荒れ狂う夜が明けて
アオサ「……うーん、ここは?」
人気のない森の中、私は目を覚ます。眼前からの朝日が眩しい。
まだ頭の中がぽやぽやしてる。
すぅぅぅぅぅぅぅ……
朝の澄んだ空気が肺に沁みる。
土の上に直接寝ていたようだ。腕の中には美少女の抱き枕が……
アオサ「って誰!?」
???「んぅ……アオサぁ……」
もしかしてシェードちゃん!? ……あ゛っ思い出してきた。
昨日シェードちゃんが死にそうになってて、ずぶずぶ輸血して……
……
自分の心臓を引き裂いて半分をシェードちゃんの胸に突っ込んだのか!?
………
アオサ「うわぁ……」
自身の奇行に血の気が引く。
自分はなんともないが、シェードちゃんは大丈夫だろうか?
▼▼▼▼▼▼▼▼
目の前の少女を見てみよう。
髪は鮮やかなヒマワリ色で肩にかかる程度の長さ。2本アホ毛が揺れている。
瞳はアメジストのような深い紫色。
身長は 150cm ほど。中学生くらい?
黒いレッグウォーマーとスパッツみたいなのを着用しているので、肌の露出部分は少ない。
ステータスは……
-------------
シェードLvω_1(風+闇)
HP :ω
こうげき:ω_2
ぼうぎょ:ω
まりょく:ω_2
せいしん:ω
すばやさ:ω_2
主な能力
・闇魔法
・ナデナデ
・反称
・ハチミツ生成
-------------
わーお、とっても攻撃的~。
しれっとギスラヴァールさんの能力をコピーしてるし。
これはとんでもないバケモノが誕生してしまったなぁ。
シェード「んへへっ」にへらっ
前言撤回、シェードちゃんマジ天使!
▼▼▼▼▼▼▼▼
シェード「アオサ~」
シェードちゃんが擦り寄って来た。可愛い。ナデナデ
おや、私の肘から先がちょっとギザギザしてる?
蜂っぽくなってる気がするけど、このくらいなら何も問題ないね。
しかし、心臓移植には思わぬ副作用があって……
▼▼▼▼▼▼▼▼
シェード「アオサ~、ワタシもナデナデする~」ナデナデ
アオサ「ふわぁっ!?」ぴくっ
ナデナデ、ナデナデ
ナデナデ、ナデナデ
ナデナデ、ナデナデ
待って、私がナデナデされるのぉ?
(心臓移植の副作用でナデナデ癖が移ったようだ。)
ナデナデ、ナデナデ
ナデナデ、ナデナデ
ナデナデ、ナデナデ
ふわぁ、なでなでしゅごい……
ナデナデ、ナデナデ
ナデナデ、ナデナデ
ナデナデ、ナデナデ
ふにゃん~
シェード「アオサ、はい、あ~ん♪」
アオサ「あ~ん♪」
ちゅくちゅく
ハチミツだぁ。
シェードちゃんの指からハチミツがどんどん出てるぅ。
ちゅくちゅくちゅくちゅく
ちゅくちゅくしながら私もシェードちゃんの口に指を突っ込む。
シェード「むぐっ!?」ちゅく
私の指からは血漿が染み出す。シェードちゃんがちゅくちゅくしてくれる。
ちゅくちゅくちゅくちゅく
ちゅくちゅくちゅくちゅく
ちゅくちゅくちゅくちゅく
ちゅくちゅくちゅくちゅく……
▼▼▼▼▼▼▼▼
「「ぷはぁ……」」
午前8時。太陽が昇ってきた。港町の方からは賑やかな声がする。
アオサ「そろそろ行こっか」
シェード「うん!」
今日は船のチケットを購入して、船で大陸へ渡るんだ。
アオサ「まずは、乗船場を探すよ。」
シェード「わかったの」
手をつないで歩いていく。痛い、シェードちゃん強く握りすぎだよ。
てくてくてく
カラフル屋根の木造建築の間を歩いていく。
人は少ないのに、思ったより住宅が密集している。
斜面にできた住宅街は地味に歩きにくかった。
………………
ザザァァァ……
1時間ほど歩くと海岸に着いた。
すぅぅぅぅぅぅぅ…………
海の香りがする。何気なくスマホで検索してみた。『プランクトンの死臭』だとさ。
右手の方向にコンクリート製の立派な建物がある。あれが乗船場だろう。
▼▼▼▼▼▼▼▼
ふぅいぃぃん
自動ドアをくぐって~、あそこが受付かな?
アオサ「すみませーん」
受付嬢「こちらクラム-バレル間マリンウルフ窓口になりまーす。本日はどのようなご用件で?」
アオサ「えー…………」
えっと、何て言えばいいんだっけ? ママ意外の人と話す機会なかったからなぁ……
シェード「片道大人2人で」
受付嬢「片道大人2人ですね、4000円になります。」
シェードちゃんさすが。
4000円を払ってチケットを2枚受け取る。
(残金11000円→7000円)
受付嬢「本日は10:40発になります。お時間お間違えの無いようお気を付けて。」
アオサ「あっはい。」
残り40分、暇だ。
アオサ「シェードちゃん、さっきの……」
シェード「窓口のやりとり?壁に詳細が書いてたのよ」
アオサ「あっうん。」
そういえば、シェードちゃん元から頭良かったんだよね。そしてコミュニケーション能力もあると。
そうだ、ママに電話しよう!
プルルルル、プルルルル
ユイキリ「もしもしアオサちゃん♪」
アオサ「ママ~今船に乗るまでの待ち時間なの」
ユイキリ「あらあら、ところでシェードちゃんそっちにいるかしら?」
アオサ「うん、ちょっとまってね」
シェード「もしもしママさん、ワタシなの。シェードなの。」
ユイキリ「あらあら~? 喋れるようになったのね?」
シェード「そうよ、そうよ、今とっても満たされているの。」
ユイキリ「そうなのね、アオサちゃんをよろしくね。」
シェード「任せて、地獄の果てまで着いて行くの!」
ユイキリ「地獄に行っちゃだめよ?」
▼▼▼▼▼▼▼▼
ママと話していたら船のエンジン音が聞こえた。
アオサ「あっ船が来たみたい。それじゃあね。」
ユイキリ「はーい、今日も頑張るのよ、アオサちゃん♪」
アオサ「うん、頑張るよ!」
……ピッ
▼▼▼▼▼▼▼▼
こちらに迫るのは全長 100m 、高さ 15mの中型船。グレーの船体にオオカミを模した青い模様。高速船『マリンウルフ』だ。
これから始まる船の旅にちょっとワクワクする。
シェード「わーすごーい」ブンブン
シェードちゃんが私の手を握ったままブンブンする。左手が痛い。
今いるのは乗船場の2階だ。
プーーーーッ!
ガタンッ
船体から橋がかかる。
いよいよ乗船だ。期待と不安を胸に新たな世界への一歩を踏み出す。
TO BE CONTINUED……
以上でクラムシティ辺は終了となります。
2週間小説を書いてきましたが、問題点がたくさん見つかりました。2~3日かけて反省と修正を加えて次の話を書く予定です。
もしくはマリリンちゃんやキクラちゃんの話でお茶を濁したりするかも?