服について~素材
まず、前提ですが、この辺りの地域では服を着る文化があります。
上半身を裸でうろついたりする風習は舞台の地域にはありません。
針糸を使う技術レベルはあり、裁縫針自体は現代のものほどなめらかではないけれど、鋭さ等々は現代のものとそう変わらないです。どのへんに違いが出るかというと、針一本の寿命が素材の関係で短く、また、針自体が滑りが良くないために、緻密な刺繍等をしようとすると布の側にストレスが掛かること。
また、糸も現代のものほど均一ではないので糸の通る穴への負荷は現代の道具を使うよりも大きくなります。このへんの道具を使いこなせるかどうかとかも、職人の手にかかっているのでざっくりいうと、上級の品は現代のものと遜色のないものもあるが、道具の選定等々を含め職人の腕が要求され、平均値としては、現代の量販品よりは下で、素材も相まって劣化も早い。
と、こんな感じでしょうか。
・服の素材
極論、糸に出来るもの、あるいは、シート状になり得るものなら何でも服の素材としては成立する。
ただ、効率、安定供給、加工後の品質、劣化速度等から自ずといくつかに選択肢が絞られる。
以下は素材関連情報である。
・皮革
最も古い素材としては、獣皮、毛皮などであるが取扱等々の点から現在ではいわゆる皮革小物や特に頑丈さを必要とする道具以外では使われず、一般的な繊維によるものが優勢である。
例外的に、防寒のための毛皮の使用は多いが季節性があり、長寿命なしっかりとした作りの物が多いため高価なものでありながら服の形に仕立てる技能を持った職人は多くない。
基本的に家畜が牛が殆どで後はごく少数の馬くらいしかいない土地柄なので、流通する皮革は天然の動物から採ったものになる。大きな一枚ものの皮は冬の前だけに取れることになる。(牛と同じクラスの大型野生動物は稀なため)
皮革製品、皮革小物については、また別の機会に。
・天然物(植物性)
山地に生えている樹木あるいは草本から得る繊維。こちらの世界でいうと、クワ、クズ、ヘンプなどのような樹皮から取れる繊維。こちらの世界で素材から糸を作るには、叩いたり、水に晒したり、蒸したり、アルカリ蒸解したり、腐らせたりと様々な方法を取る。
この土地では特殊な方法で繊維を得るがその方法の効率がいいので、綿花の栽培は余り広まっていない。いわゆるコットンがないわけではないが綿としてのほうが使われるかもしれない。
街で最も見かける繊維。染料に対する相性はまあまあ染まりやすいがきれいに発色するか、というと、うーん、って感じ。
・天然物(動物性)
こちらの世界では動物性の繊維というと、羊毛などのように動物の毛を取って作るものがほとんどを占めている。それに加えて、あるいは並ぶのは蚕から取るいわゆる絹、シルクである。
向こうの世界の舞台の辺りでは、家畜化されたされている、あるいは、一部に愛玩化されている動物種は牛、馬、犬、猫くらいである。ただし、馬は少し独特の扱いを受け、かつ、数が少ない。特徴としては、豚と鶏がいないことか。
効率的に毛が取れるような動物はいないので、動物性の毛は高い。世界のどこにも家畜化動物としての羊や山羊がいないという訳ではないので流通によって入手することは出来る。
養蚕は殆ど実用化されていないがシルクの流通は一部ある。これについてはあとに述べる。
ウール、シルク、その他の獣毛繊維は流通するが基本的には高価な品である。この地方では貴族階級の着る素材である。植物性の繊維が尊ばれる土地もあると思われる。
このシルクは染料に対する相性が良いため貴族階級の人は結構愛用する。夏はちょっと問題があるが。
・人工繊維
こちらの世界のナイロンなどに該当するもの。
基本的には製造技術などはないが、まれに流通する。
シルクと合わせてこれは、迷宮産物である。
それなり以上にレアでかつ加工も困難なため非常に高価な素材である。
ナイロンは糸ではなく、ペレットとしてドロップするため加工は必須である。
・金属繊維
加工技術がかなり必要である。
また、現状、作るのが難しい上に他の繊維と比較して特に優れたところがあるわけではない、とされているため、実用レベルで使われるまではまだまだ時間がかかると思われる。
貴金属の繊維に関しては、加工技術の優れたところを見せるため、また、権威付けのために使用される事があるくらい。きらびやかな細工として用いられることもある。