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4話 本物のメイジ

 俺は、自らの魂を強く意識した。


 なんだこの圧は!?


「はは! 耐えよる! 少年! これが本物のメイジ! その魔力じゃ!」


 ジョゼット先生はとっくに失神していた。


「どうやら! その魔力本物のようじゃのぉ! どれ、もう一段階解放するか!」


 何!?


 その時。


「おやめください! 叔母様!」


 影。白い影が俺とイェルディス様の間に割り込んだ。


「フィー!?」


 不味い!

 

 俺は、フィーを庇う。


「フィー! 邪魔をするな!」


 圧が、消えた。


「このものは私の使い魔です! 庇うのは当然のことです!」


「しかし、現実には主が庇われておる。その使い魔には主は不釣り合いじゃよ」


「では、私がこの使い魔に相応しいメイジに、魔法使いになってみせます!」


「主のような矮小な魂で何が」


「それでも! 私は!」


「あーもう良い! わかった! 主は昔から、強情だからのぉ。面倒くさいわ」


「ほっ! よかった」


 よくない! ここからが面白いところだったのに!


「何か不満そうね」


「別に」


 あの圧倒的な圧の限界に興味があった。


「いい目じゃ。主は、メイジとしての素養がある。主の学園への編入を許可しよう!」


「お、お待ちを!」


「なんじゃフィー。これ以上私を煩わせるな」


「先程申し上げた通り、このものは私の使い魔です! それに、学籍を与えるのですか!?」


「そうじゃ。何か矛盾があるかのぉ? 前例はないことじゃがな」


「それは……」


「そのものは主よりも遥かに才能がある。それを主の下僕とするのは余りにももったいないことじゃよ」


「私よりもこの平民の方が才能があるですって!?」


「当たり前じゃろ? 16年の人生で碌に魔法の扱えない小娘とたった2時間の語らいで魔法を習得したものの才能など比べるまでもない。それに、そやつは天号のメイジである私の魔力に見事耐えたことだしのぉ」


「そ、そんな……」


「そのものはこの学園内に限り他の生徒と同列に扱う! 以上!」


◇◆◇◆


「部屋については暫く同衾じゃのお」


「な!? 間違いが起こったらどうするんですか!」


「主の胎から、優秀な魔法使いが産まれれば御の字じゃのお」


「わ、私とこの平民をくっつけようですって!?」


「既に公爵家の恥。平民に嫁いだところで然程問題になるまいて」


「お、叔母様!?」


 えー? なに? 俺は、フィーを好きにしていいってこと?


 そんな気さらさらないが。


 イェルディス様の眼光はそれを見抜いているようだった。


◇◆◇◆


「本当に最悪! 私よりもこの平民の方が、才能があるですって?」


「天号? とかいうなんか凄そうな人のお墨付きじゃん?」


「凄いなんてものじゃないわ! この国で最高位の栄誉よ! 天号は!」


 ふーん。


「じゃあ揺るぎようのない事実ってことだね」


「くっ!」

 

 相当堪えたようだ。この話を掘り返すのはやめておこう。


 そんな時だった。廊下の角から彼女は現れた。


「やぁ!」


「メアリお姉さま!?」


◇◆◇◆


 また銀髪金眼だ。フィーが長髪なのに対して、現れたメアリさんはセミショートだったが。


「何をなさりに? お姉さま」


「可愛い妹の使い魔が魔法を使えると聞いてね。気になったから」


 踊るような言葉尻だった。


「その人がフィーの召喚した使い魔の平民?」


「そ、そうですわ! お姉さま!」


「ふぅん。それなりの素養はあるみたいだね」


 見ただけで魔法の素養がわかるのかよ。恐ろしいな。イェルディス様だって、魔力を解放して才能を測ったのに。


「でもそれだけ。やっぱりフィーはフィーだね」


「ど、どういう意味でしょう?」


「落ちこぼれ」


 バッサリいった。



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