強き魔王はやっぱりロリコンオーラ
無意識にロリコンオーラで周りを翻弄してます
「リベリア、具合はどうじゃ」
「もう一人で起き上がれますわ。魔王さまの手を煩わせてしまい、申し訳ございません。亜種もこの城に…」
「気にするでない。そなたは何も悪くはないのだ」
「でも…」
そこまでで会話は打ち切られた。
なぜなら、「魔王さま!亜種と思われる者を2体、発見致しました!」との声がかかったからだ。
「リベリア!ちょっと行ってくる!」
「はい、魔王さま」
部屋には勇者とリベリアの二人が残される。
「嗚呼、なんて素敵な魔王様…惚れなおしてしまいますわ」
「惚れ…ってお前、女同士だろ?」
「人間はそうやって小さな枠に押し込める。わたくしは、、いつかこの手で魔王さまの処女を…」
「ストーップ!色んな所から規制がかかるぞ!」
「規制?」
亜種と思われる人物は、マオの手下に両側から槍で戒められていた。
「エレナ…キッシュ…そなたたち…」
見覚えのある部下だった。
「ギャグを言っても反応がなく、魔王城をうろついていたところを捕まえました」
(これは…精神を乗っ取られただけ…かな)
「今、治してやるぞ」
マオは一人ずつの頭に手を当て、すると、すうっと黒い靄のようなものが抜けていった。
「あ…ら…?魔王さま…?これは…?」
槍を外すよう命じると、忠実な部下たちは素直に従った。勿論、彼女たちがマオに手を出せば致命傷になる位置で。
「分かるか?最後の記憶はいつじゃ?」
「最後の記憶…は……申し訳ございません…思い出せないのです…ただ、ひたすら体が重たくて…」
「良い、自室で休むが良い」
「申し訳ございません…魔王さま…」
「そなたたちの見解を聞きたい。どう思った?」
槍を持っていたリザードマンたちは顔を見合わせ、一人が代表して跪いた。
「魔王さまのお力で、亜種の力は抜けたと思います。亜種は、やはり魔王様がおっしゃった通り、仲間になりすますことができるようかと」
「やはりな…」
少し考えこんで、「わらわの力及ぶところでは、ここに居る亜種は3体。そのうち2体は治すことができた。ゆえに残るは一体」
目にも見えなかった。マオが、目の前のリザードマンに掌打を打ち付けるのは。
「魔王さま!?」
他の亜種からも声が上がる。
「その程度の变化でわらわをごまかせるとでも思うたか。最後の一体は、貴様じゃ」
うう…とうめいて、リザードマンがなんとか体を起こす。その姿はすでに、純粋のリザードマンではなく、亜種の姿だった。
「アイシクルエリア!フリージング!」
二重詠唱。完全に氷漬けになった亜種を、ほかのリザードマンにも見せる。
「まさか…本当に我々の城に…数を増やして…」
呆けたように一人がつぶやく。
「この姿を良く見ておくがよい。正真正銘、これが亜種じゃ」
「我々を、こんな姿に…一体誰が…」
まだ呆けたようにつぶやくもう一人のリザードマンに、
「そなたたちと人魚を融合させたのであろう。しかし、誰が一体…。現在、人間たちの腕利きの冒険者ギルドが動いておる。しばらくは心配はいらぬであろう」
「魔王様、この亜種はどうなさるおつもりでしょうか?」
「うむ…砕いてしまうのは一瞬じゃが、わらわの氷は永劫溶ける事はない。皆に説明をして、中央ホールに安置せよ」
「はっ!かしこまりました!」
「そなたたちも、よう働いてくれた」
微笑を浮かべると、
「とんでもない!魔王様のお力になることが我々の使命なのですから!」
と、ぶんぶか首を振られる。
「これ、目が回るぞ。亜種を運ぶ前にそなたに倒れられては笑い話にされるぞ?
悪戯めいてそう言うと、リザードマンも苦笑する。
「それでは、運んでおきます」
「ああ、頼むぞ。慎重にな」
「だからどこに規制がかかるというのです!」
「見た目13歳の女の子を犯そうとしているところだよ!」
「愛があれば年齢差なんて!」
「いやいや愛があっても13歳はだめだろ犯罪だぞ!」
「今更モンスタ―に犯罪も何もありませんわ」
「うわ、開き直ったよこいつ!」
「何をしておるのじゃ…リベリア、思ったより元気そうで安心はしたが…」
「魔王様がわたくしの…心配を…」
「はいそこ顔赤らめない! せめて外見18歳になるまで待…いや女同士でそんな!」
「勇者、なにを騒いでるの?」
教育に良くない。
まこともって教育によくない。
「お前がいつ育つかって話だよ」
と誤魔化す。
「育とうと思えば今ここでも育てるけど」
「「ええっ!」」
「でもそれやっちゃうとねー、魔力が暴走して城壊しちゃうんだよねー。だからあえて子供の姿にしてるの」
「なんですと!」
「俺はロリコンじゃなかったんだな!」
「何を騒いでるのかわからないけど…一応、亜種は捕まえたよ。リベリア、痛い思いをさせてごめんね」
あああ、そうやって甘やかすから…という勇者の内心に気づく事なく、魔王はいつまでもリベリアの髪を撫でていた。
早く本編に入りたい…ネタバレしたい…!