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孤独な魔法少女は英雄になれるか?  作者: 烏口泣鳴
魔法少女は夜眠る
18/108

英雄は憧れ、憧れは……

「法子、病院に着いたけど、心の準備は?」

「まだ、あんまり」

 法子は苦い顔をして病院の門を眺めた。

「今更?」

「だって」

 タマが呆れながらふと気が付いた事を思い伝えた。

「そういえば、何も持ってないけど良いの?」

 法子は理解出来なかった様で、曖昧な思念を返してくる。

「だからさ、お見舞いに行く訳でしょ? 良いの? 準備しなくて?」

「準備って……何? もしかして、謝る為にタマちゃんを使って切腹するとか? その準備?」

「いや、違うよ」

「流石に出来ないよ。確かに謝りたいし、償いたいとは思うけど」

「違うって。ああ、もう良いよ、勝手に切腹してなよ」

「切腹はやだなぁ、切腹は」

 何だか切腹に拘泥して愚痴とした思念を送って来る法子を無視して、タマは病院を行き交う人々を眺めた。法子と同年代の少年少女が多い。恐らく昨日の事件で怪我をした同級生を見舞いに来たのだろう。

 法子は出来るだけ人波から離れて病院の玄関へ向かう。見上げる様な白い建物は何だか泰然と乾燥していて、とても中で粘液に塗れた人の生き死にが繰り広げられているとは思えない。

 この中に法子の切った子供が居る。そう思うと、タマは何だか緊張した。一体相手がどんな反応を見せるのか。少なくとも好意的な反応ではないだろう。その反応は法子の心に傷を付けるかもしれない。あるいは実際に肉体を傷つけようとして来るかもしれない。

 その時どうするか。

 百年前は見捨てた。償おうとした主が村人に惨殺された時は、どうなろうと何もするなと言われていた事もあり、本当に何もしなかった。その選択が間違っていたとは思わない。主の希望であればそれを尊重すべきであるし、刀である自分が刀の尺度でもって、人間側の事情に踏み込まない方が良いとタマは思っている。けれど悔しくはあったし、二度同じ事をしたいとは思わない。

 だからどうするか。法子は謝ろうとしている。けれど、切腹はしたくないと言った。負けた犬が勝者に腹を見せる様な全面的な降伏を望んでいる訳ではなさそうだ。きっと法子は良く分かっていないのだろうとタマは思う。きっとどうしていいか分からなくて、分からないなりに何かしようとした結果が、謝りに行くという行為なのだ。何か確固たる意志の下での行動ではない。

