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2話 最悪なお披露目

 俺は、彼女の寮の部屋へと案内された!


「改めて自己紹介するわ! 私、フィー・ヴァイストイフェリン! アンタのご主人様よ」


「地切ハク。ハクって呼んでくれ」


 定番なら、戸惑う場面なんだろうなぁ。


 生憎俺は、定番の異世界召喚主人公じゃないので、色々諦めて飲み込むのだが。


「アンタ。色々と苦労しているみたいだな」


 退学寸前になったり。進学校で中の中の成績だった俺にはわからない事情だ。


「そうよ! 私の魔法は何故か失敗ばかり! 貴方が召喚されなきゃ退学処分になっていた! 一応感謝をしておくわ!」


 色々耳障りだなぁ。しかし、面はいいし、幻想的なので受け入れるのだが。


「何か失礼なことを考えなくて?」


「さぁね」


「まったく信じられない! まさか人間のそれも平民を召喚しちゃうなんて!」


 なんてテンプレートな台詞なんだ。


 だが、彼女が呼ばなきゃ俺は、死んでたわけだし。


「まぁ。慌てなさんな」


「貴族への礼儀がなってない!」


「これでも、感謝してるんだけどなぁ」


「は? 感謝?」


「アンタが呼んでくれなきゃ俺は、死んでた。だから、感謝」


 やっぱり死ぬのは嫌だな。改めるとそう思えてきた。


「あんがと」


「ふ、ふん! ヴァイストイフェリン公爵家の娘に召喚されたことを光栄に思いなさいよね!」


◇◆◇◆


「何処に連れていくんだよ!」


 彼女の白い手が俺を引っ張った。


「授業に決まってるでしょ!? このままじゃ遅刻しちゃうわ! もっと急いで!」


 なら、


「ちょっと! 何するのよ!」


「アンタが俺の手を引くよりも、こっちの方が早い!」


 俺は、彼女の足を払い、バランスを崩すと、抱き上げた。


 所謂お姫様抱っこの形だ。


「いくぞ!」


「ちょっと!? きゃあ!」


「教室はどれ?」


「一番奥!」


 はいよ!


 俺は、その教室のドアを蹴り上げた。


◇◆◇◆


「何事ですか!?」


 壮年の女性の声だった。


「ミスヴァイストイフェリン!!! 貴女ですか!」


 どうやら、先生のようだ。


「違います! これは使い魔が勝手にやったことで!」


 耳目が集まっているのがわかる。


「落ちこぼれのフィーが使い魔を召喚したってのは本当だったのか」


「でも平民よ!」


「平民も制御できないのか。アイツは」


 とフィーが揶揄われているのもわかる。


「あ、アンタ! なんてことしてくれるのよ!」


「仕方ないじゃん。授業に遅刻するところだったんだから」


◇◆◇◆


 そんな一幕の後に授業だ。


「皆さん先日の使い魔召喚の儀式見事でした! 私は、皆さんが進級できたことを誇らしく思います!」


「百回も挑戦して平民召喚した落ちこぼれもいますけどね!」


 ある男子生徒だ。仕方ない。事実だ。


「アンタ。ご主人様が馬鹿にされて悔しくないわけ?」


「生憎、俺は、アンタを恩人と思っているが、主様とは思っていないんでね」


「な、なんですって!?」


「ミスヴァイストイフェリン! 授業中の私語は慎みなさい!」


「も、申し訳ありません!」


 その様子をケラケラ笑ったら、脛を蹴られた。厚底ブーツだから、いてぇ。


「皆さんには今日改めて、魔法とは何かと講義します。基本だからと聞き流さないように!」


「「「「「はい!」」」」」


 お優しいことで、進学校なら有り得ない出来事だ。あそこでは基礎などはできて当たり前のことと切り捨て、どんどん先に行くから。


 まぁ、この世界のこと、魔法のことを全く知らない俺には好都合なことだ。


◇◆◇◆


「魔法とは魔力を起こして起こす様々現象のことです」


 先生の右手から小さい炎が上がった。


「魔力とは人類のごく一部、貴族にのみ与えられた力です」


 へぇ。平民には魔力がないんだ。で、魔力のあって、魔法の使える貴族たちが世界を支配していると。ラノベの世界まんまだな。


「魔力を起こすには、自らの魂を意識するのです! 皆さんもやってください!」


 すると、生徒たちが目を閉じ始めた。


 何やら圧を感じる。これが魔力か。


 となりのフィーとか、白髪少女からはあまり圧を感じないが。


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