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愚者の心臓・蜂娘 〜蜂をナデナデする話〜  作者: ✨️ゲーミング百合✨️
1面:クラムシティ ~潮風かおる港町~
6/108

蜂になっちゃえ!

ここから本番。

「もしもしママ~」

「もしもしアオサちゃん」


「今ね~猟師のおじさんを蜂にしてナデナデしてるの。」

「あらあら~?!」



▼▼▼▼▼▼▼▼



 [ガリア山 ~突風うなる雲雨山~]


  ブゥン……


「わぁ、バクダン茸だ。」パシャッ


  ブゥン……


「あっ、でかいアリさんの巣だぁ」パシャッ


  ブゥン……


「ワイドバーンのタマゴだ、ピクピクしてる~」パシャッ


 ここはガリア山、リーブタウン西の山だ。


 ボーイッシュな少女がスマホ片手に超高速移動を繰り返している。


 吹き荒れる風を置き去りにして風景を切り取っていく。


 ガリア山には鳥型、飛竜型、猿型、キノコ型魔獣が多数生息している。


 気温は10度、天気は変わりやすく、晴れたり雨霰が降ったりする。


 天気はくもりだ。


 先程の『ワイドバーン』は飛竜型の魔獣だ。

翼を広げると16メートル!弾道ミサイルでもビクともしないぞ!


「んはぁ~私の世界が広がる~♪」


 私はッ、興奮しているッ!!未知との遭遇、胸が高鳴るよッ!!!


「ママありがとう~」


勢いで叫んでしまった。ママに聞かれたかも?……ちょっと恥ずかしい//


 ブンブン


 気を取り直してさっきのバクダン茸でも食べ……おや?あれは……ニンゲン(オス)だ!!


 ニンゲン+犬数匹とワイドバーン夫婦が交戦中。


 双方傷だらけだがニンゲン側が押されてる。ワイドバーンの弱点を突いてはいるものの、パワーで押されているようだ。


「ニンゲンを助けるか、魔獣を助けるか、それとも……ちょっと様子を見ますか。」



○○○○○○○○



 アオサはニンゲンのオスを生で見るのは初めてである。


 父親はなぜか産まれた時からいなかった。


 記憶の中のクズ男は、ロクに仕事もせず遊び惚けて家から追い出されたゴク潰し。見てて吐き気がする。


 ミツビーのオス達は、産卵管と引換に毒針を失いロクに仕事ができず、産卵期が終わると巣から追い出されて餓死する存在である。


 そんな光景を見て育ったせいで、アオサの価値観は徹底した『女尊男卑』だ。


 11歳の時、アオサ自ら女王蜂を誘惑しオス蜂みんな玉砕、血を飲ませて種の改造を施し口から産卵管を出せるようにして毒針との両立に成功。『オス蜂』という概念を消し去ったのだ。


(余談だが、アオサも口から産卵管を出せる)



▼▼▼▼▼▼▼▼



(猟師視点)


 俺はマストン。クラムシティの猟師だ。今日の獲物はワイドバーンだ。


 ウチは妻と息子と娘の四人家族。息子は来年街の学校に行く事になっているから学費としてまとまった金が必要なんだ。ここらで大物を仕留めたい所だ。


 冒険家の免許も取っていて、Dランクだ。そこそこ腕には覚えがある。


 パーティーはオレとグルドッグ×5。これでワイドバーンを捕獲する。リスクは大きいが、一獲千金を狙える大物だ!


 ワイドバーンはCランクの魔獣だ。頑丈な翼と慎重な性格が厄介で、正攻法だと守りを突破するのは困難だが、弱点はある。


 まずは嫌がらせだ。巣から少し距離を取ってグルドッグに吠えさせる。俺は遠方から狙撃の準備だ。


 ワンワン ワンワン ワンワン


 ……………………


 ゴガァァァァァ!!


 ワイドバーンの父親が起こって風のブレスを吹き出す。が、犬たちは絶妙に当たらない位置にいるのだ。


 さらに嫌がらせを続ける。煙幕弾を撃ち込んだり、大声で悪口を叫んだりしてみる。


 モクモクゥ

         (バーカバーカ)


 ……………



ワイドバーン「ガァァァァァ!!」


すると、ワイドバーンの父親がブチ切れて飛び出してきた。さぁ戦闘開始だ!


 正面から突撃すれば風のブレスで一掃されてしまうので、散開ッ!


--ワイドバーンは風のブレスを使った。

--グルドッグが一匹倒れた。


 風のブレスで一匹やられる。そのスキに翼の付け根に『どくどく弾』を打ち込む。


 ライフルを構えて……


  ズドンッ!!


『グギャァァァァ!!』


 猛毒により体力が急速に奪われる、これで6分もすれば戦闘不能だ……


  ドガォォォン!!


ワイドバーンB『ギシャァァァァ!』


 まずい、母親ワイドバーンだ。こんなに早く出て来るのか……


  バヒューーーーン


--ワイドバーンは上空から突風を巻き起こした。

--グルドッグ達は戦線離脱した。


 まずい、犬達が吹き飛ばされた、


  ギロリ!


