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見た目は子供、魔力は大人!

「まぁ色々と自然が豊かってゆうのも、歓迎ではあるけど、雨の中の野宿はもう遠慮したいにゃー」


誰にともなく呟き、やれやれとため息をつく。ようやく晴れた空。見晴らしは最高。

王都アルゼーンまでは、早馬であと2日といったところだろうか。

「もう飽きた。やってられん」

そう呟くとボクは指を二本額に当て、一瞬の集中の後、

[超高速飛行ハイウィング!」

早馬どころか目視すらできないほどのスピードで首都に向けて滑空した。


この魔術には欠点がある。

まずは、高度を上げると速度が落ちるということ。

また当然、速すぎて初心者が使うと目を回すということ。

そんなアホが習得できるほどの低いレベルの魔術ではないので次。

高速移動なわけだから、自然現象として風の結界をまとう事になるため、狭い路地は通れないということ。(通ると路地をぶっ壊す)それを利用して、敵に向かってぶつかれば、吹っ飛ばす以上のダメージを与えられるのは利点だけど。

あとは、これはもう速さを追求していくには避けられない壁だが、音速を超えるとき、文字通り"空気の壁"にぶつかり速度が落ち、ダメージを受けるという物理現象がある。

そのためボクは、音速に達する直前に、ダミーとして血を込めた藁人形を飛ばしてある。

この人形が空気の壁にあたり、一瞬その壁が壊れる。そこをすり抜ける。分身したみたいに見えるかも…と思ったけど、そもそもこの技使ってる時点で速すぎてボクの姿、見えないしね。まぁ、そこまで急いでない時は、亜音速程度の早さにとどめておくけど。

あとは戦闘機と同じ、いや、それ以上の速さ。

ちなみにこの術は高速移動の術だが、音速まで出せる魔術師というのはボク以外に聞いたことがない(自慢!



アルゼーンが見えてきたところで速度を落とし、高度を上げる。直接王城に乗り込むつもりだ。

誤解しないで欲しい。別に喧嘩を売りに来たわけではないのだ。

数日前、ボクの城に書状が届いた。曰く、「友好関係を結びたいから良かったら来てねテヘペロ」

その場で破り捨ててやろうかとも思ったが、ボクは8代め魔王、あちらには、負けなしの初代勇者がいる。

事を面倒にしたくないがために、ボクは王城のてっぺんで術をとき、尖った装飾の屋根に降り立つ。それに、和平協定って、利害も一致してるしね。


「ひゃー、さっすが見事な眺め!きれー、感動!やっぱファンタジーだね!TDL軽く超えてるよやっばー!」

気配は封じていない。勇者が本物なら、ボクが乗り込んできたことに気づくだろう。その通り、後ろから僕の首筋に剣が「あとちょっとで切れちゃう!」という距離で突きつけられていた。

「おっとーいやん、物騒な真似はやめてねん。呼び出したのはそっちでしょ?こっちはそれに応じただけ。戦闘の意思はないよん」

背後に殺気を感じ―――その強さから、恐らく勇者だろう―――ボクは腰に手をあてたまま振り返らずに言う。

「エルフと似た尖った耳、女性、外見年齢12歳前後。魔法効果のあるピアスが多数。陽に焼けた肌、左腕の紋章、飾りだらけのポニーテールの銀髪…外見は魔王と一致する。何よりその卓越した魔力…。最後の確認に、瞳の色を見せて貰えないか?」

すっと剣が引かれる。

「いいよーん」

無防備に振り返り、ボクはにっこりと笑う。

勇者…初代勇者が初代魔王を倒したのは2000年も前なのに、随分と若く見える。18歳くらいかな。

それも魔術によるものだろうけど…勇者はボクを見て、少し顔を赤らめて顔をそむけ、咳払いをして、もう一度ボクに向き直った。

「両眼青目…?話と違…」

そこまで勇者が言いかけた時、僕は任意で瞳の色を変える。勇者はひとつ息をつき、

「金の左目、水色の右目。そしてその溢れんばかりの魔力。魔王自身と確認した。敵意がないという言葉を信用しよう。よく来てくれた」

そう言って勇者は、正眼にかまえていた剣をチャキンと鞘に収めた。

ありゃま。

随分とお人好しだなぁ。

その気になれば一瞬で人間の体なんて貫けるのに、……あちらにも自信があるということだろうか。僕は両目を蒼に戻す。オッドアイになるのは、能力を行使している時だけなのだ。


