アオサだらけの世界
直前に『アオサのステータスまとめ』を投稿しました。
暖かい春の陽気の中、川沿いの道を歩く一人の若い男がいる。男はひどくイライラしている。
「ったくどいつもこいつも……全部俺が悪いってのか!」
無闇に力んでガラガラ声を漏らす。どうやら現状に不満を抱いているようだ。
トンっ
……ぽちゃん
手頃な石を川へ蹴り落とす。
……
石は飛んで来ない。
石を投げつける女神はもういないのだ!
トントンっ
……ぽちゃぽちゃん
……
やはり石は飛んで来ない。
「チッ、仕方ねえ。ママにナデナデしてもらおう」
とんでもない発言をする男……男じゃない!!
よく見るとアオサだ!!
短髪で学ラン、雑な男装をしたアオサだ!!
ユイキリ:「アオサちゃ〜ん」にゅるっ
アオサ:「ママー♪」
左胸から心臓が飛び出てあっという間にママの姿に!
いつの間にかアオサは元の姿に戻っている。
ママのふとももに顔をうずめて体温を感じる。
ナデ、ナデ、ナデナデ
細くてもっちりとした指先が、青い髪をとかす。
春の小川で膝枕。そのまま平和なひとときが過ぎていく……
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(サバサバシティ)
キクラ:「うわぁぁぁぁぁ……あれ?」
夢、なのか?
姉のビームで焼き払われて痛かったんだが……
ミミナ:「おはようございます、悪い夢でも見ました?」
キクラ:「ああ。姉にビームで焼かれる夢をだな」
おかげで汗びっしょり。抱き枕に汗が染み込んで……抱き枕?
ヒトデの抱き枕だ。こんなの持ってたっけ? まあいいや。
ふと、窓から外を眺める。
キクラ:「ん、ん? んええええ!?!?!?」
姉が、たくさん歩いてるッッッ!!!!!
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(ガリア山)
アオサ:「おお、良い鉄砲じゃん。カッコいい!」
犬×5:「ワンワン」
俺はマストン……という名のアオサだ!
わた……俺が最初に蜂にした男に変装してみたのだ。
さて、どうしよう?
そうだな。犬とワイドバーン達をナデナデして回ろう。
遠くのマリリンちゃんを眺めながら……
ナデナデ、ナデナデ、ナデナデ
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(ネオバレルシティ)
アオサ:「うわぁ、すげー格好だな」
まさかオカマのコスプレをする事になろうとは……
厚化粧が過ぎるんじゃないの?
……ええい気にしたら負けだ!
こういう時は、長ズボンを履いて落ち着こう。
バタン!
アオサ:「ハッハッハ、来てやったぞアオサ!」
アオサ:「アオサ〜♪」
愛しの覆面アオサだ!
黒い長ズボンとタキシード、覆面を取ったらたぶんイケメンなんだ。
ちゅっ♪
さぁてカフェの準備をしましょ
アオサ:「おい、俺も忘れるなよ!」
あ、チャラ男アオサ。3人で仲良くしようね!
ナデナデ、ナデナデ、ナデナデ
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(アオサが心臓を貰わなかった世界線)
綺麗なアオサ:「あれ?」
私は今、教室で授業を受けています。
一瞬何か感じたと思ったら、私が増えました。
男子生徒が消滅して、代わりに男装した私が出現したようです。
えっと、あまりの異常事態ですね……えーと……えー……
感覚は共有できてますね。
地球全体、いえ、宇宙空間まで私で埋め尽くされています。
脳内に雑念が入ってくすぐったいです。
過去や未来は別アオサが担当しているのが救いですね。
心臓から声が聞こえます
ユイキリ:「もしもしアオサちゃーん♪ 私ママ、心臓になっちゃった。今日からよろしくね♪」
……だそうです。
ドクンッ!
心拍とともにママの感情が入ってきます。私をナデナデしたいそうです。
にゅるっ♪
えっ? 背中からママが生えて……ええっ?
ユイキリ:「アオサちゃーん♪」ナデナデ
アオサ:「待ってママ授業中……」
ナデナデ、ナデナデ、ナデナデ
んへへ〜♪ ナデナデ気持ちいいですぅ〜♪
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(リグラシティ)
アオサ:「全員集合!」
バタバタバタバタ
アオサ:「紫電の勇者、アオサ!」シャキン
アオサ:「光剣の勇者、アオサ!」シャキン
アオサ:「爆破の勇者、アオサ!」シャキン
アオサ:「風魔の勇者、アオサでござる!」ササッ
アオサ:「闇夜の勇者、アオサ」シャキン
アオサ:「そして濁流の勇者、アオサァァァ!」ドォォン
「「「「「「海藻戦隊、ワカメンジャー!!」」」」」」
バァァァァァァン♪
アオサ×6
「「「「「「HAHAHAHAHAHAHAHA」」」」」」
リグラシティの勇者局
かつて勇者の総本山だったこの町は、アオサで埋め尽くされていた。
局長もアオサ、勇者もアオサ、研究員もアオサ、一般戦闘員も清掃員もみんなみんなアオサなのだ!!
今日も今日とて適当な怪人役といい勝負を演じ、色んな町にヒーローショーを提供するのだ!
