ビルドアップとジレンマ
ポッと出のカンガルーのせいで予定が大幅に狂った。
[カンガスタジアム]
フゥウィィィィィン!
ジムの自動ドアを潜る。
だだっ広い空間だ。目の前に受付カウンターがあって、左右にトイレがある。
メガマッソウ「さて、君たちにはオレと力比べをしてもらいたい。」
アオサ「はい喜んで♪」
アホ毛と共に身体をクネクネさせる。
シェード「アオサがママさんにメロメロなの」
ルルリエ「ええっと〜、見た目はともかく、素敵なお母さんだと思います……?」
メガマッソウ「そうだな、そこの青いのと黄色いの、2人まとめてかかって来い!」
メガ娘「きゅいきゅい!!」ぶんぶん
アオサ「はいっ!」
シェード「ボコってやるの!」
ルルリエ「わたくし、応援します。」
カンガルーの袋では娘が右手を振り回している。
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白い廊下をカツカツ歩きながら、このドームの中を色々見せてもらった。
町の人たちは、強さや戦闘スタイルは様々だけど、戦って友情を育んでいるようだ。
空間が歪んでいるおかげでバトルフィールド大(日本くらい)、バトルフィールド小(町くらい)が1000箇所ずつある。ジヒナの船ほどではないが、なかなか便利だ。
日帰りの人もいれば、住み込みで戦い続ける人もいる。空間を歪めてLDKの立派な部屋をたくさん作ってある。
一般人の平均レベルは500くらい。さすがに無限が大量にいるなんてないよね。
メガマッソウ「このジムのアイディアを出したのはオレだが、建設したのは町の人たちだ。オレが建ててやったんじゃトレーニングにならないからな!」
メガ娘「きゅいきゅい!!」ぱたぱた
アオサ「さすがメガお母さん!」
シェード「あたしも丸投げスタイルなの!」
ルルリエ「わたくしのお母さまは過保護気味でしたのね。」
すれ違う人はムキムキ野郎が多い。大丈夫、すれ違うだけなら我慢できる。
筋肉少女もいるのが救いだ。
自販機でプロテインを買う。200円を投入する。イチゴ味、飲みやすい。
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下への階段を降りて行く
カツン カツン カツン
ルルリエ「暗いですね」キョロキョロ
カツン カツン カツン
おや、立派な扉が見えてきた。
メガマッソウ「ここが中央スタジアムの入り口だ。3秒数えてから入ってくれたまえ。観客席はあそこだ。では!」ビュン
メガ娘「きゅいっ」
フォン、カチャカチャ、ドンドン
すごい勢いで準備してる。
ルルリエ「では、わたくしは観客席で待ってます。2人とも頑張ってください!!」ヒュン
アオサ「行こうか」
シェード「行くのよ!」
ガチャ
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[カンガスタジアム 〜マッスルフィールド〜]
バトルフィールドまでの廊下だ。暗い。
カツン カツン カツン
タァンタァンタァン パァ!
広い草原をナイターの照明が囲んでいる。
幻聴「レディースアンジェントルメン。(うんたらかんたら)」
幻聴「わーわー」
幻聴「きゃーきゃー」
幻聴「ひゅーひゅー」
幻聴「青コーナー、若きチャレンジャー、アオサ&シェード」
バァァァァァァン!!
幻聴「そして赤コーナー、我らがチャンピオン、メガマッソウ!!」
ドォォォォォォン!!
メガマッソウ「はっはっは、どうだ即席のマッスルフィールドは。雰囲気は大事だからな。」
アオサ「あ、あはは……」
シェード「うるさいの、さっさと始めるの!」
メガマッソウ「このマッスルフィールドは亜空間。無限のパワーを出しても宇宙が消滅する心配はない。遠慮なく来い!」
カァァァァァァァァン!!
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[1ターン目] 観客がうるさいの!
アオサ「飛ばして行くよ!」
シェード「ぶっ飛ばすの!」
「「合体!!」」
合体して黄緑色の蜂ボールになる。黄緑色の身体と小さな顔、二対の翅に2本の腕だ。
お互いこうげきω_13、防御は紙。当たると即死する状況だ!!
シェード「「まずは毒針で二度死ぬがいいの!!」」
--シェードはどくばりを放った!
ドドドドドドドド
幻聴「おおっとぉ! 無数の針の嵐がメガマッソウに襲いかぁかるぅぅぅ!」
メガマッソウ「この程度ならまだ」ブンッ
シェード「「そこなのー」」しゅん
ガキィィィィィン!!
毒針を2本構えたタックル。一本は弾かれもう一本はメガマッソウの肺に風穴を開ける。
--メガマッソウにω_13のダメージ
--メガマッソウはこらえた!!
メガマッソウ「なんのこれしきぃぃぃ!!」
シェード「「毒ダメージもあるの!!」」
ドゴォン!
--メガマッソウにω_13のダメージ
--メガマッソウはこらえた!!
幻聴「おおっとさーすが我らがチャンピオン、持ち堪えたぁぁぁ!!」
メガマッソウ「……ぐはぁ、はぁ、はぁ、次はオレの番だ!」
--メガマッソウは拳を低く構えた。
--娘も真似をしている。
ルルリエ「「ごくり」」
メガマッソウ「カンガルー奥義、ビルドアップパーンチ!!」
メガ娘「きゅいきゅいー!」
幻聴「早速出ました我らがチャンピオンの奥義。チャレンジャーは対処できるのか?」
ガキン!
ガキン!