「それにしてものんきなものだな。王城に堂々と一人潜入し街を眺めているとは…それだけ余裕があると言いたいのか?」

勇者の物言いに若干の刺を感じる。

それを意にも介さず、ふあー、とボクは欠伸をひとつ。

「人間っていうのは、感情に訴えて交渉に持ち込めば、たいていの場合は情に流されるものにゃ。更にそれが同族―――人間同士で、更にこんな美少女だった場合」

言って、ボクは尖った耳と紋章に手を当て、すっとそれを消す。まばたきひとつで、肌は色白に変わる。

「ボク、迷子になっちゃったよぉ…ママ、どこ?」と泣き声で言ってみる。

「変化魔法か…詠唱もなくこなすとはな」

そこでボクはまた元の姿に戻り、髪型を整える。

「ボクだって最初は戸惑ったよ、だっていきなりある日"実はあなたは魔王に当選しました"だもん。いきなり分不相応の力与えられて、どーすりゃいいものかってさー。とりあえず、力を制御する訓練から始め…ありゃ?どしたの勇者?」

「へ?」

ボクが姿を元に戻している間、勇者はそれまでと一変したかのように、マヌケな声をあげた。

「え?ありゃ、もしかして知らない?魔王っていうのは、生粋のモンスターじゃなくて、元は人間なんだよ」

「な…」

勇者の姿がよろめく。そして、顔を片手で覆った姿は、冷や汗にも似た汗が吹き出していた。

「それなら…俺は…、俺は…今まで………、人間を…殺めて…」

「まーまー、気にすることないって。ボクが人間だった時は、ここじゃない世界にいたけど、こっちの世界でいうところの…えーっと、重病人で介護人に迷惑をかけるだけの存在。容姿は今ほどじゃなくとも優れてたけど、寝たきり状態じゃ意味ないっしょ」

「なら…なぜ…この世界に…」

勇者は力がすっかり抜けてしまったように言葉を紡ぐ。

それにボクはウィンクひとつ。

「ひ・み・つ。けど多分、あっちで死んでこっちの世界に飛ばされたんだと思う。でもこっちの世界では楽しいことだらけだよー、なんせ、あっちの世界では剣の時代は終わってたし、魔法は元々存在しなくて退屈だったし。環境破壊もひどくてねー、ていうかベッドから出らんないからあんまし関係ないんだけどさ。こっちの世界マジ神秘!って思ったもん、ほんっとキレーイ!」

「だから…だから、お前の代になってから、魔王は目立った殺戮をおこなっていないのか…」

半信半疑、いやほぼ信じている勇者の問い。

「んー、だって、殺戮行なっても利がないし快楽なんて感じないし。陣地は、先代が8代に渡って広い領土を魔王城中心に広げてくれてるから、今のボクは、人間に擬態して冒険するのが楽しいかな!人間の魔法だってたくさん覚えたんだよ!ヒーラー魔法はさすがにちょっと魔属性を持つボクには反作用でダメージ受けるけど、冒険仲間が瀕死の場合はそんなこと言ってられないし。はっきし言って、今の生活、ちょーーーー満足!」

「は、はあ……」

「だから勇者、もし冒険に行くならつれてってぇー!」

言って、身構えていたはずの勇者をの防御をすり抜けて抱きつく。

「おわ!ちょ、急展開過ぎる!大体お前いくつなんだ!」

「そういう勇者こそ、初代倒して何千年経ってるのさ?いくつって聴きたいのはこっちだよ?」

「ああ、俺の場合は…勇者の証を持って生まれた赤子に、魂を移す。そうやって、生き延びてきたんだ」

「あー、なるほど、下位転生魔法かー。んじゃ、ボクの年齢。ひみつでーす!」

「な!汚いぞ!」

「あははっ!」

じゃれるボクを引き離し、勇者は、「だが…疑問が残る」とボクを見つめてくる。


「疑問?」

「ああ。これまで魔王は、多くのモンスターを率い、人間たちを殺戮してきた。だから、人間たちも魔王を筆頭としたモンスターに対抗すべく、勇者を選抜したんだ」

「それに選ばれたのが勇者かー。んん?勇者って呼ぶのもなんかなー。名前はないの?」

「俺の名前はエリザーレだ、‥勇者でいい。それと話を逸らすな。…なぜお前は、これまでの奴らのように人間を襲わない?魔王なのだろう?」

「ふあー、長い名前だにゃー、やっぱ勇者でいいや」

んー、と、この世界にすっ飛ばされた時に、神様らしき人が言ってた事も混ぜあわせてボクは勇者に説明する。

「魔王に選ばれるのはみんな、ボクと同じ世界の者らしいのさ。魔法なんかなくて、剣で戦う時代も何百年前に終わってる退屈な世界。知的生命体は、人間しかいない。ねー勇者‥そうなると、どうなると思う?」

