雨上がりの陰
前回はやりすぎた。反省している。
どうしてこうなった、どうしてこうなったぁぁぁぁぁ!!!!!
おのれジヒナ何と羨ましい!
シェードちゃんを膝に乗せて高速ナデナデ!
シャカシャカシャカシャカ!!!!!
シャカシャカシャカシャカ!!!!!
「アオサ、今日からジヒナがパパよ!」
「よろしくな、アオサ」
あれぇ〜、パパって言われると何故か納得してしまう。そっかぁ、ジヒナがパパか〜。
「よろしくね、パパ!」にこっ
「はうっ!?」かぁっ
可愛い。ナデナデ速度が正常になった。
◯◯◯◯◯◯◯◯
[今朝]
ざぁぁぁぁぁぁぁ……
アオサの心臓によって毒気を抜かれたユイキリは、ジヒナの手を取って、雨の中、湖を歩いていく。
ちゃぷん ちゃぷん
ジヒナの船へ入り、アオサの旅路を辿っていく。
「あら、このカフェ良い所じゃない。」
「そうなんだ。エルフの店主さんが壮絶な人生を歩んでだな」
「へぇ、このホテルの温泉、全裸はマナー違反なのね。」
「国や地方によって多種多様なんだよ。」
「ふかふかベッドね。ジヒナ、今夜は寝させないわよ。」
「えっ? むぐっ」ぱたぱた
「やる事やったから、世界一周でもしましょう」
「うん。世界は狭いようで広いんだよ!」
「異世界滅んだし、次は何処に行くのかしら?」
「船の後ろ半分はキラキラ空間なんだ。」
「ジヒナ」
「なぁに?」
「呼んでみただけ」
「もう!」
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って感じでデートしたんだとさ。
「うふふ」
「あはは」
すごい変わりようだ。やはり私の心臓は危険物だったか。
……他のみんなは大丈夫だろうか?
「アオサちゃーん♪」
「アオサー♪」
ぎゅっ
ほわぁぁぁ!!!!!
パパママサンドだぁ。
しーあーわーせー♪
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[金髪お姉さんと赤髪少女]
「フレちゃーん」ぎゅっ
「やっ、やめろハッチ、そんな事されて、嬉しくなんてないんだからな!」
「ねえフレア」
「なによ!」
「んひひ」
「なによぉ、もー」
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[クノイチ少女と青髪メガネ]
「これは!?」
「……巨大忍蜂ロボ、ムーンディザスター」
「強そうでござるな。」
「爆弾 ミサイル レーザー 火炎放射器 ミニ蜂ロボ それから……」
「ニンジャ要素が行方不明でござるぞ?!」
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[銀髪アルビノ少女]
「フフン、ワタクシのオーラが強すぎて誰も近寄れないようですねッ!」キリッ
別に寂しい訳ではないのですのよ? 引き立て役がいないと目立たないのです。
「ヒョウム様ー、産卵のお時間ですよー」
来ました来ました名もなき働き蜂。今日もワタクシに精気を捧げるのですよ!
部屋に入って来たのは普通に可愛い程度の地味女。良い引き立て役です。
アオサ様に頂いたこの人型での産卵は初めてですね。
「では、失礼します」ちゅっ
「むぐっ?!」ドキッ
何なのですかこの刺激は!? ニンゲンのキスとはここまで情熱的なのです?
(産卵管にゅるっ!)
「ふごぉ!?」
ビクンビクン、ふにゃり。
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次の朝
ブンッ ブンッ ブンッ
「うーん、上手くいかないのね。」
雨上がりのひんやりとした空気が肌を撫でる。シェードが腕を振るう度に草木の水滴が跳ねる。
シェードは毒針を持って振り回しているが、動きにキレがない。
「やあシェード、困っているようだな」
「あら?……ザハトなのよね?」
翅が生えた見慣れぬ女騎士に少々戸惑うシェード。
「私はあまり針を使わないから、この姿のほうが動きやすいんだ。」
「そうなのね、そうなのね。ちょっとて合わせ願いたいの。」
ガキィィン
「動きが短調ぉぉ」バァン
ガキィィン
「ビームが足りなぁい」ドゴォ
ガキィィン
「針を横向きに出すんだ!」
————
「ありがとうなの。おかげで何か掴めそうなの。」
「そりゃどうも。」
「………」
「考え事かい?」
「そうね、そうなのよ。ねぇザハト、私はいったい何者なの?」
「哲学かい? 詳しく話してみな。」
「あたしはアオサを愛しているわ、アオサもあたしを愛しているのよ。」
「ああ、そう見えるよ。」
「でも、アオサの一番はママなのよ。」
「ふむ。」
「嫉妬してみたけど、心臓のおかげでユイキリもジヒナも大好きになるの。」
「なるほど。」
「アオサが無自覚だったら楽だったかもなの。全て分かった上でいつも配慮をしてくれるのよ。」
「そうか、遣り場のない感情に困っているのか。」
「そうね、恋人でもなく、家族でもない。この奇妙な関係は一体何なのかしら?」
「そうか、残念ながら私には馴染みが無いんだ。」
「うん……聞いてくれてありがとうなの。」
「それはどうも。」
こうして平穏な日常は過ぎて行く。
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一方その頃
???「そういえばお前、最近ギスラヴァールに会ったか?」
???「そういや最近アイツ、音沙汰ないな。」
何も知らないドラゴンたちが今、動き出そうとしている。
産卵管は口から出ます。