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プロローグ

「……(あつ)い」

「サトルさん、大丈夫ですか? あと少しすれば、メルカトールの街ですが休みますか?」

 これで何度目だろう、シャロンの励まし。流石に何度も俺より若い女の子に励まされると恥ずかしくなる。

「ああ、心配させたな。すまん、俺は大丈夫だ」

「そうですか? ですが無理なら言って下さいね」

 しかし、アルクスの街から南西へ歩いてきたが周りは砂漠。これはどういうことだ。アルクスの街周辺は温暖な気候で、草木が生い茂っていた。だが、少し南西へ移動したらどうだ。辺りは砂ばかりだ。気候は温暖な為、そこまで暑くはないが、長い時間の直射日光は正直辛い。

 それに道中、多くの魔物に襲われれば余計に疲労は溜まる。勿論、昼夜問わずとは言わない。襲われるのは昼間だけで、夜に至っては焚き火や松明(たいまつ)で灯りを灯している為か夜襲を受けずに済んでいる。そうでなければ、安心して眠りになど就けない。恐らく。まあ、交代で見張りはしているし、夜は冷えるからだろう。シャロン曰く、魔物は寒さに弱いらしい。俺達はシャロンが用意してくれていた外套(がいとう)を着ているから寒さに凍える事も無い。この外套、なかなかのものだ。防塵で多少の耐寒性能がある。通気性も高く、昼に着ていても涼しい。便利過ぎる。しかし、数日も続けば、弱音くらいは吐く……これ以上は弱音も吐けないんだが。

 この旅は悪いことばかりではない。良いこともあった。昼間の魔物襲来により経験値を稼げたし、結果オーライとして手を打とう。シャロンにも悪いし。

「サトルさん! 街です。街が見えました。あれがメルカトールの街です!」

 喜びながら指し示すシャロンの指の方向には、黄色の煉瓦(レンガ)で出来た家が多く見えた。目を凝らすと、(まば)らだが人が歩いているのが見えた。魔物に襲われないのか? と思ったが、街の外側を水路が流れている。左右に広がった水路は何処まで続いているか分からない程長く続いていた。もしかしたら、街を水路で囲っているのかもな。日本の城で見かける堀みたいなものか。

「あれがメルカトールの街か」

「はい! メルカトールは別名、″商人の街″とも云われているんです。ですから、多くの商人が行き来して賑わっていて様々な商品が見る事が出来る唯一の街です」

 シャロン、なんか嬉しそうだな。説明している顔が生き生きとしている。そういえば彼女は何故、この街まで来る必要があったんだ? 聞いてなかったな。

「そういえば、聞いてなかったな。シャロンって一人で旅してたのか? 別れた二人とはアルクスの街で初めて会ったんだろ」

「はい。あっ、いいえ。確かに私はティミドさん達とは、あの街で初めて出会いましたが、一人旅じゃないんです。ここには、一緒に故郷を出て来た幼馴染とギルドで合流する約束しているんです」

 幼馴染ねぇ。

「あっ、サトルさんには言ってなかったですね。私の生まれ故郷は、ここからずっと東の辺境の村です」

「ここからずっとって、アルクスの街よりもっと東?」

「はい、サトルさんと出会った草原には、村を出てから1ヶ月掛かりました」

 い、一ヶ月……それは長旅でしたね。シャロンさん。

「……早く会いたいな、ヴォーデ」

 ……これは良かったのだろうか? むしろ、俺の存在は邪魔なんじゃないのか?

「サトルさん、どうしました? さあメルカトールへ向かいましょう!」

「あ、ああ。分かった、分かったから袖をそんなに引っ張らないでくれ!?」

 幼馴染と会えることが相当嬉しいのは分かった。だが、袖が伸びるくらい引っ張られると転げそうで怖い。

 さて、俺はシャロンに袖を引っ張られながら、メルカトールの街へと入っていった。

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