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愚者の心臓・蜂娘 〜蜂をナデナデする話〜  作者: ✨️ゲーミング百合✨️
1面:クラムシティ ~潮風かおる港町~
11/108

海辺の民家は地獄門

 アオサは空を見上げて息を吸い込む。


   すぅぅぅぅぅぅぅ…………


 星々が楽しそうにキラキラしている。夜風がひんやりと肌に当たる。


 マリリンちゃんは家族と上手くやっていけそうだね。よかったよかった。


 さぁて野宿しますか……


 町外れの森で蜂の巣を作ろうとすると、遠くのほうに、立派な建物が目に入る。


 海辺の高台にぽつんと建っている。


 近づいてみよう。


   ざっ ざっ ざっ


 赤茶色の屋根と薄い青壁の地味な一軒家。


   ざっ ざっ ざっ


 二階建てのようだ。


   ざっ。


 扉の前に立つ。ちょっと面白そう。ニヤニヤ。


   トントン


「すみませーん、誰かいますか~」


 返事がない。


「いませんね入りまーす」がちゃっ


 ごく普通の民家だ。2LDKって言うんだっけ?


 1階には広い部屋、2階には寝室が4つある。


 蜘蛛の巣が貼っていて、ネズミやコウモリの魔獣が生息している。


 だが、私の心音センサーは誤魔化せないッ!


   ドクンッ!


 キッチンの下だ。


 床を外すと……地下室への隠し通路だ!



▼▼▼▼▼▼▼▼



  [謎の地下施設 B1]


 金属の壁の無機質な通路が続く。一気に雰囲気が変わったな。


   カコン…… カコン……


    カコン…… カコン……


     カコン…… カコン……


 私の足音しか聞こえない。


 無人の秘密基地。昔は悪の組織が使ってたりしたのだろうか。ちょっとワクワクしてきた。


   カコン…… カコン……


    カコン…… カコン……


     カコン…… カコン……


 しばらく歩くと大きな扉が見えて来る……?


 これはエレベーターだ! サビついていて動きそうにない。


「修復しろ血小板」


 白血球に乗って血小板がエレベーターへ向かう。


 1000兆個ほど集まって1メートルほどのアメーバ球になる。


     べちゃっ!


              べちょっ!


  べちゃっ!


 エレベーターと融合してその機能を戻していく。


   フゥィィィィィィン!


 さぁ、下の階には何があるだろう。



▼▼▼▼▼▼▼▼


フゥィィィィィィン……


▼▼▼▼▼▼▼▼


フゥィィィィィィン……


▼▼▼▼▼▼▼▼


フゥィィィィィィン……


▼▼▼▼▼▼▼▼



  [謎の地下施設 B32]


 けっこう降りたな。……うわっ!


『ォォォォォォ……』


『ァ"……ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"』


   パシャッ


 スマホで撮影する。


-------------

ゴースターLv35(闇)


HP   :8525

こうげき:1674

ぼうぎょ:2262

まりょく:1933

せいしん:2612

すばやさ:1415


主な能力(ワザ)

・闇魔法

・憑依

・うめき声

-------------


 幽霊型魔獣ゴースターだ! 100体くらいいるよ。


 ……よく見ると、人と魔獣が合成されてる!


 ははーん、読めたよ。これはケモミミ研究施設だね。


 尊い犠牲者さん達には蜂になってもらおう。


「いけっ、赤血球!」


>『種族:幽霊』を回収、『種族:ミツビー』を付与。


   ぶーん??


--ゴースターはミツビーになってしまった。


 まーずーはー


「ナデナデフェロモン!!」ふわり


 蜂になったばかりの幽霊さん達がフラフラと寄ってくる。


 スーパーナデナデタイムだ!!


  ナデナデ、ナデナデ

 ナデナデ、ナデナデ

ナデナデ、ナデナデ


  ナデナデ、ナデナデ

 ナデナデ、ナデナデ

ナデナデ、ナデナデ


  ナデナデ、ナデナデ

 ナデナデ、ナデナデ

ナデナデ、ナデナデ


「よしよし、辛かったね~、大変だったね~、もう大丈夫だからね。」


 蜂を引き連れて先へ歩いていく。ナデナデしながら……



▼▼▼▼▼▼▼▼



 奥には大きな扉がある。分かりやすいな、ここが最奥部のようだ。


「おじゃましまァ~す!」バァン


   ゴォォォォォォォ!!


