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愚者の心臓・蜂娘 〜蜂をナデナデする話〜  作者: ✨️ゲーミング百合✨️
1面:クラムシティ ~潮風かおる港町~
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高速船マリンウルフに乗って

船の描写は気合い入れました。

太陽がさんさんと輝いていた。


甲板で2人の少女が手を繋いでいる。


背が高いほうはアオサ。深海のような長い蒼髪と鋭い黒目が光る。こだわりの長ズボンと半袖シャツだ。


小さいほうはシェード。濃いバターのような黄色の髪の少女だ。紫水晶のような瞳でアオサをねっとりと見つめる。


 ざっばぁん。


静かな甲板に波が船体に打ち付ける音が響く。


「アオサ、アオサ」

「どうしたのシェードちゃん?」


「ワタシ不安なの。急に怖くなってきたの。」

「そう、困ったね。」


 ぐわぁ


船が揺れる。


アオサは気の利いた言葉を見つけらない。


代わりにそっとシェードを抱きしめて頭を撫でる。


いつものナデナデではない。ママがするようにゆっくりと髪をかき分けていく。


「んっ」


シェードはアオサの平たい胸に顔を押しつけて両腕でアオサを抱きしめる。


 スーッ、スーッ


やがて満足したように顔を上げて軽く微笑む。


「ごめんねアオサ」

「ううん、もっと甘えてもいいんだよ。」


無言のまま互いに見つめ合う。


やがて満足したかのように2人は手をつなぎ、船内へ歩いて行った。



▼▼▼▼▼▼▼▼



船内は不思議な雰囲気をしている。


シャンデリアが照らす蛍光灯、美しいオオカミの彫刻の横には航空機のビジネスクラスの椅子。


幻想と現実の境界が曖昧になる錯覚に陥る。


たくさんの椅子にまばらに人々が座っていて、時々おしゃべりをしている。


船内には売店があり、この船限定の飲食物を買えるのだ。


「ミックスオレください」

「あたしはチョコミルクスムージーなの。」


「合計1000円になります。」


残金7000→6000円


2人用の椅子に座り、まずはミックスオレを一緒に味わう。


ストローを2本さして少し口に含む。


 ちゅうぅ……


口の中にたくさんの果実がふわりと広がる。だが、どの果実も自らを主張する事なく調和を生み出している。濃厚なのに甘くてスッキリ飲みやすい!


次はチョコミルクスムージー。


甘くて優しいミルクが口の中を満たす。そしてチョコチップが口の中に残ってほのかな苦味を醸し出す。


「「…………」」


しばし無言で味わう。


 ちゅう…… ちゅう……


水位がゆっくりと下がっていく。


 ずずずずず……


名残しそうに最後の一滴まですする。


空になったコップとストローをカウンターに返却して席に戻る。



▼▼▼▼▼▼▼▼



………………。


暇だ。


………………。


船が揺れる。


………………。


カモメ魔獣の声が聞こえる。


………………。


やっぱり暇だ。


………………。


シェードちゃんがじーっと見つめて来る。


「おいで」ぽんぽん


 シャキン!


シェードちゃんは全長 30cm の蜂に変身して、膝にぽふんと収まる。


やさしく撫でる。ゆっくりと、いつまでも。


 ざざーん


波が打ち付ける音をBGMにただただ時間が過ぎていく。



▼▼▼▼▼▼▼▼



4時間後


『ご乗船のみなさま、高速船マリンウルフは、間もなくネオバレル港へ到着いたします。長らくのご乗船お疲れ様でした。着岸までもうしばらくの間お待ちください。』


(んっ、もうすぐか。)ぼけー


シェードちゃんの毒針をくにくにすると、ビクンッっと飛び起きる。ついでに変身が解けて少女に戻る。


「もしもしママ~?」

「どうしたのアオサちゃん?」


「んー、暇だっただけ。」

「あらあら~」


ピンポーン♪


おや、着岸したようだ。



▼▼▼▼▼▼▼▼



「うぅ~ん、ここがネオバレルシティかぁ。」


大きく背伸びをする。シェードちゃんが左手を掴んだままぶら下がっている。


そのまま深呼吸をする。


すぅぅぅぅぅぅぅ…………


はぁぁぁぁぁぁぁ…………


ちょっと排気ガス臭い。


港から出ると……そこは大都会だった。


立ち並ぶ高層ビルにトラック走る高速道路、そして人口密度が高い!


上空を見つめると、ガス状魔獣イグゾウ


路地裏に注意を向けると、ごみ袋魔獣ガバッグ


建物の裏にはスズメバチ魔獣のホネビーがこっそり巣を作っている。


「ほえー」


生態系の違いに困惑するね。シェードちゃんも興味深そうにキョロキョロしている。


……


ちらっと銅像が目にはいる。剣を掲げた少女の像……キクラぁぁぁぁあ!?


『ネオバレルの救世主。ちいさな勇者キクラ』


妹が勇者になってたよ。いったい何をやらかしたんだろう?


……


あれは……? アイスクリーム屋さん? 行列ができている。


……行列は苦手だね。


ちょっと悔しいからアオサセンサー全力全開!!


 ドクンッ!


この町中の膨大な情報が脳に流れて来るが、無限じゃないので余裕で処理できる。


人が少ないアイス屋は……5番通りのとあるビルの3階だね!


行くよシェードちゃん


ブゥン……



▼▼▼▼▼▼▼▼



 [ローズのカフェ]


 ガチャッ


「こんにちはー」


「ほえー」


薄暗い店内には丸テーブルが3つと長めのカウンター席がある。装飾もなくてシンプルだ。


「いらっしゃぁい。あらあら?可愛いらしいお客さんねぇ♪」


オカマだッ!? 厚化粧で半裸のマッチョマンだ!


これは人来ないよ……


「……バニラアイス。」

「ワタシはチョコアイス!」


「はぁい♪ ちょっと待っててねぇ♪」


そういえば、ここ何のお店だろう? バニラアイスしか見てなかったが……


行けっ、心音センサー!


 ドクンッ!


謎の依頼書、拳銃、ダイナマイト、催涙ガス、化粧品(毒)、ドーピング注射、オリハルコン製メリケンサック etc


そしてあのオカマは Lv50 の実力者。


なかなかファンキーなお店だね♪


「おっ待たせぇ~ ローズちゃん特性アイスわよん♪」


おっ、きたきた。


スプーンですくう。


 サッ


柔らかい!?


 はむっ……!!


 しゅわっ!!


口の中でとろける~


あのオカマなかなかやるね。


シェードちゃんも幸せそう。


そうそう、聞きたい事があったんだ。


「えっと、ローズさん。1つ聞いてもいいですか?」


「何かしらん?」


「勇者キクラのお話を語って欲しいんだよ。」


オカマは優しそうにこちらを見つめるが、その眼光はギラギラしている。


「わざわざここに来るって事は、英雄譚が聞きたいって訳じゃないのよねん?」


「真実を淡々と語って貰えればそれでいいよ。」


「ふぅん? わかったわ。あれは今から6年前の事……」


こうしてオカマは語り始めるのであった……

執筆中にオカマが湧いて出て、既存の話をぶっ壊されるという……

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― 新着の感想 ―
[良い点] > 『ネオバレルの救世主。ちいさな勇者キクラ』 > 妹が勇者になってたよ。いったい何をやらかしたんだろう? どこかで見た光景なのじゃ。 [気になる点] > こうしてオカマは語り始めるので…
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