 ならば助けたって良いだろう。最悪の事態だけは絶対に避ける。例え何がどうなろうと法子の命だけは。

 法子が玄関を通り抜け、中に入る。人の数が多い。タマは目当ての子供をどう探すのだろうと疑問に思った。

「ああ、でもあそこに並んでいる病院の人間に聞いてみれば良いんだな」

 入ってすぐそこに看護士が並んでいるのを見てタマはそう結論付けたが、法子は否定した。

「赤の他人の私にはきっと教えてくれないよ」

「そうなのかい? 君が人見知りして話し掛けたくないだけじゃなく?」

「それもあるけど……でも教えてくれない」

「じゃあ、どうするんだい?」

「どうしようね」

 法子は受付を過ぎて病院の奥へ進んでいく。だが目的に向かって進んでいる様にはとても見えない。辺りを見回しながらさ迷っている。

 本当に何も考えていなかったのか、こいつ。呆れたが、見つからないならそれに越した事は無い。

「じゃあ、帰ろう。こんなに人が居たんじゃ見つかる訳が無いよ」

「うーん、そういう訳にも」

 そう言って、法子が何気なしに廊下の途中の休憩スペースを見た。そこに居た。

 法子が切った少年がそこに居た。パジャマ姿の少年が点滴を脇に立てて、楽しそうに笑っていた。

 法子の体中から汗が吹き出した。意識が遠のく程緊張してふらついた。

「ごめん、タマちゃん」

「どうした?」

「やっぱり無理。帰る」

「は?」

 出来れば会わずに帰って欲しいと思っていたタマでさえ、その突然の心変わりに驚いた。

 タマが法子に説教をしようとしたその前に、法子が切った少年と談笑していた人物が法子を見つけて笑いかけてきた。

「あれ? 法子さん!」

 逃げかけていた法子の姿勢が更に一歩退いた。法子に声を掛けたのは、文化祭で法子にシフトの変更を告げた同級生だった。

「法子さんも誰かのお見舞いに?」

 語りかけられたが法子は答えられない。法子の思考は混乱で渦巻いてほとんど停止した様になっている。

「誰? 摩子お姉ちゃんの友達?」

 法子が切った少年が法子の同級生へ尋ねる。

 摩子という名前なのか。とりあえず相手の名前が分かった事で、法子の思考がまとまり始めた。これは絶対に覚えておかなくちゃいけない。

「うん、そう!」

 摩子の元気の良い肯定に、法子のまとまりかけていた思考が再び熱気を孕んで霧散した。法子は誰かと友達になるなど現実に在り得る訳が無いと今までずっと盲信していた。そこへやって来た摩子の友達宣言は、法子にとって地球を丸くした位の衝撃だった。

「ね? 法子さん」

 摩子が同意を求めて来たので、法子は口を戦慄かせながら震えに似た小さな首肯をした。他人からの好意に慣れていない法子は、自分が摩子に何か仕出かしてしまって、それで摩子は何かの仕返しをしようと優しさを見せているのではないか、と本気で疑っている。文化祭でのシフトの変更の延長にあるいじめなんだろうと本気で心配している。

 疑り深い法子を余所に、摩子は隣の少年を促した。

「純君、ほら、初めてあった人にはちゃんと自己紹介しないと。お母さんに言われてたでしょ?」

「あ、そうだった。初めまして、後藤純って言います」

「あ、えっと、十八娘法子、です」

 純はねごろと呟いて首を傾げた。聞きなれない苗字に戸惑ったらしい。それを横から摩子が補足した。純は感心した様に頷いた。

「摩子お姉さんもそうだけど、二人共難しい苗字だね」

 それを聞いて、法子は自分のクラスに、自分以外で難しい苗字を持った者がもう一人居た事を思い出した。確か五月女という苗字の。目の前の摩子の事だったらしい。名簿に載っていれば必ず目立つ珍しい苗字という関連性が、摩子に対する警戒を少し溶かしてくれた。

「純さんは摩子さんの弟さんなの?」

 法子は何だか浮かれているなと自分の事ながら思った。自分から目の前の相手に世間話を振るなんていう事は生まれて初めてかもしれない。

「さんは変だよ。俺、年下なんだからさ」

「さんは要らないよ。友達なんだから呼び捨てで良いよ。私も法子って呼ぶから。ね?」

 二人が笑顔を浮かべた。

「おうん」

 法子はまともに舌も口も動かず、変てこな答えを返した。

 敬称は要らないなんていう台詞、何だか漫画みたいだ。法子は不思議な高揚を感じていた。

 高揚に促された結果、まるで自分では無いかの様に口がすらすらと動いてくれる。

「じゃ、じゃあ、純、君と、ま、摩子」

 意味も無く二人を呼んで、照れて、法子は頭を撫でつけた。気恥ずかしい。顔が熱い。何だか悪い事をしている様な気持ちがした。

 それを見て、純と摩子はおかしそうに笑った。

 法子は笑われた事で何かしてしまったのかと不安になった。

「そうそう。でね、私と純君は家族じゃないよ。この前病院で知り合って、それで仲良くなったの」

「丁度、看護婦から逃げてるところでさ」

「すぐ後に捕まってたね」

 ふと今更ながらに自分が切った相手の容体が気になって、法子は不躾に尋ねた。

「逃げてたって、怪我は大丈夫……なの?」

 純は快く答えた。

「うん、お腹に傷があるんだけど、そんなに重い怪我じゃないよ。お母さんは無茶苦茶心配してたけど、お父さんは笑ってた」

「そうなんだ」

 何と答えていいか、法子には分からなかった。目の前の少年は笑っているが、傷つけた当人が笑っていい訳が無い。もしかしたら内心ではとても苦しがっているのかもしれない。その本心のところが気になった。

