忠犬アマコウ
シオサちゃんがやりたい放題すぎて予定がめちゃくちゃだよ。
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アマノウス?「むぅ? ここは……お主いったい何をしたのだ?」
シオサ「おはようございます。ここは私の中です。そしてあなたはアマノウスではありません。コピーです。今からあなたはアマコウです。」
アマコウ「何だと!?」グルルッ
アマノウス改めアマコウは、シオサと一緒に草原に座っていた。シオサのエメラルドの髪とマゼンタ色の瞳がギラギラ揺れている。
シオサ「犬は喋っちゃダメです。」
アマコウ「ワン? ワンワン!!(なっ!? 貴様、ワタシをペットにする気か!)」
シオサが何かした様子はないのに、アマコウは人語を話す能力を失ってしまったらしい。
シオサ「ほら、見て。本物が喋ってるよ。」
アマコウ「わうっ?」
ふぉぉぉん♪
平原の空に本物のアマノウスがアオサ達と話している光景が映される。
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アマノウスが瞬きすると景色が変わる。
草花が揺れる草原の小屋の中、木でできた床と椅子とテーブルが現れる。
白いティーカップに七部目ほど注がれた紅茶が4人分、心安らぐ香りがたちこめる。
アマノウス「アオサよ、やはりお主は見ていて飽きないよ。」
アオサ「そりゃどうも」ずずー
シェード「覗き魔なの。」ずずー
シオサ「まぁ良いではないですか」すー
アマノウス「ここまで来てどう感じた?」
アオサ「そうだね、色々あったけど、楽しかったよ。」ずずー
シェード「そうね、あたしも楽しかったの!」ずずー
シオサ「私はこの星に来て間もないので、見るもの全てが新鮮です。」
ルルリエ「わたくしも、色々アレな所はありましたけど、驚きに満ちたひとときでした。」
アマノウス「うむ、それは良かった。だがアオサよ、オマエが歩いて来た道の横ではニンゲン共の醜い争いが起こっていたはずだ。」
アオサ「そんなん見ても面白くないよ?」
アマノウス「ではオマエに問う。仮に、仮にだ。とある国の王が戦争を始め、その戦争の余波でオマエの母が死んだとしよう。その時オマエはどうする? 復讐か? それとも黙って悲しみを堪えるか?」
アオサ「そんなの決まってるじゃん。関係者全員ハチにしてナデナデ。そして私は一人二役でママと自分を演じるの。みんな幸せハッピーだよ!」
アマノウス「ふふっ、ハハハハハ、あーっはっはっはっは。やはりオマエは面白い。常にワタシの期待の上を行く。」
白銀の山犬は目を細め、その大きな口をいっぱいに開けて笑う。
アオサ「そうかな? ただのサイコパスだと思うけど。」
アマノウス「そう、ニンゲンから見たら、な。かつてニンゲンに世界の管理を任せた時期があったのだ。」
シェード「流れ的に正義感が暴走しちゃったのね?」
シオサ「恋人を守るために気づいたら人類を敵に回していたパターンですね。」
アマノウス「そうだ。正義や優しさ等というモノは管理者には不向きだ。彼は勇者と呼べる人格者だったが、愛する者を殺され、ニンゲンに失望して世界を滅ぼそうとしたのだ。」
アオサ「無駄な争いを避けるのは生存競争の基本だからね。そういう事なら私達が管理してもいいよ。」
アマノウス「うむ、助かる。」
シェード「ニンゲン終了のお知らせなの。」
アマノウス「あんなもの、危なっかしくて安心できぬわ!! 蜂のほうが安全というモノだ。」
アオサ「そうだね、表面上はニンゲンを演じさせるとしますか。」
シオサ「ところで、貴方はいくらでも分身する事ができますよね。何か緊急事態でもあったのですか?」
シェード「シオサ?」
突然シオサが話を遮る。
シアン色の瞳がじっくりと白犬の黒くて丸い目を見据える。
アマノウス「ふむ。お主も気づいたか。実はな、クラゲ星人とやらが過去のワタシに攻撃し続けているのだよ。」
ルルリエ「ええー!! 何ですってーー!!!!!」
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アマコウ「わうぅ……(なんという事だ……)
自分はアマノウスではなかった。シオサがアマノウスを真似て作った犬だったのだ。
シオサ「アマコウ、あなたは私のペットです。お手!」
アマコウ「……」ぽふっ
シオサ「くるくる」
アマコウ「……」くるくる
シオサ「おすわり」
アマコウ「……」スッ
シオサ「よくできました」ナデナデ
アマコウ「わっ、わふーん♪」
アマコウは子犬になっても創造神。
分かるのだ。
全ての時空を統べ、全ての異世界を統べ、全ての可能性をも掌握する神には、恐ろしい光景が見えるのだ!
目の前の膨大な蜂の塊の前では無限でさえ生温い。無限を何度超えても勝てる気がしないのだ。
何よりシオサはアマコウの創造主。主人の願いを叶えるのは創造物としては当たり前なのだ。アマノウスの息子たちがそうだったように。
シオサ「よしよし、アマコウはかしこい。」
アマコウ「ワン」
……こうしてシオサはペットをゲットした。
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[宇宙が始まる前の混沌の海]
時間も空間もまったく安定しないめちゃくちゃな世界。
あえて例えるなら“嵐の夜の海”とでも言うべきか。
少しくすんだ白髪が触手のように蠢く、ルルリエを成長させたような美女がゆらゆら漂っている。
胸には白いタマゴを持って、細い髪の毛を殻に差し込んでいく。
???「ふふふ、種は仕込んだわ。奴は気づいていないようね。うふふふふ、これでわたくしの、わたくしの為だけの世界を作れるのね! あはははは!!」
音もない海に声が響いた気がした。
シオサちゃんの目は興奮するとマゼンタ色になります。普段はシアン色……という設定にします。
↓ アオサとシェードは非常にアンバランスなステータスとなっております。
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アオサ Lv ω_4(水)
HP :ω_10000000
こうげき:ω_4
ぼうぎょ:ω_4
まりょく:ω_4
せいしん:ω_10000000
すばやさ:ω_4
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シェードLv ω_4(風+闇)
HP :ω_10000000
こうげき:ω_8
ぼうぎょ:ω_2
まりょく:ω_8
せいしん:ω_10000000
すばやさ:ω_8
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