アオサ:「みんな、ナデナデの時間だ!」
アオサ達:「「「「「ラジャー!!」」」」」
ナデナデ、ナデナデ、ナデナデ
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(蜂の巣)
通常の蜜蜂と蜂型魔獣ミツビー、それらの元にもアオサはいた。
定期的に、アオサ蜂がタマゴから産まれるのだ。
どの巣にもアオサ蜂は1匹存在する。
アオサ蜂は蜂という蜂をナデナデしまくって、頃合いを見て消滅するのだ。
今日もどこかの蜂に幸せを届けに行くのだ。
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(リーブタウン)
ユイキリ:「体温を感じる……うふふ、私はアオサちゃんの中にいるのね!」ナデナデ
アオサ:「んふぃ〜」
湖のほとりの一軒家、クリーム色のソファで母は娘をナデナデし続ける。
ユイキリはアオサの心臓になったのだ!
常にアオサの中で鼓動して、外に出てナデナデ。
ユイキリ:「アオサちゃん♪」ナデナデ
アオサ:「ママっ♪」
アオサの心はユイキリの心拍に引きずられ、ユイキリの心はアオサの体調によって強く揺さぶられる。
肉体も、魂も、心も、存在も、混ざって混ざって混ざり合い、完全に同一存在となっている。
厳密には一人二役かもしれない。だが、アオサとユイキリは宇宙一の幸せ者だ。
この世の誰よりも強い幸福感は、ナデナデする毎に際限なく高まる。
今までの幸せが虚無であったかのような強烈な幸福感、それがナデナデの度にアオサの心を溶かし、ユイキリへフィードバックされる。
そのままでは身も心も壊れてしまうので、ステータスも際限なく上昇させなくてはならない。
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(反転世界)
女神:「う、うぅ〜ん、ここは?」
私は……覚えています。アオサちゃんに負けてしまったのですね。
ちょっとやり過ぎてしまいました。上手くやれば仲良くなれたかもしれませんね。はぁ……
ところで、ここは何処でしょう?
見渡す限り真っ暗闇──
カッ!
うおっ眩しぃ!
無機質な鉄色の広い部屋にベルトコンベアー、工場ですか?
ウィィィィィィィ……
何かが流れて来ます……アオサちゃん!?
サンドバッグ:「女神さまぁ〜」
女神:「あ、アオサちゃん!」ぎゅっ
ああ、まるでサンドバッグを抱きしめているみたい!
女神:「アオサちゃん、本当にサンドバッグになってくれたんですね!」すべすべ
サンドバッグ:「うん、女神さま」
サンドバッグ:「それでね、女神さまには私を殴って欲しいんだ」
女神:「アオサちゃん!」きゅん♪
嬉しいっ!
サンドバッグ:「増えて流れるから、1人一回ずつ殴ってね!」
女神:「はい、任せてくささい!」
ウィィィィィィィ……
ベルトコンベアーに乗ってアオサちゃんがたくさん流れて来ます。
女神:「よーし、まずは1人目!」
ドガァン
綺麗に吹き飛んで行きましたねー
ウィィィィィィン……
女神:「次は2人目!」
ガキィィィン!
女神:「硬いぃ!?」
手がジンジンしますー
サンドバッグ:「あー、ごめんね。最近【サンドバッグの加護】が暴走気味でね……」
【サンドバッグの加護】、殴られる毎に強くなる能力ですが……私の拳を止める程ではなかったはず。
そうです、アオサちゃんは私を殴り倒したんですもの。そのくらいできて当然です!
私も本気で殴りましょう!
女神:「分かりました。私も際限なく強くなります!」
サンドバッグ:「じゃあ続きいくよー」
その場で新たな 能力【私は貴女の宇宙】を作ります。
文字通り私自身を強くして、人と宇宙ほどの戦力差を作り出す能力です。
ウィィィィィィィ
ドゴォ
あ、通用しますね。
ウィィィィィィィ
ドゴォ
順調です。後出しジャンケンですね。
より硬いサンドバッグには、より強いパンチを叩き込めばいいんです!
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
あはは、なんだか楽しくなってきました!
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
すごい! 殴る毎に幸せになります!
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
あはは、幸せ! 幸せ! 幸せ!!
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ!!!!!!!!!!!!!
だめぇ、幸せが止まらなぁい♪
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
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ドゴォ
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ドゴォ
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ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
ウィィィィィィィ
ドゴォ
あはは、あはははは、あははははははは〜♪
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女神は気づかない。
不自然な心拍に。
女神は心臓を埋め込まれ、身も心もアオサに支配されているのだ!
ナデナデの幸せをアオサと共有し、思考が幸せに塗りつぶされる。
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女神がより強いパワーで殴る
→アオサのステータスが更に上昇
→ナデナデの幸福度がアップ
→女神がもっと幸せになる
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ステータスを搾取されるだけの存在へと成り下がった女神、しかしアオサと同様に宇宙一の幸せ者でもあるのだ。
今日も女神はサンドバッグを殴り続ける……
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アオサ:「ママー」
ユイキリ:「なあに?」
アオサ:「満足したー?」
ユイキリ:「そうね〜満足したわ〜」
アオサ:「ママー」
ユイキリ:「なあに?」
アオサ:「そろそろシェードとジヒナに会いたいよ」
ユイキリ:「そうね、仕方ないわね」
アオサ:「ママー」
ユイキリ:「なあに?」
アオサ:「今までありがとう」
ユイキリ:「うふふ、これからもよろしくね」
…ちゅっ♪