「人間しかいなくて魔法も剣もない…か。平和なんじゃないか?」

ブッブー、と頬を膨らませ腰に片手を当ててボクはびしっと勇者を指さす。

「勇者、甘すぎ。剣も魔法もなくて人間だけの世界。そうなると、人間同士で殺し合いが始まるって、なんでわからないかなぁ」

「……!!」

「理由は些細な事…。遺産相続、痴話喧嘩、そんなの小さなこと。国同士で大きな戦争は、宗教がらみが多いみたいだったなー…どっちが誤射したとかわざとだろとか政権も揉めてたみたいにゃ…いい?剣も魔法もないということは、それ以外の武器を大量生産することに、人間は向いていくんだよ」

「それ以外の…武器…?」

「言ってもわかんないよねー…分かって貰えそうなのは生物兵器。猛毒散布とか更に感染性をもたせたものとかだね。当然、回復魔法はないから、解毒薬が必要になるけど、そういうのはお偉方が独り占め!…んー、あとこれ勇者に理解できるかわかんないんだけど…核爆弾っていうのがあって…核融合を起こして一撃で国一つクレーターにしちゃう。ボクが使う魔法と同じ威力。原理は、そうだなー、太陽」

ボクが上を指さすと、つられて勇者も上を見る。眩しさに、手をかざしながら。

「太陽が落ちてきたら、どんだけの被害が出ると思う?」

「伝説の超魔法、メテオ…か。…無論…人間も、モンスターも…助からない…」

「そーいうこと。そっち方面の技術に特化しちゃってたんだよ、あっちの国は。夢もなくって、汚くて、みんな憎み合ってた。…でもね、剣と魔法っていうのは、ボクは憧れだった。それに、外を走り回れるだけの健康な体があればよかったんだぁ。別にだれかを恨んだ事はないし、病気に生まれたボクが悪いからママは悪くない」

「………病死、した…のか…?」

うーん、と少し考えて、ちょっと笑ってみせる。

「あんまり覚えてないや。最期のほうは、もう、誰もきてくれなかったから」

「…………」

両手を広げてボクは不安定な塔のてっぺんで無邪気にくるくるっとまわる。

「ボクは、太陽浴びて、走り回って、好きなだけ魔法ぶっ放せるこの世界が大好き。だけど、きっと先代魔王たちは…予想でしかないけど…全てが憎かったんだろうね。魔王っていうのは、一番好きな人間に裏切られた者から選ばれるらしいから」

「そんな…、裏切られ…誰もこなかったって………」

(病気でベッドから降りられないのに、放置されて、薬も与えられず、この子は餓死したというのか!)

勇者はぎゅっと歯を食いしばる。


「俺なら……世界を壊そうと思ってしまうかもしれない。お前は…偉いな……」

「なんで?勇者が魔王を偉いって褒めるのっておかしくない?それにボクだって同じことしてたのかもよ?最期のほうは記憶が曖昧だったから、誰も恨まずにいられるけど」

「……でもお前は、魔王として人を殺したりはしてないだろ、被害も与えてない」

「あー、それー…、配下のモンスターの一部が、人間しか食べれない子もいるから、夜中に牢から死刑囚盗みだしてるの実はボクです!ごめんにゃああ!!」

「お前かあああああ!!最近の極悪囚の脱獄事件の犯人は!!」

「ごめんにゃごめんにゃ!こっちにも事情というものがあって!その子たちは、人間以外を食べると中毒起こして死んじゃうのー!」

「成る程、だから一番穏便に死刑囚か。…だがあそこは魔法の一切が使えないはずだ!外部からの侵入の形跡を一切のこさずどうやって…門番もいるのに?」

「説明するから怒んないでお願いいいい!」


必死で謝りながら、ボクは勇者に事情を説明していた。

まず、ボクが使っているのは厳密には魔法ではない。スキルだ。これは魔王にしか使えないらしい。だから、転移魔法を封じられようが、転移スキルを使ってしまえば無意味なのだ。

とはいえ、魔法も全般使えるのだが今ここでは関係ないので割愛。

[魅了チャーム]のスキルで門番を意のままに操り、しばらくの間ぼーっと立ってもらう。チャームの効果が切れたら必要な事以外全部忘れてもらう。

そして、脱獄犯のフリをして、極悪囚と接触。

『どうだ?お前も一緒に逃げねえか?その辺で女でも無理矢理路地裏に引きずり込めば、ちょっとした金にはなるぜ』

これでノってきた奴はすなわち悪、配下のモンスターの餌決定。

自分は罪を償いたいから断る、ここに残るとかいう奴は、よろしい認めてあげよう、餌どもを外に出したあと、本来の姿に戻って『さっきの誘いにノらなくてよかったね』と、唖然としている彼らににっこり微笑み、チャームにかかっている門番に、「今残っている囚人たちは、脱獄囚を止めようと一生懸命戦った正義ある人間だ。減刑を皆で上に訴えてね。そんじゃ」と言って消える。


