どくばりパワー
長くなったので分割。次こそ最終回です。
眼前には女神
純白の髪と衣に穏やかな笑み、私
女神:「うふふ、実は”新たな力”を見つけてしまったんですよー。ちょっと試させてください」
シェード:「うるさいくたばるの!」ビュン
--シェードのどくばり!
女神:「はいっ」パシッ
指ではさんだ! 人差し指と中指でそっとつまんで毒針を止めたのだ。
女神:「すごい! 普通に動いても壊れない! 頑丈すぎますこの世界!」
圧倒的な威圧感が放たれる。私のパワーを遥か彼方へ超越したパワー、だけどスカスカでちぐはぐな印象を受ける。
シェード:「くっ、離すの!」ぐいぐい
毒針のついでに、肉体と魂まで拘束されて、抜け出せない!
……と思ったら?
シェード:「んなっ!?」スポーン
女神:「あら?」
くるくるくるくる〜
脱皮だ! 肉体をニンゲン一人分脱ぎ捨てる事で脱出に成功!
そして反動でくるくる転がってしまう。
無限の宇宙の外側のそのまた外側まで転がる勢いは大気圧に押し返されて、普通にコンクリートを100メートルほど転がる。
女神:「アオサちゃん」がしっ
!? 背後から肩を掴まれた!!?
アオサ:「……!!」
ピクリとも動けない。全身が銅像になってしまったみたい……なんだけど何だか様子がおかしい。
この辺り一帯の私しか拘束されていないのだ。
せいぜい惑星8 8個分の私が動けなくなる程度、遠くの次元の私はなんともない。
ニンゲンに例えると、素粒子ひと粒だけ凍りついたようなものだ。
アオサ:「……?」
女神:「ねえアオサちゃんすごいですよ世界が頑丈ですよ!」
あ、うん。そうだね。
女神:「いやっほー!」
ドゴォォォォォォォォォ!!
--女神は巨大化した!!
この惑星を蹴っ飛ばし
太陽系を吹き飛ばし
銀河の群れも押しのけて
ブラックホールも弾く勢い
無を取り囲む超銀河団も、軽々と押しのけて巨大化は止まらない!
その後は無限に広がる無の空間
無限先には新たな宇宙と天体が!
無限に無限に無限に……繰り返し繰り返し繰り返し……
とにかく全部の天体を押しのけて、到達不能な宇宙へと全身をさらけ出してしまう。
巨大化し過ぎて画質の悪い映像みたいになった所でストップ。
その結果……
その他生命体は無限の外側、到達不能な宇宙へ弾き出され、ブーイングの嵐が巻き起こる!
アツビト:「あれー」
ヒエビト:「うちゅうだー」
エレビト:「きんじょめいわくー」
ミズビト:「ぶーぶー」
エアビト:「むだにでかーい」
ツチビト:「ぜいにくー」
ピカビト:「くらいよー」
ヤミビト:「ククク、闇は我等が領域」
綺麗なアオサ:「なんですかここ!?」
マリリン:「あれー?」
ミミナ:「キクラさん何やってるんですか!!」
メガマッソウ:「はっはっは、拳が唸るッ!!」
筋肉アオサ:「わっはっは 宇宙筋トレだー」
ルルリエ:「あら、紅茶が… 」
ガラコケッコ:「コケー」
アマノウス:「また女神か」
シオサ:「反省しませんねあの女神」
ダークマターの妖精:「キャハハ、楽しそー♪」
ユイキリの群れ:「「「あらあら〜」」」
蜂の群れ:「「「ブゥゥゥゥゥゥン!!」」」
何もなかった空間で、カオスな濃度の生命体が、次々と、巨大化を、開始する!!
ドゴォォォォォォ!!!!!!!!
ブゥゥゥゥゥゥン!!!!!!!!
ぶすぶすぶすぶす!!!!!!!!
女神:「痛い痛い痛いです!」
まさか宇宙で蜂に刺されるとは思うまい。
ダークマターの妖精:「ダークマターパーンチ☆」どむっ
女神:「う゛、腹パンは気持ち悪いですよ」
火氷雷水風土光闇の妖精たちも、寄ってたかって女神に腹パンを喰らわせる。
カオスが、加速する!!
アオサ:「んへへ〜女神さまの肌やわらかぁい♪」すりすり
女神:「わぁいアオサちゃん可愛いですーでも蜂と腹パンは痛い」ナデナデ
ぶすぶすぶすぶす!!!!!!!!
どむどむどむどむ!!!!!!!!
低反発枕みたいな柔肌、枕にしたら気持ちいいだろうね。
シェード:「こんのクソ女神ぃぃぃ!!!!!」
ブゥゥゥゥゥゥン!!!!!!!!
女神:「乱暴はダメですよーナデナデー」ナデナデ
シェード:「ナデナデー、じゃないのオラァ!」
ぶすっ
女神:「痛ぁい♪」
--女神にダメージはない。
何が起こっているのかイマイチ分からない。
女神さまが手を振って蜂や妖精さんを追い払うけど、何故か復活するんだよね。
確実に言える事は……増殖しておいて良かった。
シオサ:「説明しましょう。」
にょきにょきにょき!
女神の肌から、無数のシオサが生えてくる!!
