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想像力が暴走した結果がこれだよ。
(ジヒナ視点)
私は……異世界の女神だった。
いや、女神というより宇宙そのものだった。
いつ生まれたかは覚えてないけど、たぶん宇宙と一緒に誕生したんだと思う。
宇宙誕生とともに私は広がり、物質と魔力に満ち溢れた。そして物質は網目状に並び、星が生まれ銀河ができた。
数多の星が生まれ死んでいった。数多の生命が生まれ死んでいった。
ある時、後に"ニンゲン"を自称する生物が誕生した。
ニンゲンが生み出す文化はどれも興味深く、私は人の心を学んだ。
私はニンゲン社会に遊びに行くようになった。
この時に使った名前が『ジヒナ』だ。
おいしい食べ物や娯楽施設、暖かい温泉や心躍るお話なんかにどっぷりハマってしまった。
宇宙の歴史からするとニンゲンの時代は一瞬だ。
終わってしまうのはもったいない。
そこで、とあるアイディアを閃いた。
過去に介入しまくってパラレルワールドを量産したり、別の惑星にニンゲンを移住させたりしたんだ。
分化の多様化のための介入の結果、『女神』や『邪神』なんかと呼ばれるようになった。面白そうだから自分でも"女神"を名乗ってみたりした。
こうして様々な文化を見て、たくさんの人々と触れ合ったきた。
科学の世界で異世界転移が流行った頃、剣と魔法の世界で複数の人種が平和に暮らしていた頃、ロボットがドンパチする世界で人工ブラックホールが暴発し、カードゲームの世界で世界存続を賭けた決闘が終わった時……………………宇宙は突然の死を迎えた。
宇宙滅亡の理由は後述しよう。
そして気が付いたら…… 少女の姿で海に浮かんでいた。
まさか私が異世界転生を経験するとは……
………
とりあえず、食べ歩きだ………
ムシャムシャ(これはハンバーガー……私が知ってるのと味が違うな)
モグモグ(アイスクリーム……ハチミツが異様なほどに上質だ)
ハフハフ(このチャーハンは…… やはり肉も卵も独特な味だ)
ピコン!?
おや? 未来に誰かが介入したようだ。
私には過去や未来が見える。(ついでに時間を止めたり加速したりパラレルワールドを行き来する事もできる。)
私が転生した後、とある少女の人生が大きく歪められたのだ。
その少女は"アオサ"というらしい。
8年後にあの海を通るのか!
しかも私と同じくらいの力があるみたい。仲良くなれるかな?
せっかくだから、おもてなしのスペースを作ろう!
そうだな、海の上だから船がいいね。
私のお気に入りの世界を再現してみよう!
上手く喋れるか自信ないけど頑張ってみよう。
それからそれから………………………
……
どうしてこうなった? どうしてこうなった!?
はぅぁっ、かわいい。
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青髪の少女が黒髪の少女に抱きついている。
--ジヒナはアオサの頭を自分の胸に当て、強く優しく抱きしめた ▼
--アオサの震えが止まった ▼
--ジヒナはゆっくりとベッドに腰掛ける ▼
--ジヒナはアオサの長い髪をそっと撫でていく ▼
さらっ……
さらっ……
さらっ……
--アオサはジヒナの膝に顔をうずめて鼻で息をしている ▼
--ジヒナは幸せそうな顔をしている ▼
--アオサも幸せそうだ ▼
(んっ…… 胸が熱くなってきた。)
--右手でアオサを撫でながら、船長服のボタンをゆっくり外す ▼
--弾力のある双球が揺れる ▼
--ジヒナはアオサを抱き上げ、アオサの口を自分の胸に近づける ▼
「はむっ」ちゅぷ
「んっ……」
ごくっ ごくっ ごくっ
ごくっ ごくっ ごくっ
「あむっ」かぷっ
「はうっ」びくん
--シェードが突然もう片方の胸にしゃぶりついた ▼
ごくっ ごくっ ごくっ
ごくっ ごくっ ごくっ
ごくっ ごくっ ごくっ
「「ぷはぁ……」」
--アオサは満足したように全身の力を抜いた ▼
--シェードは蜂になり、アオサのおなかにしがみついた ▼
(すごい、ちゅうちゅうされるのクセになりそう)
ジヒナはアオサの頭を膝の上に戻す。ガラス細工を扱うようにゆっくりと。
青髪の少女は苦しみから解放されて寝顔をしている。蜂を抱き枕にして。
その様子を黒髪の少女が愛おしそうに見つめている。
ジヒナは聖母のような笑みを浮かべ、いつまでもアオサの髪を撫で続けたのだった。