という寸法だ。


「どしたの?頭抱えて」

「いや…お前のやってる事は確かに悪くはないんだが…。…モンスターが人間食う描写まで事細かに説明しないでくれ…」

「ありゃ、そっか。勇者は人間だもんねー。ボクはこっちの世界に来るとき、そういうのに対する抵抗感全部失っちゃったからさ。ごめんごめん!」

塔の鐘が鳴る。

謁見の時間だ。

「そんじゃ行くよんー。あ、勇者と一緒に魔王が行ったらまずいか。先行っててー、ちょっと遅れてくからさ!」

「ああ。…なあ、魔王」

「んー?」

「お前は…強いな」

「へ?…まあ…そりゃあ魔王だから強いけど…」

ぽりぽりと頬をかきながら言う。

「いや、そういう事じゃなく。……なあ魔王、…お前は、変わらないでいてくれ。頼む」

「んー?なんかよくわかんないけどわかった。んじゃーお先いっといてねー」




その広間を表す言葉はまさに絢爛豪華。

白を基調とした大広間に、赤い絨毯が王座まで続いている。

そこに跪いている勇者をみつけ、るるーんと鼻息まじりにボクは近づく。とりあえず、出会ってない者同士を装って。

「魔王見参!だよーん。証拠が必要だったら、その壁ぶちぬいて証明しよか?」

あたりがどよめく。

宮廷魔術師、王族お抱えの剣士の他、貴族もろもろがうろたえていた。

「案ずるな。ここは一切の魔封じの結界をかけておる。…そなたのその尖った耳、腕の紋章、幼き姿、そして銀色の髪。魔王と信じよう」

そう言ったのは王座に座った好青年だった。王様、ねぇ。

「どもー。んー、でも、ボクは、君を王様だと信じてないよ?」

瞬間、景色が切り替わった。

「なっ!?」

驚愕の声が上がる。全ての魔法を封じていたのに、ボクが空間を渡って王様の背後から抱き込むように、首に手をかけていたから。

[記憶解読スキャニング]と心の中で唱える。

それだけで、この男の記憶がボクの中に流れ込んでくる。



――――王!そんな、魔王を騙すだなどと…

――――ならばお前はワシに死ねと言うのか!

(この怒鳴り返してるぶよぶよじじいが本当の王かー)

――――魔王はこれまで一切の殺戮を行なっておりません!それに魔王の目的は和平協定です!ならばこちらも礼儀を尽くすべきです!

――――ええい、うるさい!お前は黙ってワシの身代わりをすれば良いのだ!

そして王は怒鳴り声に怯えたらしい、孫娘(推定5歳)を抱き上げてデレデレしている。


だめだこりゃ


「君は悪い人じゃないって事は分かったよ。でも、君の使える王は、ボクは好きにはなれないなー」


すでに多くの槍がボク(と偽王)に向かって突きつけられていたが、再びボクは[転移シフト]と心の中で唱える。

「なにっ」

大勢の声が上がる中、ボクは目的の少女…少女というか幼女を抱き上げた。

「はじめましてだねー。お姉ちゃんね、王様に呼ばれて君と遊びにきたんだよ。さっきのもビックリショーなの」

「な…孫を…孫をっ[沈黙サイレント]

それだけで王は言葉を発せなくなり、こちらに手を伸ばし腰を抜かすばかりだ。

「おじいちゃまが?」

ちょうど、孫…おっと姫君から王が見えないような立ち位置にボクは立ってにこにこ話す。

「うん、そう。お姉ちゃんね、色んな所を旅してるの。背中から羽根だって生えるんだよー?」

「えー、うそだあ、羽根の生える人なんていないよー」

「うそじゃないよー。ここって、12階でしょ?ボクがお姫ちゃんを抱っこしてぴゅーんって飛んで見せたら信じてくれる?」

「いっしょにとべるの?」

「うん、飛べる飛べる」

「すごーい!」

王女は事態の深刻さも理解できずに目をキラキラさせている。

さすがに王族を抱き上げている状態のボクに槍を向けるのは憚られるのか、槍兵も弓兵もこちらに向いてはいるものの構えることもできず、おろおろしている。

「ちょっと窓割っちゃうけど、おじいちゃまは優しいから許してくれるでしょ?」

「うん!おじいちゃまはやさしいよ!」

「じゃ、いこっか」

―――孫を、孫を返せ―――!!!