「ヒッ!?」びくっ


 気付かれた!


 母親ワイドバーンが急速に距離を詰めてきた!


 (何か、何か手はないのか、)


 手が震えて上手く弾丸を装填できない。


 (そうだ、タマゴだ。洞窟の奥に発砲すれば……)


 わずかな希望で震えを押し殺して真鍮の弾丸を装填


  チャキッ、バァン!


  ブゥン


「もしもしそこの猟師さん、今何をしました?」にこぉ



▼▼▼▼▼▼▼▼



 はぁぁぁぁ、これだからニンゲンのオスは。


 タマゴを人質に母親を射つとか、外道すぎて吐き気がするわー。



 ……戦いの余熱が残っている。


 猟師さんは私の左手を見て目をパチクリさせている。


 そりゃ女の子が弾丸を指でつまんでたらビビるよね。


アオサ「狩人さん、タマゴを産むのってとっても痛いんだよ?」

猟師の男「えっ?えっ?」


アオサ「母親は命がけなんだよ!」

猟師の男「おっおう?」


アオサ「分かってないね……」

猟師の男「待ってくれ言いたい事は分かるが、ああでもしなきゃ俺は死んでたんだよ。」


アオサ「ふ~ん。」じとぉ

猟師の男「アンタも同じ状況ならそうしただろ?」


アオサ「はぁぁぁぁ……」イラッ

猟師の男「………?」


 私の罪悪感を揺さぶろうとでもしてるのかな?往生際が悪くてとっても不愉快だ。


アオサ「ここは弱肉強食の世界だよ。アンタは、今から、理不尽に、狩り取られるだけだ!」

猟師の男「待ってアンタ人間だろ俺には家族が……」


アオサ「蜂になっちゃえ!!!」


 私の赤血球はあらゆる対象へあらゆる性質を『付与』『回収』する事ができる。


 私の頭に次の文章が浮かぶ。


─────────────

 [赤血球]


>『(対象)』から『(性質)』を回収


>『(対象)』に『(性質)』を付与


─────────────



 まずは上を選択しよう。



─────────────


>『(対象)』から『(性質)』を回収


─────────────



 (対象)に目の前の男、(性質)に性別:♂を入れよう。


─────────────


>『目の前の男』から『性別:♂』を回収


─────────────



 よしよし、目の前の男からむさ苦しさが取れた気がする。


 今度は性質を付与してみよう。



─────────────


>『目の前の人』に『性別:♀』を付与


─────────────



 よしよし、女の子になったね。でもまだまだ物足りないな。



─────────────


>『目の前の人』に『種族:ミツビー』を付与


─────────────




 こうしてむさくるしいオッサンはかわいいかわいい蜂になった。


 全長30cmのミツビーが腕の中でパタパタしている。可愛い。


 ずっとナデナデしていよう。


  ナデナデ、ナデナデ


「そこのワイドバーンのお父さん?何か言いたい事はありますか?」


(グルルッ、命を落とすのは己の未熟さ故。そのニンゲンのように悪あがきはしまい。だが、我が子を一目見たかった。)


「では、生きて娘を見るか、娘の糧になるか選べるならどうします?」


(娘……なのか。叶うなら、我が願いは、全てを娘に捧げる事だ……)


「では、力と愛情をまだ見ぬ娘さんへ」


(おお、ありが……とう……)



>ワイドバーン♂から「ステータス」と「愛情」を回収、タマゴへ付与。



ドシィィィィン……


ワイドバーンのお父さんは力尽きた。



▼▼▼▼▼▼▼▼



「……って事があったんだよ」


「あらあらまあまあ~、ウチの食卓のお肉はマストンさんが狩って来ているものなのよ。ちゃんと戻しなさいよ?」


「わかった。善処する。」


「明日も頑張ってね、アオサちゃん」


「うん!また明日。」


ピッ……

参考までに


---------


ワイドバーンLv40


HP   :12200

こうげき:3234

ぼうぎょ:5450

まりょく:2975

せいしん:5886

すばやさ:3050


主な能力(ワザ)

・風のブレス

・ウイングクロー

・ワイドシールド

---------


グルドッグLv20


HP   :5200

こうげき:990

ぼうぎょ:1321

まりょく:726

せいしん:1178

すばやさ:1321


主な能力(ワザ)

・かみつく

・吠える

・匂いを嗅ぐ

---------


風のブレス:風タイプの魔法攻撃。

単体→威力160、2体→威力120、3体以上→威力80


グルドッグ達に直撃すると 18586~21819ダメージでオーバーキルされます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] やはり言葉がすごく綺麗だと思います。 勢いが感じられて、読んでいて楽しいです。 [気になる点] 「ナデナデ、ナデナデ」←この一文が頭から離れません、どうしてくれるんですか! これ凄い好きで…
[良い点] 妙に蜂の描写が細かいのじゃ。 そういうのは純粋に良いと思うのじゃ? [気になる点] > 「今ね~猟師のおじさんを蜂にしてナデナデしてるの。」 ……たとえ蜂ではなく狐に変えられたとしても、…
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