暦について
こんにちは。
今回は『街の歴史』に書きました暦について、の補足です。
・一年について
読者の皆様を取り巻く社会(以降、地球としておきましょう)で一年と言いますと、365日なわけですが、これの元はと言いますと、惑星の公転周期に基づいているわけです。地動説なのでしょうがないね、という話ですが、実際には広く天動説が信じられている社会においても一年というのは大凡、365日だったわけです。
これがなんでか、というと。季節のめぐりが、そのリズムだったからで、地球という惑星でいうなら、
昼と夜の長さが同じである『春分』『秋分』、昼が一番長く太陽が一番天頂に近くなる『夏至』、その逆の『冬至』。それぞれが去り、また、来るまでを一年と考えたわけです。
ニコちゃんのいる社会での一年はというと、基本的には同じ考えです。
つまり、季節が巡る、そのワンサイクルを一年とするわけです。
千年より前における一年の定義の基準は『冬至』だったと言われています。
『冬至』の日に一年が終わる。とそういうわけで、冬至の翌日が新年の一年目でした。
ただし、各所各所で『冬至』そのものも目安が変わっていたため、場所によって『一年』の範囲がずれていました。それでも、天文を基準にしているので10日もずれるということはなかったようです。
ちなみに、目安が変わるといったのは、『日の出ている時間を測る』『太陽の南中高度を建築物として保存する』などなどと場所により社会により変わっていたのと、天気が悪いと確認できないなどの問題があったためです。この社会では、冬至の日から何日目、というのが日付だったわけですが、それでは使いにくい部分があるのは確かです。
・一月について
一年の意味を出したので、次は、月の話にしましょう。
そこそこ大きな仕事なら、これを区切りに使いますよね。
なので、年よりは管理に適した単位と言えるでしょう。
さて、地球の歴史で言いますと、一ヶ月、という単位ができたのは、太陰暦の元でできただろうと思われます。単純に、月≒太陰という話ではなく、月の満ち欠けの周期が基準になっているからです。
太陽暦での一ヶ月は人間の都合でできているので、長さがまちまちだったりするのですが……。
と、人間の都合ではなく、月の周期でできている太陰暦の一ヶ月には利点があります。それは、個人単位でカレンダーを所持していなくとも、その日の月を見上げて形を見るだけで一ヶ月のどのあたりかがわかるということです。
ただ、太陽暦(公転周期=季節のワンサイクル)に合わせるときに太陰暦の一ヶ月(月相の一周期)は相性が良くなかった(太陰暦12ヶ月<太陽暦一年)ので太陽暦での一ヶ月の平均日数は太陰暦のそれよりも大きく、しかも、バラバラになりました。これにより、月の相を見ても月のどのあたりかわからなくなってしまうのですが……。
まぁ、年を経ることでの季節と暦の乖離を避けるほうが利点があったということですね。
次に、ニコちゃんの社会での一ヶ月です。彼女に見上げるべき月があるのかは、とりあえずここではふれません。この社会ではそれを基準にしていないからです。地球に限らず彼女たちの社会でも歴史的に一ヶ月の定義は変わっています。というよりも、一ヶ月という長さの単位を持ったのは五百年前からのようです。それまでは各国、各部族、各文化で適当に長さを決めていたようで、他の基準と照らすときには、冬至の明けから何日目、というのに直したあと意思疎通をしていた様で、効率はよくありませんでした。
ある意味では、最初から冬至基準の一年を持っていたので、考え方的に太陽暦よりだったとも言えます。さて、五百年前におきたことは『街の歴史』でも軽く触れましたが『英雄召喚』です。
わかりやすく言えばやったぜ『異世界召喚』ってやつです。作中で単位系が地球ナイズドされているのはこのせいですね、長さとか重さとか時間とか、ただ、すっごいざっくりいうと神様から調整入っているので、過ぎた技術は継承できませんでしたが……まぁ、このあたりはまたにしましょう。
これに合わせて暦も地球ナイズドされました。若干、この世界に来た人の好みも入っていますが、調整の入りにくく、かつ、人類全体の発展に寄与するものだろう、ということで結構真剣に考えたようです。
結果として、30日が12月の360日、これに年末年始を別枠で5日とした365日ができました。
要するに、
地球:(28~31)×12=365
ニコちゃんち: 30×12 + 5=365
こんな感じです。
・一週間について
学校生活、社会生活、週刊誌の発売タイミングまで、生活リズムはこっちが基準ですね。
ということで、ある種、月より重要な区分。これがどうなってるのかというと。
地球では、一週間は7日です。これは、まぁ、諸説ありますが結構昔からあったみたいですね。有名所では天地創造休みを入れて七日間、ってやつですね。それより古い履歴もあるみたいですけど天文に基づいているわけではない、って感じの数字です。社会生活とバランスの良い日数なんでしょうね。
ちなみに、天文と言うべきなのかは迷いますが、日本の場合は、曜日は星に結びついてますね、惑星5つに、衛星1つに、恒星1つ、と。