女神:「あ、シオサさん、久しぶりですね」
シオサ:「ええ、久しぶりですね」
アオサ:「シオサ、何このカオスな状況?」
シェード:「そうなの。ただの迷惑行為なの!」ぶすぶす
女神:「あ、すみません…」
シオサ:「そうですね、まずは女神さん、貴女の肉体と魂は、私とママでできています。」
女神:「ええっ! いつの間にすり替えたんですか!?」
シオサ:「私が貴女の感知能力を落としましたからね。そして大事なのは……」くいっ
にょきにょき!
女神:「わ、アオサちゃんがたくさん!」
シオサ:「私とママは貴女の肉体と魂に寄生しています。貴女のパワーは好きなだけ吸い取る事ができるんですよ?」
アオサ:「えっ?」
女神:「えっ?」
アオサ:「……」
女神:「……」
アオサ:「……」ニヤリ
女神:「……」びくぅ
アオサ:「女神さま、おっぱい」
女神:「!!?」
ちゅくちゅく ちゅくちゅくちゅく
んくんく んくんくんく!!!!!
女神:「ぴぎゃー♪」
女神さまのミルクおいしい。
今までにない超高濃度のミルクだ!
私が喉を鳴らす度に女神さまはしぼんでしまい、20回喉を鳴らす頃には、女神はすっかり干からびてしまいましたとさ。
そしてシオサが後片付けをして、すっかり元に戻ったんだ。
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足元にはスルメイカ。たぶん女神さまだと思う。
スルメ:「あ、あだじゃもうダメでず」
アオサ:「しっかりして女神さま!」
どう料理しよう?
ユイキリ:「そうね〜、まずは裂きイカにしましょう!」ぺりっ
スルメ:「ぎゃあ゛」
ベリベリベリベリ ベリベリベリベリ
ユイキリ:「半分はお腹で大人しくしてなさい」ぱくり「そしてもう半分は…」
>『女神の肉体』に『キクラ』を付与
>『女神の魂』に『キクラの魂』を付与
>『女神の心』に『キクラの心』を付与
>『存在:殴りの女神』に『存在:キクラ』を付与
>『女神』に『キクラ弱点』を付与
ユイキリ:「ほら、起きなさいキクラ」ぺち
スルメ:「ママー?」
ユイキリ:「ほら、ママのおっぱいよ」
スルメ:「……」
ごくごくごく
キクラ:「ママー♪」
うん、見た目がキクラになったね。
アオサ:「よしよしキクラー」ナデナデ
キクラ:「んくんくんく」ごくごく
ミミナ:「キクラさーん!」
相棒が来ちゃったね。
ミミナ:「キクラさーん… ヒッ!?」びくぅ
ユイキリ:「ほら、行きなさい」
キクラ:「ママー?」げぷっ
ユイキリ:「貴女の居場所はあっちよ?」
キクラ:「……うん。」
そう、私とアオサちゃんの間に入るにはまだ早いわ。
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カンガルーの町まで戻って来たよ。プロテインうめえ。
シオサ:「女神の“新しいパワー”とやらを解析しました」
おおー、どんなパワーかな?
ミルクプロテインとマラサダを頬張りながら耳を傾ける。
シオサ:「あまりに大き過ぎる数字はですね、選択公理の恩恵をえられず、無限の攻撃対象を取ることができないのです。」
??? つまり、どういう事?
シオサ:「例えると……『針』ですね。肉体や耐性を貫通する事に特化してはいますが、それだけでは相手を倒せません。」
シェード:「だから女神のナデナデにも耐えられたのね!」もぐもぐ
なるほど。
シオサ:「使い方次第では非常に有用です。開けた穴から既存の能力を流し込む『毒針』として使うのです。」
毒針か、なるほど。
シェード:「毒針なの!? まさか最強になるとは思わなかったの」
シオサ:「そうですね……『どくばりパワー』とでも名付けましょう。」
どくばりパワー、もうこの世界に敵はいないから使い道が……そうだ!
アオサ:「シェード、ちょっと星作って来るね!」ひゅーん
シェード:「んなっ!?」
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ここはスラスラスター。
無限の宇宙の外側にある”おほしさま”。私の肉体の一部でもあるんだ。
せっかくだからここにバトル施設を作ろう。
プリンの大地と雨粒スライムの川。
草木は甘くておいしい、水も甘くておいしい。
さぁてまずは……まずはタワーを8本作る。それっ!
に
ょ に
き ょ に
き ょ に
き ょ
き
に
ょ に
き ょ に
き ょ に
き ょ
き
そしてタワーの管理人と受付嬢を用意して……にょきっ
そしてそしてー、カフェとバーと養蜂場と……とにかく色々用意しよう。
アオサ:「シオサー手伝ってー」
シオサ:「了解しました。」ガチャガチャ
そしてタワーの周囲、島も用意しよう。
砂浜があったり、大きな木のウロに町があったり、ピラミッドに、地下鉄も用意しよう。
──アオサちゃ〜ん、ナデナデスペースも作るのよ〜
そうだね。えいっ!
うん、いい感じ!
早速みんなを招待しよう!
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アオサ:「みんなーできたよー」
シェード:「なによなによ、何なのよ」
ザハト:「くんくん……戦いのにおいがする。」ゆらり
ヒョウム:「やっぱり貴女、バトルジャンキーですね」
ソーネ:「そーね、そーね」
スカラ:「ニンジャ関連はあるのでござろうな?」
ミチル:「……あるわけない」
ハッチ:「みんなー集まってー」
フレア:「はーい」
ぶーん ぶーん ぶーん♪
リーブタウン、中央花畑、そこに青白い裂け目を作る。
これが私の星への入り口だよ!
どくばりパワー、また謎のパワーを作ってしまった。