悲痛なその叫びは、声ではない振動としてボクに届いたが、勿論無視する。だって先に騙したのあっちだし。

「行くよ?ぴゅーん!」

ボクの背中から、白い竜の翼が生える。そして凄い勢いで魔球を放ち窓を割り、地上12階の高さ、青空の下でばっさばっさと飛び回っている。

「すごい!すごい!はねだー!おねえちゃん、すっごーい!わー、たかーい!!」

――――孫を、やめてくれ、やめてくれえええ!!

この高さから落っことせばこんな小さな少女でなくとも死ぬだろう。

「じゃあ、ぴゅーんって地面めがけておっこちて、落っこちるちょっと前にまたぴゅーんってここまで登る遊び、やってみる?ちょっと怖いけど面白いよ?」

「こわいの?どうしよ…でも、やってみて!おもしろそう!」

「うん、じゃあ、そーれ!」


王族や貴族が真っ青になっている間、ボクは姫君を抱っこして「一歩間違えたら死ぬわい遊び」をしていた。

「そろそろ戻らないと、ボクね、おじいちゃまと難しいお話があるんだ」

「うーん、またあそんでくれる?またぴゅーんってしてほしい!すっごいたのしかった!みんなにじまんしちゃう!」

「いいよ!またやろうね!」

「ありがとー!おねえちゃんかっこいい!えへへ、ちょっとねむくなってきちゃったぁ」

「じゃあ戻ろうねー」

[睡眠スリープ][転移シフト]

二重詠唱だ。姫君はボクの腕の中でぐっすり。そしてワープしたボクは、再び大広間の真ん中に立っていた。

「魔封じをしたとかほざいておったが、人間ごときの封印が魔王たるわらわに通じるとでも思うたか?その小娘、いつでも殺せるということをゆめゆめ忘れぬよう…下らぬ真似を致したら、次は、ないぞ」

最初のカルいノリがボクの素なんだけど、まぁこういうところでは演じとく必要があるよね。てか、魔法じゃなくてスキルなんだけどね。勇者以外気づいてないっぽい。

腰が抜けたままの王を側近たちが支える。

王は眠る姫をその手にきつく抱きしめながら膝をつき、何度も何度も涙を零しながらボクに謝罪した。


「そなたらの目的は和平協定で間違い無いか?ならば応じる書類を持参致したが、もしや、勇者とわらわの決闘などという下らぬ余興であれば付き合う暇などわらわには無いぞ」

さっきとは打って変わって、びしっと空気が引き締まっている。勇者も安心した顔をしている。

「はっ!それにつきましては、宮廷魔導師であるエリシエン殿からお伝えを!」

「ご紹介にあずかりました、エリシエンともうします。魔封じを施したこの広間でなんの制約もなく動き回れるその御力を目の前にして、尊敬に近い念を抱いております」

「世辞は良い。端的に要点だけを述べよ」

「申し訳ございません。先代の魔王殿とは非常に緊迫した関係だった故、現代の魔王様と代替わりをされてからは、非常に平和な暮らしをさせて頂いており感謝致します」

要点だけっつったのに話長いなこの女…。ボクはあくびをこらえる。

「ですが、和平協定の前にお話が。この王都から西へ300kmほど行った密林で、亜種の魔族が現れるようになったのです」

「亜種じゃと?…初耳であるな。……リベリア!我が呼びかけに応えよ!」

急にボクが叫んだので、一瞬また緊迫した空気が流れ…そしてそれは、透明な空気から現れた、とし現できない登場の仕方をした、赤い髪に白い豪奢なドレスの女性の姿を見て、安堵と驚きに変わる。

また魔封じを破ったことへの驚きと、彼女があまりにも美人であるが故の安堵と驚き。

真っ赤なロングヘアは艶どころか煌めくほど、真っ赤で長い爪は手入れを丁寧にしている。そして、煌めく装飾をあしらったロングドレスの豪華さは魔王勢の財を如実にしめしていた。

「こやつの名はリベリア。わらわの側仕えをしておる純血種のヴァンパイアであるが、安心せよ。人間を襲ってはおらぬ。人間に近い血を持つ動物の血で我慢して貰っておるのじゃ」

「ご紹介にあずかりましたリベリアと申します。人間を襲ってはならぬとの魔王さまの命令を護るべく、北に生息するユニコーンの血を、互いに死なぬ程度に摂取させて頂いております」

「リベリア、もうその話は良い。(ここから小声で)なんか亜種とかいうのが出てるっぽいにゃー、後の交渉は任せるー」

リベリアは了解の意として、ドレスの裾を持って優雅にボクにお辞儀をし、人間たちに向き直る。

「亜種については、ここ半年で急に姿を現し、数を増やしているという報告があります。人間側でもなく、またなにより魔王様への忠誠を持たぬとは許し難い事。ですが、亜種の戦闘能力はそう高くはございません。魔王さまの御心を割くような事ではないと思い、これまで黙っておりましたこのリベリアをお許し下さい」