親子のパンチを毒針で弾いてダメージはない。
ちゅいーん♪
ちゅいーん♪
--メガマッソウのステータスが上がった!!
--メガマッソウのステータスが上がった!!
シェード「「嫌な予感がするの……」」
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[2ターン目] 詰みかもしれないの。
シェード「「(ワカメの経験だとボスのバフは死ぬほどヤバいの)」」
メガマッソウ「今度は耐えられるかな? ビルドアップパーンチ!!」
バヒュン!!
シェード「「速っ!?」」
ガシャァァァァン!!
ドガァァァァァン!!
シェード「「ぐふっ」」
--シェードとアオサは死んでしまった。
--シェードとアオサは生き返った!
--メガマッソウのステータスが上がった!!
--メガマッソウのステータスが上がった!!
シェード「「(頭がぐわぐわするの。)」」
--シェードは翅を高速で動かし、さざめいた!
ぱたぱた
ドガァァァァァン!!
ボカァァァァァン!!
ちゅーどーーーん!!
ずしゃっ
メガマッソウ「効かーーーん!! これがビルドアップパワーだ!!!」
幻聴「止まらない止められない! これにはチャレンジャーもお手上げかー!?」
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[3ターン目] 私は、あたしは、私?
シェード「「(思考がまとまらないの)」」
アオサ「(シェードちゃん、ぶっつけ本番のアイディアがあるんだ)」
シェード「(なにかしら?)」
アオサ「(リュックの中の働き蜂と追加で合体するんだ。ノイズ聞こえるけど我慢してね)」
シェード「(えっ?……まぁ、いいのよ。)」
アオサ「いくよ」
ピカーン!!
メガマッソウ「何だ!? ビルドアップパワーを感じる。」
幻聴「おおっとチャレンジャー、何やらすごい技を繰り出そうとしているー!」
モブ蜂「アオサ様ぁ〜♪」
モブ蜂「アオサ様ぁ〜♪」
モブ蜂「アオサ様ぁ〜♪」
モブ蜂「アオサ様ぁ〜♪」
モブ蜂「アオサ様ぁ〜♪」
モブ蜂「アオサ様ぁ〜♪」
モブ蜂「アオサ様ぁ〜♪」
モブ蜂「アオサ様ぁ〜♪」
シェード「なによこれぇぇぇぇぇ〜!?!?!?」
パァン!
--合体が解除された。
「「あ“っ”!!!」」
メガマッソウ「どうやら失敗のようだな、だがバトルは非情だ、オレたちの必殺技で沈めぇぇぇぇぇ!!!」
メガ娘「きゅいぃぃぃ!!」
--メガマッソウは全力無双百烈拳を放った!
タタタタタタタタ
タタタタタタタタ
タタタタタタタタ
タタタタタタタタ
ヒュン
ボォォォカァァァァァァァァン!!
--アオサとシェードに ω_21 のダメージ。
--アオサとシェードは生き返った……けど気絶している。
こうしてさほど長くない0秒間は終わった。
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アオサ「うーん」
シェード「うーん」
ルルリエ「目を覚ましたんですね、よかったー」
メガマッソウ「はっはっは、やはりお前たちは興味深いな。さっきのはすごいパワーを感じたぞ。」
メガ娘「きゅいきゅいきゅいきゅいぃ!!」
アオサ「ごめんね、失敗しちゃった」
シェード「あたしこそゴメンなの。」しょぼん
メガマッソウ「うむうむ、友情パワーがもう少しあれば成功させられる! 精進するがよい。次を楽しみにしているぞ!」
メガ娘「きゅい!」
アオサ「うん、頑張るよ。メガお母さん!」
シェード「あたしも頑張るの……」
ルルリエ「2人とも、がんばるです!」
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あの後、メガお母さん特性プロテインをご馳走になった。ミックスフルーツ味で飲みやすくて栄養満点だ。
帰り道、赤い太陽が目の前の地平線にかかり、海面に黄色い線ができている。
私とシェードちゃんは砂浜の上のコンクリートに並んで座っている。
シェード「………」
アオサ「………」
シェード「ねぇアオサ」
アオサ「なぁにシェードちゃん」
シェード「アオサ一人なら、あの蜂たちと合体できたのよね。」
アオサ「うん、そうだね。」
シェード「勝てたのね?」
アオサ「そうだね。」
シェード「そう……」
アオサ「でもシェードちゃんと一緒がいいんだ。」
シェードちゃんは私の左手をぎゅっとする。左手が軋む。
シェード「……ずるい。ずるいのよ。」
アオサ「……そうだね。」
私だけが強くなったんじゃ、今の関係が壊れてしまう。
左手の痛みを感じながら目を閉じて、私はやるべき事を探していた。
この小説のステータス上昇系は死ぬほど強いです!
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シェード@アオサLvω_9(風+闇)
HP :ω_7
こうげき:ω_13
ぼうぎょ:ω_7
まりょく:ω_13
せいしん:ω_7
すばやさ:ω_13
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↓カンガルーのインフレビルドアップ劇
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筋跳獣メガマッソウLvω_10(光)
HP :ω_10 →ω_14→ω_18
こうげき:ω_13 →ω_17→ω_21
ぼうぎょ:ω_10 →ω_14→ω_18
まりょく:ω_6 →ω_10→ω_14
せいしん:ω_10 →ω_14→ω_18
すばやさ:ω_10 →ω_14→ω_18
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ぼうぎょω_14になった時点で、アオサシェードからはノーダメージです。