「おおっ、死者の怨念的なパワーで空間が歪んでる!」ワクワク


 身長4mほどのデカい幽霊がいる!


-------------

デカゴースLv68(闇)


HP :23508

こうげき:11345

ぼうぎょ:11345

まりょく:13249

せいしん:13249

すばやさ:9441


主な能力(ワザ)

・闇魔法

・殺人ガス

・憑依

・うめき声

-------------


 スマホによるとBランク(超大規模災害級)らしい。


--デカゴースは殺人ガスを使った

--アオサに効果はないようだ……


 幽霊さんは置いておいて、奥の黒い穴が気になるね。


--デカゴースはアオサに憑依しようとした

--しかし何も起こらなかった……


 穴の奥からすごいパワーを感じる。


--デカゴースは闇のパワーを乗せてうめき声を上げた!!

--アオサにダメージはない。


「とりあえず、みんな蜂になっちゃえ!(赤血球)」


>『幽霊』を回収、『蜂』を付与。


--デカゴースはミツビーになってしまった。



  ナデナデ、ナデナデ

 ナデナデ、ナデナデ

ナデナデ、ナデナデ


  ナデナデ、ナデナデ

 ナデナデ、ナデナデ

ナデナデ、ナデナデ


  ナデナデ、ナデナデ

 ナデナデ、ナデナデ

ナデナデ、ナデナデ



 ……あー待って待って! 死者の怨念がなくなって黒い穴が小さくなってる!


「修復しろ血小板」


   シュゥゥゥゥ……


 よーし、ナデナデする時間ができた。



  ナデナデ、ナデナデ

 ナデナデ、ナデナデ

ナデナデ、ナデナデ


  ナデナデ、ナデナデ

 ナデナデ、ナデナデ

ナデナデ、ナデナデ


  ナデナデ、ナデナデ

 ナデナデ、ナデナデ

ナデナデ、ナデナデ



 よしよし、満足した。


「私はそろそろ行くね。あなたが女王蜂だから、後は頑張ってね。」


 5mのデカゴースだった蜂に丸投げして、黒い穴を見つめる。


   ゴォォォォォォォ……


 奥に向かって風が吹いている。


 この先どんな出会いがあるだろう……



▲▲▲▲▲▲▲▲



 ???


 私は…… 逆さに立っている?


 海の上……いや、海の下に立っているのか?


 近くには……天井からクラムシティが生えている……無人の港町だ。


 どうやらこの空間では『上下が反転』しているようだ。


 重力はちゃんと上向きなのに、得体の知れない違和感がある。


   くるり


 うん、しっくり来る。


 地面から見て逆立ち空中浮遊の姿勢が楽だなんて、不思議な空間だなぁ。


 上には海が広がっているので、嫌でも潮風を感じる。


 ……ッ!! 何か来る!?


「ギシャァァァァァァ!!!」


「ドラゴン……?」


 龍だ。ただひたすらに長い胴体。黒鉄の皮膚に白銀の鱗が反り返っている。


「誰だ、我が領域に踏み入る者は!」


「私はアオサ。ただの村娘だよ。」


「我は、反称龍ギスラヴァール。この反転世界の化身なり。」


「……………」ふぅ……


 圧倒的な威圧感に言葉を失う。頭が冷えた。できれば戦いたくないなぁ……


「我が領域に踏み込む者は何人たりとも生かして返さん!」


「私がここへ来たのは事故のようなものだ。このまま何もせずに帰るつもりだが、それでもダメなのか?」


「ダメだ。いつの世もニンゲンは我を騙し、力を奪い取ろうとしてきた。その度に返り討ちにしてきたがな!」


「そっか。つまり私も信用できないと」


「そういうわけだ。潔く消え去るがいい。」


「交渉決裂だね。仕方ない、殺し合いを始めましょう。」キッ


 天井の海が割れて、雨が上に落ちていく。


 竜巻が下へ吹き付け、雷が昇る。


 2人は時間すら置き去りにする超越者。頂上の戦いが今、幕を開ける!

次回はいよいよ最初のボス戦です。

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[気になる点] あともう一つ。 1000兆個の血小板というのはどうかと思うのじゃ。 人間の血液には1mm^3辺り平均して25万個の血小板が含まれておるのじゃが、それを元にして計算すると、4000Lの…
[良い点] > 謎の地下施設 B32 そんなに深くまで穴を掘る者などいるわけ……あっ……。 [気になる点] シェード殿からのアオサ殿に視点が移り変わったゆえ、誰視点の話なのかを分かるように書いた方…
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