それ以前には六曜があって、一週間は6日でした。こっちの場合は、星ではなく、運命吉兆の趨勢をして、それぞれに名前をつけていたようですね、大安とか仏滅とかです。名前は、一定ではなかったようですが。
九曜は……暦には使っていたのでしょうか? 計都・羅睺とかには、心惹かれるものがありますが。
とりあえず、基本は一週間7日をベースにしてますね。
ニコちゃんのところではどうなってるのか、というと、一週間は5日です。これは、500年前の時点で考え方としては結構広まっていたのですが、天文的な裏付けなどではなく、恐らく指の数が五本だからだろう、と、考えられています。
合理的といえば、合理的ですね。どこかの部族では、一日ごとに一本の指に紐を巻いて一週間の何日目かを示す、カレンダーマンがいたようですが、現代においては見られない風習です。これに似たものとして、一日ごとに違う指に指輪をつけるとか、爪に色をぬるとか、指に徴をつける風習は結構あったようです。
ほとんど廃れていますが、一部の神殿や王族の祭祀祈祷の場面でその名残を見ることもできます。で、500年前のエトランゼがどうしたか、というと、その5の倍数はそのまま使用することにしました。
なぜなら、十進法は彼らにとって慣れ親しんだもので、合理的でもあったからです。このことで、一ヶ月を6週間に固定することができたので、彼らは前の暦よりも良いのではないだろうか、と自画自賛したようです。
この月と週の相関で言うと、彼らはまず、曜日に名前を与えました。それまでは親指の日とかになっていたものに、七曜の惑星分を与えました。勿論、天体が地球とは違うので星の名前だ、と説明はしませんでしたが、それらは具体的なエレメントに照応していたので受け入れられました。
親指から火、水、木、金、土です。この順番と名前からエトランゼが日本出身なのが透けて見えますね。また、彼らの一週間が手のひらを見て親指から折っていくイメージもなんとなく見えます。
そして、もっと日本人らしいのが、右手のあと、左手も折るようにして、そこに更に名を与えたことです。イメージとしては、右手は手のひらを見て、左手は手の甲を見て、両方共親指から順に折り込んでいく感じです。表の火、水、木、金、土で、裏の火、水、木、金、土です。後の文献ではジュッカンという音が残されているので、十干なのだ、と推測されますが、向こうではそれを理解できる人はいません。
さて、これになんの意味があるのかは、旬という言葉の意味をわかっていると、ピンとくるかもしれません。そう、十日単位で上旬中旬下旬を作ったわけです。
まとめますと、
5日間=1週間
10日間=表の1週間+裏の1週間=旬
1ヶ月=上旬+中旬+下旬=30日間
ついでに、冬至の次の日からの1週間は年末年始として、月に属さない1週間になります。
あと、気になる休日ですが、地球のように、日曜休みとかは決まっていないですが、通常の労働環境なら、一週間に一日決まった曜日の休みが与えられます。ただし、職場で共通して何曜日というのではなく、なんとかさんは火曜日休み、なんとかくんは水曜日休み、みたいにずれて職場を閉めないことを重視するほうが多いです。
例外として、公官庁のように決済が上から下まで通ってないと、とか、全員揃ってないと意味のない工房、あるいは、全員が出てないと人数が足りないなどの、全員が出ているかどうかに意味がある場合は休日を共通化することがあります。あとは、学校とかもですね、カリキュラム合わせなどの必要があるとどうしても。
長くなりましたが、一週間はこんな感じです。
・一日について
一日は単純に、日の出から日の出、日の入りから日の入りまでの一周期です。
地球の一日は、地球の自転によるものです。24時間ですね。
正確に何秒というのは、うるう秒とかで調整されます。
ニコちゃんのところの一日も、日の出から日の出、日の入りから日の入りが基準です。
精密なものではないし、かなりの高級品になってしまうけれど、時計自体は存在しているので、神殿・王族・領主などが、刻告げる鐘を鳴らすのが、一般的な市街地の時間の把握の仕方です。
資財と権力と公正さが認められていないと意味がないので、その街の最大権力が担っているといってもいいでしょう。珍しいところでは、図書館がそれを担っているという街もあるようです。
庶民は基本的には時計を持っていませんが、一定の時間については、オイルクロックなどを使用することもあります。学校の授業の時間などですね。
職人の作業場では重要な作業では、それ用に作られた蝋燭で時間を測ることもあります。計時灯です。
更に重要な作業で、精密な時間が必要なときは、迷宮から取れる不思議アイテムが使われることもあります。割ると一秒単位で音を出す石などがあるようですが、十カウントくらいしかしてくれない消耗品なので、ほとんど使われません。
大工房では、刻を告げる仕事はしませんが自前の時計を作ることもあるようですし、おおよそは、オイルクロックのオイルの粘土とくびれを工夫することで一秒を測るようです。
(最高級のオイルクロックの出荷前の確認に先程の石などが使われます)
時間を測る、という話はニコちゃんの社会の技術に直結するのでまた、機会があれば。
では、次回はまた、街の話に戻ります。