光剣の勇者と虚の城
最近スランプ気味かもしれない(ここ2日)
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■ 四天王前広場 ■
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ヒート「なんじゃこりゃ?」
四人の勇者が落ちた先にはお花畑が広がっていた。
涼しいそよ風にマントがひらひら。
雲ひとつない青空、一面の黄色いひまわり、そして草原に木の掲示板が立ててある。
側には何故か場違いな自販機がぽつんと設置してある。
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■ ↑北:剣戟の虚城 ■
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■ ←西:忍者シティ 東:呪氷の斜塔→ ■
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■ ↓南:灼熱の岩窟 ■
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クウジン「忍者シティでござる?!」
ザッシュ「これは?」
ヒート「四天王だとよ。敵さん随分とエンターテイナーらしい」
ダーク「オレの相手は闇使いじゃないようだがな」
ヒート「しっかし俺たちに合わせてくれるとは、随分と余裕じゃないか」
ザッシュ「ヒート、ロボットバトルとはいえ僕たちは一度敗北している。気を引きしめるんだ」
ダーク「ところで、オレたち4人一緒に行動するというのはどうなんだ?」
クウジン「仮に拙者が相手の立場なら、同数をぶつけるでござるな」
ヒート「それより、ほら、飲み物が無料だぜ!」
ぴっ ガコン
ヒートの手には、『はちみつ炭酸スカッシュ』と書かれた水色と黄色のアルミ缶が握られている。
プシュッ ごくごくごく
ザッシュ「ヒート、毒入ってないか?」
ヒート「ぷはー……何ともないぜ?」
ダーク「オレの第六感が大丈夫だと告げている」ごくごく
クウジン「拙者は遠慮するでござる」
飲み物には毒など入っていない。むしろ体力回復の効果がついている。
ポイッ
ポイッ
ヒートとダークはアルミ缶を器用にゴミ箱の穴に投げ入れる。勇者はポイ捨てをしないのだ!
そして4人はそれぞれ東西南北へ分かれて行く。
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[ザッシュ視点]
ふぅ、やっぱり心苦しいよ。
彼女たちは普通に暮らしていただけ。
人を侵すウイルスさえ持っていなければ分かり合えた……いや、今はよそう。
心を鬼にするんだ。
全人類のために悲しみを背負おう。
おや?
草原の向こうにお城が見えてきた。
絵本で見るような立派なお城だ。
少しぼやけて見える。なるほど虚城とは良く言ったものだ。
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無人の城下町を通って城に入る。
城の中は閑散としていた。まるごとバトルフィールドにするつもりか
ザハト「ようこそ、虚の城へ。私はザハト、剣士をやっている」
ザッシュ「!?……」
ザハト「ん、どうした?」
美しい、なんて……美しい。
黄金色に輝く髪がさらさらと揺れている。
爛々と光る瞳は紫水晶のようだ。
絵本の中の女騎士が飛び出して来たような現実離れした美貌
ザッシュ「……キミのような綺麗な人を斬らなければならないのは非常に残念だよ」
ザハト「これは仮初めの肉体だ。いくら斬っても大丈夫だぞ?」
蜂は危険だ。そこにいるだけで多くの人が迷惑する。だから駆除しなければ。
ザッシュ「僕はザッシュ、【光剣の勇者】ザッシュ! 全人類の未来の為に、お前を斬る!」
ザハト「そうかザッシュというのか。どんな剣筋か楽しみだよ」
シャキン シャキン
二刀流か。赤紫と青紫の刀身が綺麗だ。
ザッシュ「行くぞッ!」
ガキィィィィィン!
◯◯◯◯◯◯◯◯
とある都市の郊外で、警察官と主婦の間に男の子が生まれました。
父は少年に「嘘つきは泥棒の始まり」と言います。少年は正直者になりました。
父は少年に「人の為に働く事は立派な事だ」と言います。少年は人助けこそ至高だと思うようになりました。
父は少年に「この世には救いようもない悪党がいる」と言います。少年は悪党も救ってみたくなりました。
……
やがて少年は学校に行きます。
多大な尊敬と多少の嫉妬を受けながら、トップの成績で卒業します。
勇者養成施設でも相変わらずトップの成績です。
そして勇者になってからもみんなに一目置かれていました。
順調にランクを上げて、順調に最高ランクのA級まで登りました。
彼は人にも魔獣にも負けた事がありません。
苦戦を強いられた時も、必死で頑張れば勝てました。
しかし……
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[ザッシュ視点]
たったったったった
ザッシュ「ハッ!」
ザハト「……」
すっ
ザッシュ「てやっ!」
ザハト「……」
すっ すっ
ザッシュ「魔法剣【残光剣】!」
ザハト「……」
ズババババッ
キキキキキン♪
当たらない、まるで当たらない!?
