第10話:奇跡の夜
街の夜空は、今までに見たことのないほど鮮やかに輝いていた。
オーロラの光がビルの屋根や雪の街を照らし、空気は静寂と魔法に満ちている。
「ここまで来たんだ…」
ユウタは小さく息を吐きながら、ルビーの背中にしがみつく。
ルビーの赤い鼻が、今まで以上に強く光り始めた。
「最後の場所だよ…ユウタ」
ルビーの声には、決意と希望が混ざっていた。
二人は静かに、しかし力強く夜空を進む。
最後のプレゼントを手に、子どもたちが眠る街の家々へ届ける――。
屋根を渡り、煙突を抜け、そっと手渡す瞬間、子どもたちの夢が瞬く光のように広がる。
ユウタの胸は温かさで満ち、ルビーも鼻を光らせて喜ぶ。
「僕…やれたんだ」
ユウタの声に、ルビーは小さく鼻を鳴らして応えた。
「僕たち…本当に奇跡を起こしたんだね」
その瞬間、空一面にオーロラが広がり、街のすべてを包み込んだ。
雪の結晶が光に反射し、まるで星が降っているようだった。
ユウタはふと、母のことを思い出す。
「きっと見ていてくれる…」
涙が頬を伝い、でも心は軽く、温かく満たされていった。
世界中の小さな善意が重なり、友情と勇気が織りなす奇跡――
その夜、ユウタとルビーは、誰もが忘れられない一夜を生きた。
空を見上げる二人の背中に、オーロラの光が降り注ぐ。
すべての冒険と試練が、静かに、しかし確かに報われた瞬間だった。




