蜥蜴統率者-リザードリーダー-
「サトルさん、ヴォーデは口で言っても聞きません。引きずって連れて帰らないと無理です」
ええ……やっぱり面倒くさい子だな……ヴォーデくん。
「──かはっ!」
「「「──っ!」」」
えっ? 何事!? ヴァイゼでもシャロンでもない。もちろん、俺でも無い。……ということは?
「ヴォーデ!!」
やっぱり、ヴォーデくんか。ってか、大丈夫か!? そして、何があった?
『ニンゲンメ、ヤッテクレタナ。ダガ、コレイジョウハヤラセンゾ』
えっ? えっ? なんか赤色の蜥蜴人が人の言葉を使ってる!? どういう事?
「──サトルさん! あれは蜥蜴統率者です!」
へっ? リザードリーダー? 何それ?
「蜥蜴人、蜥蜴隊長らの統率者。蜥蜴統率者。まさか、こんな所で出くわすとはの。それもあの一瞬で蹴りを繰り出すとはの」
いや、感心してる場合じゃないと思うんですが、ヴァイゼ。ってか、蹴りを繰り出してたの? ヴァイゼ、凄すぎるんですが。
「──っ! シャロン、ヴォーデくんの回復! ヴァイゼは援護を頼む!」
「は、はい!」
「了解じゃ」
呆けてる場合じゃない! 俺達が出来る事をやるしかない。ヴォーデくんが意識が無いから、連れて帰れるが蜥蜴統率者が逃がしてくれるとは思えない。ここで倒すしかないが、果たして倒せるのだろうか?
『フン、ニンゲンゴトキガ。ワレヲナメルナ!』
「舐めるかよ。不味そうな味しそうだしない」
「サトルさん……そういう意味では……」
うん知ってるよ、シャロン。冗談だからね。敵の速さだけでなく攻撃や防御その他もろもろ、尋常じゃないくらい高そうだから手は抜けない。というのは分かる。
『ホゥ、ナカナカヤルナ、ニンゲン』
「お褒めに預かり、光栄!」
今のところは、やっとのことで食らいついてるけど、蜥蜴人達の統率者と呼ばれている事はある。相当な強さだ。
「援護するぞぉ! 《雷よ、邪を撃ち抜く槍と化せ……ライトニング!!》」
ヴァイゼが放った雷が蜥蜴統率者を襲っ……たはずなのに、それを悠々と躱した!? 何度か放ってはいるが、全て躱してるなんて、俺でも躱せないぞ。相当な敏捷性ということは分かった。
これ、勝てるのかな?
『ニンゲン、ヨソミトハズイブント、ヨユウダナ』
「──っ!?」
しまっ──くそ……蜥蜴統率者の攻撃をもろに受けてしまった。
『コレデオワリカ? ニンゲンヨ』
くっ……油断した。しかし、強すぎる……。ヤバイ、前衛の俺が倒れたままだと、後衛を護る人間がいなくなってしまう。早く立たなければ……!
「おりゃぁぁぁぁぁ!」
『──ッ!』
助かった。どうやらシャロンの回復魔法でヴォーデくんが復活したようだ。俺も早く立ち上がって戦線に復帰しなければ……!
「サトルさん、今助けます! 《神よ、かの者の傷を癒やし給え……ヒール!!》」
これで何度目だ? シャロンに助けられたのは。ホントにシャロンには頭が上がらないな。
「ありがとう。おかげで助かった」
「──待って下さい! 今、ステータスを上げる魔法をいくつか掛けます」
えっ? 今? それは助かるが、ヴォーデくんにも掛けなくて大丈夫か?
「《神よ……かの者に魔を退ける力を授けん……ストライクパワー!》」
全身から力が漲ってくる! 攻撃力を上げる魔法ストライクパワーか。
「続けていきます! 《神よ……かの者に韋駄天の力を授けん……ラピッドパワー!》」
今度は体が軽くなった。敏捷性を上げる魔法ラピッドパワーだな。これなら、いけるかもしれない!
「はぁ、はぁ……攻撃力と敏捷性を上げました。あとはお願いします」
俺とヴォーデくんの回復だけでなく、俺の攻撃力と敏捷性も上げたって事は、MPももう尽きそうなんじゃないのか? 何から何まで感謝しかない。
「ありがとう、シャロン。あとは休んでいてくれ!」
「はい……」
シャロンも限界なのだろう。地面に座っている。ここで決めないと男じゃ無いな!
「うりゃぁ!」
『グッ! ニンゲンメ、カテルトオモウナ』
ヴォーデくんの攻撃が蜥蜴統率者に当たる前に、蜥蜴人が割り込んできて盾になった? そうだ、奴の盾となる蜥蜴人はまだ大勢いるんだった! まずはコイツらから倒しておかないと。
「ヴァイゼ! まだ余力は残ってるか?」
「お主のぅ、誰にものを言っておる? 全然余裕じゃよ!」
なんとも頼もしいおじいさんだ!
「はてさて、行くとするかのぅ。《雷よ、敵を切り裂く刃となれ……ライジングエッジ!》」
『『ギャッ!』』
複数の蜥蜴人達が雷の刃を受け、次々と倒れていく! これはなかなか面白い光景だ。蜥蜴人には、悪いけど。
「どうじゃ? 敵の残りはあといくつじゃ?」
さて、どれくらい減ったかな? うん、全滅してる。流石はレベルが高い魔導師様。珍しく蜥蜴統率者も倒れて……あれ?
「蜥蜴統率者がいない!?」
「なんじゃと!?」
おいおい。何処へ行った。まさか、奥へと逃げたか? この奥には仲間がいるのか? それとも……怖いな。ここは、撤退した方が……。
「あの野郎! 逃げんじゃねぇぞ!」
ああ、やっぱり追うよね……。はぁ、仕方ないな。
「ヴァイゼ、追うぞ!」
「うむ、そうじゃな」
ヴァイゼを伴ってヴォーデくんを追う。シャロンはって?
限界だろうから、後から来るよう伝えたよ。
さあ、この奥にはどれだけの敵が待っているのやら。