 いまいち話慣れしていない法子は、回りくどく聞く事など考えず、直截に核心をついた。

「入院、つらい?」

「えー? んー、ちょっと暇かなぁ。ごはんもあんまり美味しくないし。でも塾行かなくても良いのは良い。最近、お母さん、病院にまで宿題持ってくるけど」

 微妙なところだった。心の底から入院に嫌悪している訳ではなさそうだが、やっぱり嫌な事は嫌らしい。

「じゃあさ、やっぱり、その、純君の事を傷つけた魔法少女の事、恨んでる?」

 自分で言った言葉なのに自分で傷ついて、法子の視界が揺れた。緊張で呼吸が荒れて、酸欠気味になっていた。ああ、聞いてしまった。後戻りは出来ない。そう思うと、胃に詰め物をされた様な不快感があった。

 純はしばらく不思議そうに法子の事を見つめていたが、やがてまた笑った。

「全然!」

 明るく言い切った純の言葉が信じられずに、法子は重ねて聞いた。

「本当に? 切られたのに?」

「うん! だってあれ、魔物を倒す為に仕方が無い事だったじゃん」

「そう、だけど」

 純が悪戯を思いついた様な、秘匿と稚気を孕んだ笑いを浮かべた。

「あのね、これ、お母さんには内緒にしてね。俺、変身ヒーローになりたいんだ」

「ヒーローに?」

「そう! エリーパーって知ってる?」

 法子は知っていた。少年漫画に出てくる架空のダークヒーローだ。さっぱり人気が出ずにすぐ打ち切りとなったが、法子はそれなりに好きだった。

「分かるよ。読んでたから」

「ホントに? 俺、それになりたいんだ」

「ダークヒーローに?」

 純は首を振る。さっきからずっと笑顔。よっぽどヒーローの話題を喋るのが嬉しいらしい。

「そうじゃなくて、あんな風にみんなに分かってもらえなくても、みんなにいじめられても、それでもみんなの為に闘うヒーローになりたいんだ。みんなにちやほやされてる普通のヒーローより、よっぽどカッコ良いじゃん?」

 その思いを法子は良く理解出来た。何せ、法子が目指しているヒーロー像と全く同じだったから。

「エリーパーの事、友達はつまんないしカッコ悪いって言ってたけど、でも俺はなりたい。あんなヒーローに。変かもしれないけど」

「変じゃないよ」

「本当?」

「うん。だって私も同じ。そんなヒーローになりたいもん」

 純が笑う。

「じゃあ、期待してて。俺がそんなヒーローになったら、法子お姉さんの事も守るから!」

 お姉さんという言葉が何だか気恥ずかしくて、法子は赤面した。うちの弟もこれ位素直で可愛げがあればなぁと思う。

 その時、突然純が顔を顰めた。どうやら傷が痛くなったらしい。

「あ、大丈夫?」

 摩子が気遣わしげに俯いた純を覗き込む。純はそれに笑って答える。

「大丈夫。ちょっと痛かっただけ」

 法子も心配になる。法子があんまりにも不安そうにしているので、純は元気づかせる様に言った。

「本当に大丈夫だから。傷はすぐ治るって言われたし、それにこの傷は勲章だし」

「勲章?」

「そう、怪我は男の勲章なんだよ。この傷は魔物を倒す為の傷だから、だから誇りに思えってお父さんも言ってたし」

「そう、なんだ」

 それは法子には理解出来ない観念ではあったけれど、でも、法子はその少年の言葉に、安堵して、心が軽くなって、情熱が湧いて、頑張ろうと思った。頑張ってみんなを救おうとそう思った。

