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ギルドへ帰還して

 蜥蜴人(リザードマン)の巣窟でヴォーデくんを助けるついでに、蜥蜴人達の掃討を終えてメルカトールの街に戻ってきた俺達は、巣窟内で出会ったヴァイゼ達と別れ、ヴォーデくんを含めた三人でギルドへと来ていた。


「どうやら、目的を達成出来たようだな」

「ああ、なんとかな。あとこれ、ありがとう」

 割と強力な助っ人がいたお陰で。借りたバスタードソードも、ついでに返しておこう。

「くくくっ。こいつらが助けに行かなきゃ、今頃巣窟内でくたばってたっていうのが傑作だぜ」

「ハァ? 一人でもいけたっつうの!」

 ああ、帰ってきてもまた一難。いい加減やめてくれ。

「ヴォーデ! やめなさい」

「うぅ……」

「けけけっ、女に叱られてやんの。こいつぁ、マジもんの傑作だぜ」

 シャロンに叱られて、ヴォーデくん顔を真っ赤にしてるな。というかヴィラルとやらも笑いすぎだ。

「ヴィラルも笑いすぎだ。趣味が悪いぞ」

「へっ、面白いから笑って何が悪いんだよ。シオン」

 注意されて開き直った!? それは良くないよ、ヴィラルとやら。

「それで、ヴォーデ。お前は、これからどうするんだ?」

 あっ、ヴィラルとやらは放置するのね。優先順位というやつかな。彼を止めるより、ヴォーデくんに話を聞いた方が優先されたんだろう。

「そんなの決まってんだろ。魔王を倒しに行く!」

 へっ? 魔王を倒しに行く?

「ほう。三人で?」

 まさか俺も入ってる!? そんな事は無理! 勇者なら、そういう使命みたいのがありそうだけど。俺、勇者じゃないし。ましてやヴォーデくんも同じく。

「三人? オレとシャロンの二人でだ!」

「はははははは! 冒険者(トラベラー)治癒師(ヒーラー)だけで魔王退治とほざいてやがる。傑作どころじゃねぇ、頭の中、花畑かよ」

 うん、ヴィラルとやらの肩を持つわけじゃないけど、二人でなんて無理だ。シャロンだって、驚いてるし。

「……無理だ。せめて、攻撃魔法を使える魔術師(メイジ)あたりを連れて行かないと」

「攻撃魔法なら、サトルさんも使えますよね。でも、確かに攻撃魔法メインの魔術師がパーティーにいれば、心強いですね」

 シオンの言う通りだ。遠距離攻撃が出来る者がいないと魔王になんて到底勝てないと思う。今回の蜥蜴人(リザードマン)討伐で分かったはずだけど。

「魔術師を仲間に入れるのは分かった。今後、魔術師をパーティーに入れる」

「うん。だから、三人で──」

「そいつは認めない! オレとシャロンと今後仲間にする魔術師でパーティーは終わりだ」

 そこまで俺、嫌われてるのか。俺何かした? 蜥蜴統率者を倒したこと? それとも、助けに来たこと? うーん、分からない事だらけ!

「ヴォーデ……」

「はぁ。ヴォーデ、お前は彼に助けられたんだろ? 意地を張りたいのは分かる。だけど、そんな事言ってたら、いつか大事なものを失うぞ」

 はて? ヴォーデくんの大事なもの? シャロンかな? ……はっ! そうか、シャロンと一緒に居たいから俺が邪魔なのね。

 仕方ないか。二人の仲を裂くわけにもいかないしな。大人として、二人を見守るしかない。

「分かっ──」

「ヴォーデ、サトルさんと三人じゃなきゃ駄目。サトルさんは大事な仲間だから」

 シャロンさん? 何を言っておられますか?

「シャロン!? お前……やっぱり!」

「ヴォ、ヴォーデ!?」

 なんだ? 二人して慌ててるけど。

「青春だねぇ」

「ああ、そうだな」

「青臭ぇけどな」

 三人とも何言ってるんだ? とりあえず俺は、二人から離れないと。それが二人の為になるし。

「サトル……お前って奴は」

「一番の加害者だな」

 えっ? 皆、何で俺をそんな冷たい目で見るの? おかしな事言った? または何かした?

「まあ、サトルのことは置いといて、三人でパーティーを組むのは賛成だ。前衛が多いことには越したことはないからな」

 なんか、遠回しに馬鹿にされたような気がする……のは気のせいだろうか?

「シオンの言う通りだな」

「異論はねぇな」

 三人とも同じ意見のようだ。言いたいことは分からんことでも無いけど。

「で、どうするんだ? ヴォーデくんは」

「あぁん? そんなの決まってんだろ! 二人──」

「……ヴォーデ?」

 ヴォーデくんの動きが止まった。どうしたんだ、一体。

「──より三人の方が安全に決まってんだろ!」

「そうだよね! 流石、ヴォーデ」

 完全にシャロンに舵取られてるじゃないか、ヴォーデくん。これは、尻に敷かれるな。

「どうやら、決まったようだな」

 シオンの言葉に二人して頷いているし。まあ、解決したんなら良いんだけど。

「じゃあ、俺達はアルクスへ向かうから君達とは、ここでお別れだな」

「……色々とありがとな」

 ヴォーデくんが礼を言うほどの人間ということか。それほどの実力者と分かる。

「ガキが礼なんて気持ち悪ぃな」

「ヴィラルも少しは見習うといい」

 ……確かに。

「あん? 誰にもの言ってんだ? カイト」

「お前にだよ。ヴィラル」

 ああ、二人して喧嘩してるし。

「ああ、二人とも。喧嘩はやめろ。ギルドに目付けられるぞ」

 流石、シオン。二人の喧嘩の仲裁をしたぞ。

「改めて、三人とも。じゃあな」

 ああ、またな。

「皆さんも、お達者で」

「……またな」

 シャロンはともかく、ヴォーデくんがまた珍しい反応。シオンのことはある程度認めているようだ。

 まあ、そんなこんなで冒険者のシオン達は、建物から出て行った。

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