街の歴史(いりぐち)
こんにちは。
今回はオーバンステップという街がどんな街なのか、という話です。
その街がどういう街なのか、という話は幾つもの視点から見ることが出来ると思いますが、まずは、歴史の話です。
この世界は少なくとも二度の大きなイベントを乗り越えています。
一度目が千年前の『魔王討伐』であり。
二度目が五百年前の『英雄召喚』です。
歴史資料の焼失や、文化の散逸、技術の遺失は時々おきているので、作中のニコちゃんやフツさんの知っていることが正しいこととは限りませんが、作中時間(以降では現代とします)では、『魔王討伐』は神話の域であり『英雄召喚』は歴史の始まり頃くらいの認識です。
一応、千年前とか五百年前ということは認識しています。
暦については、最後に補足しますが、一年は365日です。これは、召喚されたエトランゼが導入しました。元の暦からして、360日前後で一年という決まりが多かったので大きな混乱は起らなかったようです。
資源供給においてダンジョンに目星をつけたのが千年前で、強い依存を示すようになり始めたのが五百年前ですが、ダンジョンから効率的に資源を持ち帰れるようになるまでは自然から得るのと大差ありませんでした。
さて、歴史の話をしたのは、それがオーバンステップという街の運命に大きく関わってくるからです。
作中でも述べたとおりですが、オーバンステップという街は鉱山と鍛冶の街として発展し、金属資源の取れる迷宮ができたせいで零落したという過去があるからです。
細かいことは機会があれば示しますが、迷宮は急に生えてきたり、コアを潰すと潰れたりしますので周囲の経済に結構な影響を与えます。
(その為、迷宮自体の危険さとは別にギルドが管理する必要があるわけですが)
オーバンステップの街自体は鉱床の近くに鍛冶職人が入植したところから始まっているのですが、その最初の職人、『オーヴァン』がその地で炉に火を入れたのが、伝承によると約二百年前です。
百年ほど前の大陸街道網構築の際に山近いことから街道網の主経路から外れたのが零落の始まりだったのかもしれない。ただ、鍛冶製品を大陸に供給する役割を果たすために支線のような道は整備されていたので田舎へ転落することはなかった。
さておき、迷宮によりオーバンステップが鉱山としての優位性を失い始めたのが大凡二十年前、しばらくは活気を失いつつもある程度均衡していたところ、そこから十年前までの間に職人が資源のある街に流出したのを引き金に均衡が一気に崩れたようです。
大底を越えて徐々に活気を取り戻しつつあるけれど鉱山と鍛冶の二本柱を失って支柱の無い街になっているのが今、です。
というわけで、今回はオーバンステップの街が今歴史の中でどこに立っているのか、ですが……。
魔王や英雄の要素を除いて行きますと、
1000年前:迷宮の存在が認識され始める
500年前:人類の経済の迷宮依存が顕著になる、同時期に、大陸の地上から魔物が掃討される
400年前:オーヴァンによる、始まりの炉の火入れから、オーバンステップの歴史が始まる
100年前:大陸街道網からハブられるが、支線を接続してもらう。
20年前:街道周辺に鉱物系迷宮が確認される。
15年前:鉱山が閉山する。
約15年前:鉱物系迷宮の近くの街の整備が進み鍛冶職人の移住が進む。
10年前:職人の出入りがある程度止まり街の没落に歯止めがかかる。
8年前:若干活気が戻り始め、領主は食文化を高める令を出す。
現在:大底から若干活気が戻ってきた空気のある街。
こんな感じです。