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5. こんにちは、女神です

 日本なんて国はないことを理解してもらうのに小一時間。それでも納得していないのかジト目で見られる。理不尽だ。

 そんなマダガスカルに、俺は自説を交えながら彼の現状を説明してゆく。俺ってば親切! ますます眼差しが冷たくなっていった気がするが、気のせいだろう。だって、こいつ変だし。感動の表し方もおかしいだけだろう。こう見えて俺の優しさと理路整然とした推理に感銘を受けているに違いない。

 いぶかしげに(きっとそう見えるだけだな)、先ほど話してやった推測を口にした男に、俺は大きく頷き肯定してやった。

 そう、その通り。


「君達が言うところの、異世界ってヤツだね」


 ない胸を張って答えたら殴られた。何でだよ。理不尽だ。暴力反対!


「んな異世界あるか! 日本語で話せて、多少の混在はあるものの主に熱帯圏のものを中心とした樹木が生い茂っている上、重力や空気の構成要素にも見たところ目立った違いがない! 高地に行った時のが酸素薄くてよほど異世界っぽかったわ! こんな都合の良い異世界があってたまるか!!! そもそもお前が神様って、何だ! 一体何の神だってーんだよ!?」


 立て板に水のごとく捲し上げた挙句、胡散臭そうに聞かれた。おまえのほうがよほど胡散臭い! そう言いたかったが寛大な俺は答えてやった。


「闇の女神エイレイシア様だ。気軽にエレと呼べ」


 だというのに、


「……おまえ実は日本語不自由だろ」

「何でだよ!」

「それか頭か。不自由なのは」


 可哀想なものをみるような目で見られた。おまえにだけはそんな目で見られたくない。


「とりあえず厨二病っぽい『闇の』ってのは置いておいてもだな」

 

 あ、おまえはリアル中二くらいか、年齢。とつぶやく。なんで置いておくのか。それと、『チュウニビョウ』って何だよ。


「神様だけでも大概だが『女神』って何だよ。性別変わってるぞ」

「?」

「日本語で『女神』ってのは女の神さんって意味なんだよ」

「知ってるけど、何か?」

「だぁぁぁぁぁぁ、分かってねえだろ!!! 女神は女! おまえは男!」


 マダガスカルが俺の股間を指さした。そろそろ服を着たほうがいいのだろうか。男二人ですっぱだかで草原に立っているのは、端から見るといやな風景かもしれない。

 今更ながらに気が付いて、正面の相手にも教えてあげた。


「話きけよ、おまえ」

 

 あきれた顔でため息吐かれた。おまえには言われたくない。


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