「構わぬ」

ぜ、全然知らんかった…

そして広場の人々も真っ青になっている。

「亜種の戦闘能力が…高くないとおっしゃるのか?騎士団をふたつ、一夜のうちに壊滅させたのですぞ?」

怒鳴りたいのを我慢しているのだろう。

騎士団長と思われる男が歯噛みする。

「魔王さまの御力であれば、殴るだけで殲滅が可能と思われますが」

あっさりリベリアはそう告げる。しん…というか、ポカーンとした空気が流れた。信じがたい事なのかもね。

「…………」

「そして、先代魔王様を封印した勇者殿であっても同じこと。いかがですか?ここは、魔王様と、勇者殿。この異形のPTを組むというのは」

「なっ…そんな前例は聞いたことが…」

「さんせーい!…っと、わらわも同意じゃ。まずはこの国との和平協定の為にと、後にと正式なる使者を送るつもりであったが…今ここでリベリア、そなたに代行を命ずる。…人間たちよ、先の件をチャラにして欲しくば我が要求を飲め。わらわ魔王軍は、人間を殺めたり、国家を危ぶめたりはせぬ。ただ和平協定を結びに参った。うむ、本題がだいぶ遅くなってしもうたの」

和平…?

まさか魔王が我々の提案を本当に飲むのか…?

ざわめくその場で、凛としたボクの声が響く。

「その和平協定の一環として、まず勇者と亜種との戦闘能力の差を見極めよう。安心せよ、勇者からこちらに魔法で定時連絡を入れるのは構わぬし、その間わらわはそなたらの会話が聞こえぬ場所に移動しておる。プライベート、というやつじゃの。…してリベリア、亜種とやらの報告も、姿形ならずしっかりと勇者とわらわに伝えよ」

「畏まりました。これに魔王さまの血印が押されております。この書類に、そちらの王の血印をもって、契約は完了とみなします」

そんなあっさりな…という声も上がるが、さっきのボクの暴れっぷりを見ると、大声で言えないらしい。

何より、和平を飲むという言葉に驚き、若干安心したような顔をした者のほうが圧倒的に多かった。

「勇者、そなたの力、わらわに見せて欲しい。……出立は今すぐ。参るぞ」

長い髪を翻し、ボクは「ひゃっほー!」と心の中でガッツポーズを取りながら部屋を出た。


勇者は説得に少し時間がかかったようだが、無事、ボクとPTを組むことになった。


「やほー勇者ー!素のボクで会いたかったにゃー!これで仲間ー!」

「おいおいおい、魔王と勇者のPTなんて聞いたことないぞ」

と勇者は苦笑するが、無視する。

「最初に人間と冒険PT組んだとき、当然だけど名前聞かれてさー、魔王って言うわけにもいかんでしょ?だから、咄嗟に"マオ"って名乗ったのだよね。でも勇者はボクのこと、魔王って呼んでいいよ。さーて楽しみ!…あ、マオについて聞かれても、失踪したらしいとかで知らんで通してね。魔導師と魔剣士両方こなすの人って少ないんだねー、ひっぱりだこで、楽しい半面さすがに疲れてちょっと休みたくてさ」

「ああ、分かったよ(苦笑」



というやりとりはあったものの、冒険者ギルドで顔を知られている以上、登録した偽名を書くわけにはいかず、PTリーダー…勇者エリザーレ 魔導師:マオと記入するはめになった………

……うん、無駄だった!







「実は、世界征服をしようと思ってるんだ」

「はあああ!?」


昼下がり、のんびり街道を歩きながら、「それにしてもお前は魔王としての役割とかそういうものはないのか?」と聞かれたから、素直に答えたら素っ頓狂な声を上げられた。

「おっとー、誤解しないでねん?武力による征服はしないつもり、和平協定ってやつ」

「お、おう…、お前までこれまでの魔王と同じ目的なのかと一瞬吃驚したじゃないか…」

「ありゃー、これまでやっぱそうだったんだねー。といっても当時を知るモンスターって殆ど討伐されちゃって、ウチの配下にいるワルキューレっていうアンデッド一匹しかいないんだけどさ」

「しかしそんなんで部下は納得するのか?」

「ふっふっふー甘く見て貰っては困りますぞ勇者どの」

「それは何キャラだ」

「普段はまぁこんなカルーい感じがボクの素だけど、部下の教育はスパルタだよん。まぁ演じてるからちょっと疲れるとこもあるんだけどねー」

「どんな風に演じるんだ?さっきみたいなのか?」

「そそ。"わらわが意に背くと申すか。ならばわらわが納得できるだけの理由を述べてみよ。…殺戮、血が見たいじゃと?…そなたには失望したぞ。本能に打ち勝つ事すらできぬ下位存在だと自らを貶めるか。せめてもの情けよ、この手により消え失せよ!"とか言って殺しちゃう」

