動物心理テスト「あなたの好きな動物は?」 おまけ
やれやれと大仰に腕を広げて、凪は言った。
「しょうがない。みんなぼくのこと知りたいんだね。教えてあげよう。注目されるのは慣れている」
「おまえが注目されるのは悪い意味でだろ?」
「いいから早く~」
俺と花音に、しーっと口元に立てた人差し指をやってみせ、静かにさせる。
仕方ないから黙ってやる。
しかし、これまでのみんなの結果から、思った以上に当たっているので、かなりの信頼を置ける。
凪がどんな結果になるのか、正直楽しみだ。
いよいよ、凪が口を開いた。
「よし。では、発表。堂々の一位は、ペンギン。よちよちしてて、鳥なのに飛べないんだ。足が短いのがいいよね。惜しくも一位を逃した二位は――」
「ちょっと待って」
俺が止めると、凪は不思議そうに俺を見返した。
「なにさ」
「いや、それじゃあ凪は、よちよちしてて飛べなくて足が短いと思われたいみたいじゃないか」
「そんなわけないだろ。あくまで心理テスト、当たるも八卦当たらぬも八卦、頭に毛がないのはハゲ。そんなの世間の常識さ」
そうかい。
もうなにも言わないよ。
作哉くんは頭をかいて、「なんだそりゃ」と呆れている。
浅見さんとノノちゃんは、「凪くんは普通の結果出なそうだもんね」とか「でも、おもしろいです」などと言っている。
「先輩、残りは真面目にやってくださいね。次はなんですか?」
鈴ちゃんに促され、凪は答える。
「うむ。気を取り直して、第二位。カラカル。ネコ科の動物なんだけど、ジャンプ力がすごいんだ。小さい頃、テレビで見て感動したもんさ」
「ええと、その結果から言えば、凪はネコ科っぽく見られてるってことでいいのかな?」
「そうだと思うわよ、開くん。凪くんって猫ちゃんみたいに気ままなところあるから~」
意外と、適当でふらふらしてるように見える割に、あいつなりに考えていることもあったりするが、一般的に見れば気ままなやつと思われていることだろう。俺と逸美ちゃんの中では、そんなところで診断結果における凪の印象は落ち着いた。
花音が尋ねる。
「凪ちゃん、三位は?」
「では、フィナーレといこうか。ラストを締めくくる三位は、カメ。子供の頃、ケロちゃんのお菓子のおまけで動物のかぶり物をしたケロちゃんのストラップがもらえるのがあっただろう? あれでカメのレアが当たって、それ以来カメが好きなんだ。なぜか、今日は持ってきたんだぜ。これさ」
と、凪はストラップを見せて、
「いいだろう。ついでにカメは長生きだしね。縁起物さ」
俺は顎に手をやって、
「つまり、子供の頃の話はさておき、凪はついでに長生きする縁起物のいい存在ってことなのか?」
鈴ちゃんがジト目で言う。
「開さん、先輩のことで頭を悩ませても無駄です」
「確かに、考えても時間の無駄だな」
逸美ちゃんがパンと手を打った。
「とはいえ、みんなの結果は結構当たってたんじゃないかしら? おもしろかったわ」
「はい。ノノ、またやってみたいです!」
ノノちゃんが同意するけど、作哉くんはけだるそうにため息をつく。
「オレはもう勘弁だわ」
「わたしもちょっと緊張しちゃうよー」
と、苦笑を浮かべる浅見さん。
「凪ちゃん、またなにか探してきてね」
花音に頼まれて、凪はビッと親指を立てた。
「任せとけ。また昔の思い出の品を見つけたら、見せてあげるよ」
これには、俺と花音が声を合わせてつっこんだ。
「そっちじゃなーい!」




