
彼らは忍者。戦闘民族だ。
戦国時代では歴史の裏で暗躍した暗殺集団で、今は勇者と手を結び、共に仕事をしている。
忍者の伝統は時代とともにゆっくりと変化したのだ。
里では10年に一度、『風魔』の名を賭けた死闘が行われる。
4兄弟で暗殺合戦をして、生き残ったのがクウジンだ。
『風魔』は当代最強の忍者にのみ名乗る事を許される。
海を割り、天を裂き、6次元の複素空間から無数の斬撃を放つと言われる伝説の忍者。それが『風魔』だ。
その実力はまさに勇者にふさわしい。
彼は勇者となってひたすら任務を繰り返して来た。
悪の組織を解体し、災害を未然に防ぎ、人知れず魔獣を消し去ってきた。
そして今、ちゃらちゃらした忍者シティの前に立つ。
こんなの忍者じゃない!
そのモヤモヤとした憤りが彼の闘志に火をつける
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[忍者シティ クウジン視点]
クウジン「これは?」
ネオンライトが眩しいでござる。
高層ビルが並び、その間にコンビニや寿司屋が配置されているでござる。
寿司屋の宅配バイクが何故か複数走っているでござるな。
問題はビルの下から殺気が漏れている事でござる。
ギ ギギギギ……
これは?
ドカァァァァァァン!
ザリガニでござる!
ザリガニ「キシャァァァァァァ!!」
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[引き続き クウジン視点]
ここは忍者シティではなかったのでござるか?
何故に100メートルのザリガニロボに囲まれているでござる?!
ザリガニ達「「「ギチギチギチ」」」
クウジン「まずは【酸化毒霧】でござる」
プシュゥゥゥ!!
これはロボットへの毒、あのオリハルコンすら錆びつかせる魔法の毒霧でござる。
ぎぎぎ ぎ ぎ ……
ギギギギギュィィィィィィン!
なにっ!? 動くでござるか!
ズシャァァァ!!!
クウジン「ぐはぁぁぁ!?」
空蝉とビルが真っ二つでござる。
丸太を身代わりにしたから無傷でござる。
毒の効きはイマイチでござるな。ならば……
クウジン「忍法【分身の術】!」
ボォン ボォン ボォン ボォン ボォン
ボォン ボォン ボォン ボォン ボォン
10人いれば強さ10倍でござる!
クウジン「忍法【風刃】トゥッ!」
スゥッ……
ズバババババババババ!!!!!!
キン キン キン キン キン
キン キン キン キン キン
関節に当てたのに硬すぎて斬れないでござる。
やはり重戦車は忍者と相性悪いでござるな。
ザリガニ「ギギギギギ」
キュピーン
ボォォカァァァァァァァァン!!!!!
危なっ、ビームでござる!?
こうなったら分身を生贄に捧げて……
クウジン「忍剣【十方連斬】!」
ガキィィィィィン!!
分身を犠牲にパワーを出す必殺技でござるが……これはダメでござるな。
ザリガニ「ギギギギギ」
ズシャァァァ
スカッ
ズシャァァァ
スカッ
ズシャァァァ
スカスカッ
回避は余裕ござるが……これは千十手でござるな。
クウジン「逃げるが勝ちでござる!」
スタタタタ……
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ザリガニ「ギシャァァァ」
ズシャァァァ
スカッ
ズシャァァァ
スカッ
ボォォカァァァァァァァァン!!!!!
スカスカッ
クウジン「しつこいでござるな!」
高速移動からのレーザー、ビームサーベル、甲殻ミサイル。
回避は可能でござるが、肝心の蜂の姿が一向に見えないでござる!
さっきから毒霧撒いてるけど止まらないでござる。
これは仕方がないでござるな。
クウジン「究極忍法【千分身】!」
ボボボボボボボボ
ボボボボボボボボ
文字通り分身を1000体出す技でござる!
この分身、全てパワーに換えて……
クウジン「究極忍術【千方連斬】!!」
ズシャァァァァァァァァン!!!!!!!!
スパンっ♪
ザリガニ「ぎぎぎ……」
ボォォカァァァァァァァァン!!!
どしぃぃん……
クウジン「油断しないでござるよ。敵は……」
ごそっ ごそごそっ!
ザリガニの残骸が……蠢いて……?
ブゥゥゥゥゥゥン!!
ブゥゥゥゥゥゥン!!
ブゥゥゥゥゥゥン!!
ブゥゥゥゥゥゥン!!
やっぱり蜂でござる!
ここからが本番
ドスッ!
クウジン「ウッ!?」
ぱたり
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[スカラ視点]
スカラ「もしもし〜起きてるでござる〜?」
返事がないでござるな。
雰囲気に呑まれて隠密を疎かにするとは、まだまだ未熟でござるな。
って死にそうでござるぞ!
早く蜂製造マシンに突っ込むでござる!
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???「ふわぁ〜?」
ぽけー
スカラ「無事に産まれたでござるな。えっと? 名前を付けるのでござるか?」
???「お姉ちゃん?」
スカラ「貴殿の名前は、えーと……ソラ」
ソラ「はい。拙者はソラでござる」
スカラ「最初から言葉が分かるのでござるな!」
ソラ「はい。拙者、あのクウジンとやらの経験を全部引き継いでおります故」
スカラ「じゃあ最初の任務でござる。上空の巨大円盤に潜入して内側から徐々に破壊するのでござる!」
ソラ「了解でござる!」ビュン
こうして新たに産まれた蜂娘は、元気に飛び出して行った。
ステータスは後回しで。段々めんどくさくなってきましたw
↓できました
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クウジン→ソラ Lv 999(風)
HP :553万
こうげき:322万
ぼうぎょ:134万
まりょく:338万
せいしん:142万
すばやさ:393万
主な能力
・酸化毒霧
・千分身
・千方連斬
・ハチミツ生成
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