「あ、純君! こんなところに居た」

 三人が声のした方を見ると、看護士が一人、誰も乗っていない車椅子を押していた。

「まだちゃんと直ってないのに出歩いて、駄目でしょ」

「あーあ、見つかっちゃった」

 純は残念そうに呟いて、立ち上がった。

「怪我、早く治したくないの?」

「はーい、ごめんなさーい」

「もう」

 看護士に促されて車椅子に乗って、純は摩子と法子に手を振った。

「じゃあね、楽しかった」

 そうして、何だか恥ずかしそうに口ごもってから、

「また来て話してくれると、嬉しい」

 そうして看護士に押されて、去っていった。

 残された法子は、急に摩子と二人っきりにされた事で気まずくなった。なのですぐにその場を離れる事にした。

「じゃあ、あの、私もそろそろ、行くね」

 そう言って背を向けて去ろうとした時、摩子が嬉しそうに言った。

「うん、じゃあ、また学校でね」

 法子は思わず振り返って、摩子の顔をまじまじと見つめた。摩子の顔に浮かんでいる屈託のない感情を見て、法子の喉の奥から感慨深い何かがせり上がってきて、法子は思わず泣きそうになった。それを必死でこらえて、鼻声になった事に気付かれない様、出来るだけ小さい声で短く答えた。

「うん、また」

 そう言って、早足で別れた。

 その後ろ姿を、摩子は不思議そうに眺めていたけれど、やがて「ま、いっか」と言って立ち上がった。


「良かったじゃないか、向こうは恨んでいなくて」

 病院を出て、ショッピングセンターに直通するバスに乗り込んで、人心地ついた法子に向かってタマが笑って言った。

「うん」

 病院に行って良かったと法子は同意する。これで罪が償えた訳ではないけれど、それでも少年に行為を肯定された事で心がとても軽くなった。

「でも結局謝らなかったんだね」

「う」

 痛い所を付いてくる。

「だって隣に摩子さんが居たし」

「まあね」

「それに何ていうか、言っちゃまずかったと思う」

「そう? 向こうは恨んでいない様だったけど」

「そうじゃなくて、私があの時のヒーローだって分かったら、きっとがっかりしただろうから」

「そんな事無いと思うけど」

 法子の劣等感は根深いなとタマは残念に思った。あの少年に肯定された事で一気に明るくなってくれないかと期待したのだけれど。

「まあ、何にせよ、病院に行って良かったね」

「うん」

「友達も出来て」

 法子が仏頂面になる。

「意地悪」

「え? 何で?」

「何でも。ねえ、ちゃんとしてたかな? 変な事してなかった?」

 タマには法子の不安がいまいち分からない。

「変な事って?」

「何かこう、嫌われる様な事」

「してなかったと思うけど」

「本当に?」

「うん、多分」

 タマが曖昧に返す。

「あー、大丈夫かなー。嫌われてないかなー」

 何で悩んでいるんだろう。タマには全く理解出来ない。きっと法子が良くやる杞憂なんだろうと思って、タマは明るく言った。

「大丈夫だよ」

 法子がおずおずと尋ねる。

「本当に?」

「ああ。それに過ぎた事を悩んでも仕方が無いだろう」

「そっか……そうだよね」

 その途端、法子の思念がぱっと明るくなって、今の悩みは何だったのかと思える程、喜びに満ち溢れた。

「あんまり気にしない様にしよう!」

「そうそう」

「折角タマちゃんが行きたがってたお店に行くんだしね」

「そうそう」

 同意してから、タマはどういう事かと不思議に思った。何がどう折角なんだろうか。それは良いにしても、行きたがっていた店?