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[9日目]
(引き続きジヒナ視点)
窓から朝日が差し込む。もう一日経ったのか。
髪を撫でる手を止めて、鼻の下に近づける。
すぅぅぅぅぅぅぅ…………
アオサの匂いがする。
アオサ「んぅ……」
ジヒナ「おはようアオサ♪」
アオサ「おはよう……」ぼけぇー
シェード「……zzz」
アオサの顔を見て頬が緩む。
アオサ「………」じい~
アオサが胸を見つめている。まったくしょうがない娘だなぁ。
ジヒナ「ほらっ」
胸元のボタンを外し、アオサの身体を起こしてあげる。
「はむっ」ちゅぷ
ごくっ ごくっ ごくっ
ごくっ ごくっ ごくっ
んんっ、この吸われる感じ……慣れないものね。
スッ………
アオサが右手の人差し指を私の口にねじ込もうとしている。
はむっ!
んん~アオサの味がする。
じわっ………
アオサの指から液体が染み出てくる!?
ちょっと血の味がするけど、甘くておいしい。
ごくっ ごくっ ごくっ
ごくっ ごくっ ごくっ
「「ぷはぁ……」」
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シェード「ジヒナ、ジヒナ、そろそろ事情を話してもいいんじゃないかしら?」
ジヒナ「あ、ああ。そうだね………」
アオサ「んぅ?」
シェード「大丈夫、大丈夫なの。アオサは全部受け入れてくれるはずなの。」
アオサ「………」じぃーっ
ジヒナ「はうっ(きゅん)……分かった分かった、実は私は……異世界の女神だったんだ。」
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しばらくお待ちください…
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シェード「ふーん、色々あったのね。」
ジヒナ「うん、それでね、宇宙が消滅した原因はね………」ナデナデ
アオサ「んへへ」
ジヒナ「"おほしさま"だよ。」
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ジヒナ曰く、ここは"過去の幻影"だそうだ。
ジヒナお気に入りのこの世界は9ヵ月後に突然"おほしさま"が現れて、全てが一瞬で消滅するそうだ。
"おほしさま"の事は気になるけど、それまで暇だな。
という事で………
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東区に病気に伏した老人いたら、行って蜂にしてナデナデ
西区に自殺しそうな学生いたら、行って蜂にしてナデナデ
北区にケンカをする獣人いたら、行って蜂にしてナデナデ
南区に死にそうな冒険者いたら、行って蜂にしてナデナデ
………
日照りの時はアイスクリームをしゃぶり
冷たい雨の日は暖かいココアをすする
みんな(蜂)に『アオサさま』と呼ばれ
ナデナデして
ハチミツミルクを飲む
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[9ヵ月後]
「………」そわそわ
ジヒナがそわそわしている。"おほしさま"出現まであと2週間。
ジヒナの左手にはシェードちゃん、そして右手には私。
手を繋いで大通りを歩いて行く。
ハチミツアイスを買って舐める。
私のおかげでハチミツ生産量が大幅アップしたのだ。
慌ててもしょうがない、ゆっくりしよう。
「ジヒナ、大丈夫だよ」
「うん、ありがとうアオサ」
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[287日後]
何かが来る……
すごく嫌な予感がする。
シェード「いよいよなのね。」
ジヒナ「ああ、そろそろ来るよ!」
アオサ「さぁて、どんなバケモノが出て来るやら……」
………
ブゥン……………………………
24806311秒は 287日と2時間ちょい。
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おほしさまLv??(タイプなし)
HP :??
こうげき:??
ぼうぎょ:??
まりょく:??
せいしん:??
すばやさ:??
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