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愚者の心臓・蜂娘 〜蜂をナデナデする話〜  作者: ✨️ゲーミング百合✨️
2面:ジヒナのせかい ~霊魂騒ぐ白船尾~
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平穏だから寂しくて

アオサさんはそろそろママに会いたくなってきたようです。

「ねぇ、次はあっちに行こうよ。」ヒュン


こうしてジヒナさんに連れ回されて色々な所を見る事になった。



▼▼▼▼▼▼▼▼



 [ミストア公国 中央区]


「ここはミストア王国っていうんだ。そしてここ一帯が中央区」


さっきのカフェがある所がだ。


王城に近いだけあって、オシャレな店がたくさんある。



▼▼▼▼▼▼▼▼



 [東区]


「ここは東区、自然豊かな場所なんだ」


なるほど、木こりや狩人、薬師、服を作る職人なんかがいる。


少子高齢化が進んで老人が多めだ。誰か羊羹(ようかん)を食べている。


森の中には蜂がいるね。



▼▼▼▼▼▼▼▼



 [西区]


「ここは西区、学園都市なんだ」


  (ワイワイ) (ガヤガヤ)

ニンゲンだけでなく、エルフ、ドワーフ、獣人といった様々な人種が集まっている。


学生だけでなく、教授たちもたくさんいる。


アパートから食堂、娯楽施設まで一通り揃っていて、ずっとここで生活できそう


校舎の裏に蜂の巣があるのは見逃さない。



▼▼▼▼▼▼▼▼



 [北区]


「ここは北区、ドワーフ達の工業都市さ」


ジヒナいわく“ドワーフ”らしい。小学生のお遊戯会に見えるが……


見た目はアレだが、腕は確かだ。


(カンカン)

     (カンカン)

   (ぐびぐび)

     (ううぇへへへ)


武器や防具に陶器や家具と、様々なものづくりに携わっている。


辺境に獣人の集落があり、ドワーフが作った"カタナ"で"居合切り"をしたり、メリケンサックをはめて"カラテ"なんかをやっている。


ここの蜂は武器を扱えるのだろうか?



▼▼▼▼▼▼▼▼



 [南区]


ここは南区、『冒険者』という人達が集まる所。


『冒険者ギルド』という建物に人がたくさん集まっている。


パーティーを組んで、洞窟や地下遺跡に潜ったり、大きな樹の中を探検したりするのだ。そして魔獣の素材や取得物なんかを売って生計を立てているのだ。


蜂が素材になっていると思うとちょっとやだな………



▼▼▼▼▼▼▼▼



「こっちこっちー」


一通り見て回ったら、ホテルへ向かう。裏に蜂の巣がある。


お城ほどではないが、立派な建物だ。


絶対高いよここ。……ジヒナさん、どんだけ金持ってるんだろう?


ロビーでチェックインして部屋に案内される。


ここのエレベーターは魔法で動いてるね。


 4096室


フカフカベッドだイヤッホゥ


 ピョォン


 ブハッ


「……」にこにこ


ジヒナさんはこちらを見て微笑んでいる。


「さて、もう6時だけど夕食とお風呂どっちを先にしようか?」


………………………………………………


 [大浴場]


という事で来ました大浴場


長方形状の浴槽…… お風呂と言うよりプールみたいだ。


左右には石造りの柱と。正面には立派な石造がある。


お湯はコバルトブルーに輝いて、どこか神秘的だ。


…………


「入浴時のマナーを説明するね」


ジヒナいわく、私達の世界とはマナーが違うらしい。


まずは"水着"に着替える。スク水みたいな恰好だ。


そしてシャワーを軽く浴びる


私は髪が長いので、ゴムで留めて水に入らないように気を付ける。


そしてようやく湯舟に浸かる。


 ぽちゃん


 はふぅ……


ふぅ…… 旅に出て4日目かぁ。濃密な4日間だったなぁ。


久しぶりに気を抜けたなぁ…………


ふー…………


あれっ、何だか眠くなって……………………



▼▼▼▼▼▼▼▼



 [2日目]


6時起床。清々しい朝だ。


うーん、蜂、蜂、蜂、あっシェードちゃん。ナデナデナデナデナデナデ。


「んへぇ、アオサぁ、おはようなの。」

「おはようシェードちゃん♪」


互いの指をちゅうちゅうしてから起き上がる。


ジヒナさんは~…… まだ寝てる。


ベッドに近づくと……


「!?」ビュン


見事な速着替え。一瞬で飛び起きて船長服に着替えたのだ。


「おはようアオサ、シェード。今日はダンジョンを紹介するよ。」


……


「おはようございまーす!!」


ホテルマンの少年が眩しい笑顔で挨拶する。


朝ごはんは…… トースト、ハム、目玉焼き、トマトだ。


ムシャムシャ、普通においしい。


……


ホテルの裏へ回って蜂の巣を観察する。霊蜂魔獣テルビーだ。


 よーしよしよしナデナデナデナデ


シェードちゃんと一緒に戯れる。


ジヒナさんは離れて様子を伺っている。蜂はニガテなのかな?


「あっ、アオサ? そのぉ、蜂と戯れるのもいいんだけど、そろそろ行かないか?」


「あっ、そうだね。ごめんごめん。」

「また後でなの。」


……


今日はダンジョンの中に入ってみた。


最初はスライムとゴブリン。オークやリザードマンっぽい魔獣が見えて来る。


「蜂がいないね~」

「いないのよ~。」


「アオサは本当に蜂が好きなんだね。」


「うんうん、蜂と一緒に育ったようなものだからね。」


あっ、蜂だー…… 冒険者が蜂の巣を襲撃してる? 助けないと!!