「やっぱ殺すんデスカー…」

「うーん、まぁ、普段おちゃらけてても、実は強くて更に頭脳明晰、そこを隠してる風に装うっていうところが必要なんだよね。そうじゃないと、血の気の多い奴らが反乱したり、反乱ならボクが片手で消し飛ばせるけど、困るのはさー、勝手に人間の街襲っちゃったら取り返しつかないもん」

「…お前も大変だな…」

苦笑して勇者はボクの髪をくしゃっと撫でる。

ヒトガタモンスターといえど、モンスターが街道を歩いていれば、大騒ぎ…に、なっていたらしい。先代の時までは。

でもボクの代になってからは、モンスターの一匹全てに至るまで「人間と友好的にせよ」との命令が行き渡り、ボクが魔王になって2年、今ではモンスターの証であるエルフ耳や銀髪のボクが街道を歩いてても警戒されないどころか、街道商人に「売れ残りなんだが安く買わんかね?うまいよ?」なんて声をかけられるほど。(ちなみにエルフはみんな薄い金髪だから、銀髪の時点でモンスターだって分かる。ついでにちなみに、一番最初に和平協定済み)

「勇者!勇者!これ食べてみたい!買ってくれ!」

果物の甘酸っぱいおいしそうな匂いにヨダレさえたらしそうになりながら、ボクは勇者の肩をゆさゆさ揺する。

「お、おう…」

「おや?あんたよく見たら勇者さんじゃないか?いやー、本当に今代魔王ってのは温厚なんだねえ、モンスターと勇者のPTかい。お安くしとくよ?」

「これなに?初めて見る実だー、おばちゃ…お姉さんの故郷で採れたもの?甘いの?」

「あらやだよ、この子ったらお世辞がうまいんだから!おばちゃんでいいのよ。この実はスモーモとプラームを掛けあわせた、あたしの故郷の名物でねえ。売れ残りだから、お安くしとくよ?甘酸っぱくて後味良いからほら、モンスターのお嬢ちゃんも味見してごらん」

「いいの?いっただっきまーす!…………んー、おいしい!おいしいこれ!勇者、勇者、これ在庫全部買おうよ!」

「うん、確かにうまいなこれは。いくらになりますか?」

「銀貨10枚だけど、勇者さんとモンスターのお嬢さんのPTなんて珍しい出会いに感謝して、6シルバーでいいよ」

「え!安すぎるよおばちゃん!それじゃ儲けになってないじゃん!」

「あらまぁほんといい子だねあんたは。いいんだよ、今の魔王さんの代になってから、村が襲われた事がないからね、黒字なんだよ」

どっさり買い込んで、またねーとおばちゃんは手を振る。

平和だ。

すばらしい。そんで買って正解だった!美味しい!