剣先を軽くズラされて、当たりそうで当たらないギリギリの所で回避され続ける。
ザッシュ「まさかこんなに早く切り札を使うなんて。究極魔法剣【聖剣の雨】!」
斬 斬 斬 斬 斬 斬 斬 斬
斬 斬 斬 斬 バ 斬 斬 斬 斬
斬 斬 斬 斬 バ 斬 斬 斬 斬
斬 斬 斬 斬 バ 斬 斬 斬 斬
斬 斬 斬 斬 バ 斬 斬 斬 斬
斬 斬 斬 斬 バ 斬 斬 斬 斬
斬 斬 斬 斬 バ 斬 斬 斬 斬
斬 斬 斬 斬 バ 斬 斬 斬 斬
斬 斬 斬 斬 ズ 斬 斬 斬 斬
斬 斬 斬斬 斬斬 斬 斬
斬 斬 斬斬 ザハト 斬斬 斬 斬
……信じられない。斬撃の雨を斬り裂くなんて。
彼女は走りながら天に向かって刃を一振り。
それだけで斬撃が彼女を避けていくのだ。
ザハト「なぁお前、適当に剣ぶんぶんしてるだけだろ?」
ザッシュ「……えっ、えっ!?」ぞわっ
背筋がスッと冷える。
今のセリフが脳にへばり付く。ハチミツのようにへばり付く。
(もしかして、今まで僕は未熟な剣技を晒していたのか? ちやほやされていただけなのでは?)
思考が止まらない!?
ガンガンガン ガキィィィィィン!!!
ザッシュ「しまった!?」
ザハト「力は強いが技も心も年相応だな」
ザシュッ
ザッシュ「かはっ!?」
ザハト「お前の敗因は、技術と経験と精神力、そして何より、レーザーが足りない!」
ドスッ
心臓を刺された。いや、剣とレーザーで同時に貫かれたのか。
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身体が冷たい。
血と一緒に生命力が流れてしまう。
ごめんなさい。僕はここまでみたい。
眠い、意識が……眠く……
ダメだダメだ、自分が諦めたら人類が終わってしまう。
人類の為に、全ての人類の平和の為に!
ドクンッ!
心臓が動く!?
力が戻って来る!
まだだ、まだやれる!
うおおおお!!!
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体が軽い! 今なら限界を超えた斬撃を放てる!!
ザッシュ「はぁぁぁあああああ!!!!!」
ガキィィィィィン!
ザハト「おお、動きが良くなったぞ!」
ザッシュ「せやぁ!」
ガキィィィィィン ガキィィィィィン!
ザハト「その調子でレーザーも交えるんだ!」
ザッシュ「はいっ!」
キュィィィィィィん!
チュン チュン チュン
ザハト「もっと速く、もっと強く!」
ザッシュ「はいっ!」
キィィィィィィン♪
ガガガがガガガガ
ガキィィィィィィ♪
ザッシュ「はあ、はあ、はあ」
ザハト「よくやった。今日から蜜蜂流の初段を名乗る事を許そう」
ザッシュ「ありがとうございます」
ザハト「それと、お前はもうザッシュじゃないからな。そうだな、サーシャと名乗るが良い」
サーシャ「はいっ、お姉さま♪」
ザハト「可愛い奴め」ナデナデ
サーシャ「はうっ」もじもじ
ザハト「ところで、地上でニンゲン達が蜂をいじめているのだが」
サーシャ「なんですって?! 許せない。お姉さま、ボクは全ての蜂の為に正義の鉄槌を下して来ます!」
ザハト「おう、程々にな!」
ブゥゥゥゥゥゥン……
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正義に燃える蜂娘は黄色と黒の髪を揺らす。
蜂を守り、蜂の為に人を斬る。
人の正義は蜂の正義に変わったが、強さと優しさはちゃんと残っている。
こうしてザッシュの生涯は閉じて、サーシャが生まれたのだった。
ザッシュさんは心臓移植されましたとさ。
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ザッシュ→サーシャ Lv999(光)
HP :629万
こうげき:358万
ぼうぎょ:212万
まりょく:176万
せいしん:212万
すばやさ:316万
主な能力
・残光剣
・聖剣の雨
・レーザービーム
・ハチミツ精製
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