「蜂になっちゃえ!!」


ぶーん?

         (きょろきょろ)

よし、これで平和は守られた!


「アオサぁぁ!?!?」


おっと、ジヒナさんには刺激が強すぎたかな?



▼▼▼▼▼▼▼▼



 [3日後]


私たちはまだミストア公国にいる。心音センサーで確認したところ、なんと船の外の時間が流れていないのだ。だが、そのせいでママと電話できないのだ。


ママの声を聴いてなかったせいか、時々プルプルするけど、シェードちゃんとナデナデし合って誤魔化す。


昨日助けた蜂の巣へ行ってみる。うん、元気にしてるね。


「ねぇアオサ、昨日の事だけど、いくら蜂が好きだからって、人を蜂に変えちゃうのはどうかとおもうよ?」


「もちろんニンゲンの命は大事だよ。でも、殺蜂はダメだね。」さらっ

「ニンゲンと蜂の命の重さが逆転してると思えばいいのよ。」


「あっ、うん理解したよ……」


……この時から記憶があまりない。



▼▼▼▼▼▼▼▼



 [4日目]


今日は頭痛と吐き気がするね。


「アオサ、アオサ、今日は一日中ナデナデしてあげるの。」


うう、シェードちゃん……こんなマザコンでごめんなさい。


ジヒナ「アオサ、いったいどうしちゃったの?」わなわな


ジヒナさんが心配そうにこちらを眺めている。


「これは……たぶん……禁断症状だよ。」

                     (プルプル)


今までは、反称龍ギスラヴァール戦やシェードちゃんが死にかけたり、キクラに理不尽に拒絶されたりして心を揺さぶられてきたけど、穏やかな時間が続くだけでこうも寂しくなるなんて。


ママに会えないのがここまで辛いとは…… あーでもここで帰るのは情けないなぁ。何とか自力で解決したいところだ。



▼▼▼▼▼▼▼▼



 [5日後]


時々息が切れる。腕がプルプルする。


私はピンクボールになってシェードちゃん(女王蜂形態)にコロコロされている。


        コロコロ……

コロコロ……

                コロコロ……


シェードちゃんに母性を感じる。


「………」じーっ


ジヒナが黙って見つめてくる。


複雑な表情だ。ちょっと涙目。私のようなニンゲンは初めて見たのかもしれないね。


……とりあえず、外に出よう。


人に会いたくないから、赤血球で"ニンゲンに認知されない能力"を付与しておこう。


 フラフラ、フラフラ


西区にある大学の校舎の屋根裏にスルッと入り込むと、蜂の巣があった。


全員ナデナデしてやった。


はあはあ。


……………………


全身蜂まみれで眠ってしまったようだ。



▼▼▼▼▼▼▼▼



 [6日目]


「アオサ、アオサ、あたしじゃ満足できないのね。そうなのね。」ナデナデ


まずい、シェードちゃんが病んできた。まぁ私も病んでるんだけどね。


「シェードちゃん、もっと激しくナデナデするんだ!!」


「!!?!っわかったの!!!!!!!!」



  ナデナデ、ナデナデ

 ナデナデ、ナデナデ

ナデナデ、ナデナデ


  ナデナデ、ナデナデ

 ナデナデ、ナデナデ

ナデナデ、ナデナデ


  ナデナデ、ナデナデ

 ナデナデ、ナデナデ

ナデナデ、ナデナデ



「………」


私は頭が真っ白になった。ジヒナさんが何か言いたそうにしていた気がする。



▼▼▼▼▼▼▼▼



 [7日目]


「……」にょーん


私はアメーバ状になって、シェードちゃんの膝にだらんとかかっている。


「………」


ジヒナは声をかけようとしたが、ふさぎ込んでしまった。


ニガテだけど、頑張って声をかけてみよう。


「ジヒナ」


「…………………」


「ジヒナ」


「……………………」


「ジヒナーっ」


「はっ!?」


「そんなに思い詰めなくてもいいんだよ?」


「でも私はっ」


「ナデナデしてくれると嬉しいなー」


「なっ……!?」


「ほらっ」みょーん


アメーバ状の手を伸ばしてみる。禁断症状でちょっとプルプルしている。


「…………」ごくり


ジヒナは意を決してナデナデしてみた。


「(ジヒナさん優しい手つきだ……)」

「(プルプルしてて意外と感触いい……)」


この時、私とジヒナはお互い初めて触れ合ったのだ。



▼▼▼▼▼▼▼▼



 [8日後]


ママ!? どうしてママがここに?


アオサ「ママー」ぎゅっ

ジヒナ「アッ アオサ? しっかりして!」べしべし


アオサ「ああ……うん、ごめんね。」へにょっ


うん、ごめん分かってた。幻覚だってね。


………


………………


………………………


……あっ、ジヒナがママになれば全部解決する。


えいっ(赤血球)



>ジヒナに『特性:アオサのママ』を付与。

>ジヒナに『特性:母性』を付与。

>ジヒナに『特性:巨乳』を付与。

>ジヒナに『能力:母乳生成』を付与。

>ジヒナに『能力:ナデナデ』を付与。

>ジヒナに『能力:膝枕』を付与。

>ジヒナに『能力:子守唄』を付与。

>ジヒナに『能力:ほっぺたにちゅう』を付与。



「はうっ!?」ズキューン♪

どうしてこうなった!?


……………………ジヒナさんについては次回。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 区分けのう……。 タクトの話も、丁目ではのうて、区にすれば良かったかもしれぬ……。 [気になる点] ミストア公国とはどこにあるのかの? ジヒノシティの中にあるのかの? バチカン市国みた…
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