「お前さ、全部買うって言ったのは、あのおばさんが重たい荷物背負って帰って白い目で見られないか…とかまで考えてたんだろ」

「あっはー。でも美味しいしいいじゃん!もぎゅもぎゅ…おいしいー!……おっと、んで、食べながら話の続きね!」



「逆に、褒めるべきところはちゃんと褒める。なんていうか、犬でも飼ってる気分だにゃー」

「いぬ?なんだそれは?」


「へ?」


あ、そういえば。

こっちの世界にきてから、犬とか猫を見たことがない…。

「おおお!気づかんかった!こっちの世界には犬がいない!なんてことだああ!」

「おちつけええ!だからその、いぬ、というのは…飼う、っていうあたり、愛玩動物のようなものか?」

「あ、うん。色んな種類がいて、片手でひょいって抱っこできるサイズから、体重40キロの種類まで100種類以上。もう可愛いのなんのって!」

「へえ、そんな動物がいるのか…見てみたいな」

しかしモンスターの軍勢をペット扱いとは、と勇者は苦笑しつつ、自然に話を戻す。

「うん、そうだねー…納得行く答えを出すこと、自分の頭で考えて、より良い方向につとめること、それを部下たちには絶対遵守の命令として与えてるんだ。褒める時はこんな感じ。…"異論がある者は申せ" "恐れながら、魔王さま、一つだけ気になった事がございます" "良い、そなたの考えを聞かせてみよ" "そこまで人間を傷付けぬというご姿勢の、理由をお聞かせ願えまぬか?我々は皆、人間とは相いれぬ存在…魔王さまの命令は絶対であると同時に、時折、疑問があるのです。この愚悩へのお答えをお聞かせ願えませぬか?" ってこんな質問が昨日あったばっか。そんで、 "ワルキューレ、そなたの疑問はもっともである。そして口には出さずとも、ここに集まりし我が同胞たちも、心のどこかで思っていよう。であるから、わらわは答える。……我らモンスターは、人間に虐げられてきたという歴史がある事は事実。…じゃが、そなたは立場を逆にして考えてみた事はあるか?" "逆…人間の立場になって考える…という事でしょうか…いえ、申し訳ございません、私めはこれまで一度も…" "ふむ、頭を上げよ、ワルキューレ。これまでの力関係を考えてみればそなたの考えは致し方ない。じゃが、今ここで学ぶことは、我々の更なる発展への第一歩。恥じる事ではない" "はっ! …人間の立場だとしましたら…魔王さまが攻めてこられたら、それに拮抗するだけの戦力を整え迎え撃つであろうと、愚考致します" "ふむ…それも間違ってはおらぬが、そなたの考えは高見からのものじゃ。下を見よ" "下、でございますか…?" "村人たち、戦う術もない女子供たち、そやつらから見れば、奪ったのは我々なのじゃ。" "しかし魔王さまはその権利と資格をお持ちの方!"ここで否定すると色々めんどいからもう肯定しちゃってるんだー。 "そうじゃ。だからこそ、それを許された孤高の存在たるわらわは敢えて、ここで和平による協定を各国と結ぶ。これまでの魔王に仕えてきたそなたからしてみれば、急に考えを変えるのは難しいであろうが、熟考せよ。何が最も我らを高めるか。血ではない、争いではない。それは、名誉じゃ。世界全てから、恐怖でなく、賛美の声で讃えられる事、これこそが、先代が辿りつけなかった高みぞ。簡単に力で奪えるものを奪わず、慈悲を与え、繁栄を許し、我が寛大さを世界に知らしめるのじゃ" "そこまでの深いお考え…このワルキューレ、感服致しました。魔王さまのお知恵、お考え、その全てにこのワルキューレ、永遠の忠誠を誓いそのお望みを叶える事を誓います!"  とかそんな感じのやり取りがあったにゃー」

「口先うまいのな…; あとお前、記憶力いいな…」

「あ、ボクね…ていうか魔王はね、忘れるっていう事がないんだよ。自らの意思で"これは忘れるべき"って記憶の整理を行わないと、全部隅々まで忘れられない、交わした言葉も一字一句覚えてる。最初にPTを組んだ時のリーダーはアメッツ、次はリッダ、その次はアメッツの従兄弟のジューダ……このへんはもう忘れていいかな」

「んー、頭がパンクしそうだ」

「人間の容量より大きいらしいよ、魔王って。あと、人間って、普段実は脳の7割は眠ったままだってい――――」

ふと、ある疑問がよぎってボクは言葉を切る。

「どうした?」

「勇者、ちょっと頭調べてもいい?」

「はあ??」

「だいじょぶ、痛くないし記憶覗いたりしないから。ただ、勇者はどの程度脳を覚醒してるのか見せて欲しいんだけど…」

「い、痛くないんだな?」

「うん、すぐ終わるよ」

「わかった」

ふー、っと息を吐いて、目を閉じて勇者が直立不動になる。

魔王を目の前にしてここまで無防備とはちょっとびっくりだけどね…

「じゃ、ちょっと頭にさわるよ」

「ああ」

ボクは両手を勇者の頭に添える。

[覚醒調査バースト・サー]」

………やっぱり……

「いいよ、終わった」

勇者の脳は、80%近くも使われていた。

「なんだ、あっさり終わったな。…ん?どうした、難しい顔して」

「……勇者だけなのか?それとも、こっちの世界の人間はみんなそうなのかな」

「なにがだ?」

勇者に、人間の脳の生理学と、そして勇者の脳の覚醒率を簡単に説明する。こっちの世界に来る前はよく医学書を読んでいたもので、それなりの知識はあったのだ。

「3%しか使ってないって、そっちのほうがおかしくないか?なんのための残りなんだ。そして俺は残り97%割早く目覚めろ!」

「待って待って!脳が大半眠ってるのは、脳が目覚めることによる弊害を防ぐため、自己防衛なんだよ!だから逆に勇者のほうが心配だな……ちょっと、この近くの村に立ち寄って、村人の頭見せてもらうにゃ!」

「おい待て、お前その格好…」

で、と言おうとしたのだろうが、ボクは走りながら、服ごと塗り替えるように姿を変えていた。

顔は変わらないけれど、人間の耳に、茶色い髪、神官の服と杖、子供の姿から、大人の女性の姿へ。

「勇者―!はやくー!」


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