「行きたがっていた店って、もしかして国内最大の魔術専門店の?」

「そう、そこ! アトランだっけ?」

 タマは一瞬思考が遠ざかり近付いては遠ざかる様な錯覚に陥った。振り子の様に揺れ動く掴めそうで掴めない思考をようやく掴み取った時、タマが法子に短い強烈な思念を伝えた。

「え!」

「えって何?」

「いやだって、え? 本当に? 何で急にそんな。いや、ありがたいんだけど」

「何でって、分かんないけど、何となく、嬉しくて」

 タマは更に追求したい気持ちもあったが、法子の思念のトーンが落ち始めた事に気が付いて、これ以上言い重ねるのを止めた。今は素直に喜ぶべきだ。

「うん、私も嬉しいヨ」

「何だか凄く腹立つんだけど」

 バスが止まり、ショッピングセンターに着いた。


 ショッピングセンターに降り立ってタマはまず人の多さに驚いた。こんなに沢山の人間がごった返す場面を今まで見た事が無かった。

 実際のところ、日曜日にしては客の入りが随分と少なかった。というのも連日の魔物騒動で近辺に強力な魔物の到来が予想されていたから。それでもタマにとっては、そして法子にとってもこんなに大勢の人間の最中に紛れ込む事は初の体験だった。

「ちょっと酔ってきた」

 人ごみの中を歩き始めて早速法子は気分が悪くなる。

「大丈夫かい?」

 だが今更戻ろうにも法子に人の波を掻き分ける力は無く、流されていく事しか出来ない。入り口は遥か後ろである。

 更に歩くと人波が三つに分かれた。ようやく人との間に隙間が出来て、法子はまばらになった人波の合間を抜けて壁に寄りかかった。

「本当に人が多いね」

「大丈夫かい?」

「うん、何とか」

「しかし沢山店があるな。場所は分かるのか?」

「うん。事前に調べておいたから。一番上の階の、って言っても二階しかないけど、その真ん中に噴水があるんだけど、その近く」

 法子は壁を離れて再び歩き出した。エスカレーターに乗って二階へ上り、更に奥へ進んだ。丁度ショッピングセンターの中央まで来ると、そこに大きな噴水があった。

「もうちょっとだよ」

「大丈夫かい?」

「う、うん。頑張る」

 少しずつ足取りの重くなってきていた法子だが、何とか力んで先へ進もうとした。

 ふと視線の先、噴水の一角に黒い影が立ち上った。何も無い所から、突然現れた様に見えた。

 何だろうと思っていると、タマの叫びが聞こえた。

「まずい! 逃げろ! ここを離れろ!」

 法子はぼんやりと影を見つめ続けた。影は段々と人型になって、何だか揺らめいている。

 影の周りに居た人々がその影に気が付いて、驚いて、叫び声を上げて、逃げ始めた。それが連鎖して、辺りの人々が一斉に噴水から駆け離れる。

 法子はそれでもぼんやりと影を見ていた。

「おい! 法子! 早く逃げろ!」

 影は段々と大きくなって、それが人位の大きくなると、顔の辺りにぽっかりと穴が開いた。

 あ、ヤバいなと思って、現実感の無いままに逃げようとした。けれど法子が逃げる前に影のぽっかりと空いた口に光が集い、それが放たれた。法子に向かって。

 その光が法子の直前に迫った瞬間、法子の目の前の空間が歪み、光を抑え込む。そうして光が破裂して、辺りに炎と爆音が広がった。

 そこでようやく法子の頭が現実に追いついた。

「な、何? 今の」

 困惑する法子はいつの間にか魔法少女に変身していた。

「何とか間に合った。良いから、法子逃げるぞ」

「タマちゃん、あれ何?」

「魔王だよ、魔王。遂に現れたんだ」

 炎の向こうに、更に大きくなって天井に付こうとする影とその周りに生み出された沢山の魔物が見えた。

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