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魔法少女は夜眠る
頭上には空を埋め尽くす夥しい光が輝いている。少女は人を磨滅させんとする光群を見つめ、笑う。
眼前には天を摩す様な黒い巨体が居る。その暴力的な姿を見つめ、少女は笑う。
私はここで死ぬだろう。代わりに英雄となれる。
少女は刀の柄に手をかけた。今迄の人生を振り返る。暗く辛い人生だった。孤独に埋もれて生きてきた。涙が出る位に寂しかった。
柄に掛けた指に力を込める。これから訪れる死を思う。死ぬと思ったところで何の感慨も無い。けれど死の代わりに強大な敵を倒した英雄となれる。少女の顔には笑みが浮かんだ。
頭上から破壊の力を込めた光が降り注ぐ。
それを合図に駆け出した。
孤独な魔法少女が英雄となる為に。