御涼家でお花見 その4
写真も撮れたところで。
部屋には、女性陣がやってきた。
鈴ちゃんママを先頭に、花音、逸美ちゃん、ノノちゃん、浅見さんがいる。
逸美ちゃんの桜色の着物は優美で、とても綺麗だ。
花音は若草色の着物で、落ち着いた風味の色合いなのに華やかさがある。
ノノちゃんの着物はみかん色。みずみずしさとさわやかさが引き立っている。
浅見さんの着物は桜色とクリーム色の模様を合わせたもので、デザインもいい。
「開くーん」
真っ先に俺の元へと逸美ちゃんがやってくる。
「やっぱり可愛い~。写真に収めないとだわ~」
ちょっと照れることを平気で言う逸美ちゃんだ。俺も褒め返さないとって思うけど、褒めるのも照れるものなのである。しかも着物のおかげでいつも以上に綺麗だから、勇気がいる。頑張って、
「逸美ちゃんも、すごく似合ってるね」
「ありがとう。うふふ。うれしいわ」
よかった。喜んでくれた。
「いっしょに写真も撮ろうね、開くん」
うん、と俺はうなずいた。
そして、ノノちゃんと浅見さんは俺と凪の元まで来て、
「こんにちは。おふたりはなんでも似合いますね。かっこいいです!」
「開くん、凪くん。わたしまでお呼ばれしてもらえて光栄だよ。二人共、かっこいいね。わ、わたしはどうかな?」
俺は微笑みを持って答える。
「似合ってるよ。ノノちゃんも」
「よかったぁ。ありがとう」
「ありがとうございます!」
凪はうんうんと腕組みして、
「みんな似合ってみんないい。花音ちゃんもサイコーだよ」
「そ、そうかな? ありがとね、凪ちゃん」
こういうので褒められるのは、意外と花音も弱いのかな。衣装を褒められて照れる花音はめずらしい。普段じゃ着ない服だしちょっと緊張しているのかもしれない。
そのとき、俺のスマホにメールがきた。写真が添付されており、それは沙耶さんの写真だった。今日は来られないと言っていたけど、どうやら沙耶さんも仕事でお花見だったらしい。わざわざ着物まで着ている。まあ、楽しそうでなにより。俺も楽しむか。
ここで、鈴ちゃんママが鈴ちゃんパパに言った。
「そろそろ始めましょうか」
「そうだね。始めようか」
今日、誘ったけど来られなかったのは、良人さんと沙耶さん。でも、他のメンバーはもう全員そろっている。
鈴ちゃんパパはみんなに呼びかけた。
「みなさん、今日は来てくれてありがとう。思う存分楽しんでね。着物も疲れたら脱いでいいから、気軽に言っていいよ。それじゃあ、コップを持って」
みんながコップを持つ。
お酒を持っているのは鈴ちゃんのパパとママとフィルマンさんの三人。それ以外はジュースだ。凪だけは湯飲みを持って緑茶を堪能するつもりらしいけど。
鈴ちゃんパパが音頭を取る。
「乾杯」
みんなが「乾杯~」と言って、御涼家でのお花見が始まった。




