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第3話 行儀見習い。

少しばかりの荷物とお父様から預かったお土産を持って、おばさまの嫁ぎ先のジーモン侯爵家に王都にある屋敷から向かう。王都から見て北部になる。北街道を3日くらい進んだところ。

穀物の一大産地で、安定した裕福な家。そのせいか、おばさまご夫婦も、使用人もおっとりしている。父に言わせると、おばさまは小さい時からおっとりしていたみたいだから、ぴったりの雰囲気のところに嫁いだんでしょうね。


屋敷に着いて、使用人部屋で荷物を片づけて、お仕着せの侍女服に着替えておじさまとおばさまにご挨拶に向かう。


「まあまあ、アンネ、久しぶりね。わざわざ侍女服まで着なくても…」


おばさまはそう言ってくださったが、そもそも着替えもそんなに持ってこなかった。一からしごかれて来い、と父が言うので、おとなしく侍女職に徹するつもりだ。

とりあえず…ほとぼりが冷めるまでは…


侍女としての仕事をこなしつつ、おばさまがドレスの選び方や宝飾品の合わせ方、それこそお化粧の仕方から、帳簿の見方や歴史の勉強まで…教えて下さる。家庭教師に学んだことの実践編、と言ったところか。


「もっと早くにね、アンネをよこしたら?ってお兄様には言っておいたのよ?あの人、貴女を手放すみたいで、さみしかったんでしょうね。」

「……」

おばさまが、座った私の髪を梳きながら、髪型のアレンジを教えてくれる。


そんな風に、いたってのんびりと暮らして一年後、私の従弟に当たる侯爵家嫡男ランドルフの婚約が調い、アーベル子爵家の令嬢、マルガレータ様が行儀見習いに来ることになった。

どうも…まだ学院に在籍中のランドルフが婚約を急いだらしく、まだ15歳。この国での正式な婚約は16歳からになるから、囲い込み?みたいな感じか?やるな、ランドルフ。


やってきたマルガレータ嬢はこれまたほんわりした感じの丸顔の少女。髪は綺麗なこげ茶がウエーブをつくっている。くりんとした茶色の瞳。


「よろしくお願いいたします。マルガレータと申します。」


うん。守ってあげたくなる系の、可愛らしい小動物系?

私はお嬢さまの専属侍女になり、お嬢さまと一緒に行儀見習いを続けながら、これまたのんびりとした日々を送った。ランドルフは学院の生徒会の仕事が忙しいらしく、お嬢さまあての手紙はよく来るが、本人はなかなか帰れないようだ。


お嬢さまが16歳になって、春の舞踏会でデビューするときは、おばさまに誘われたが、お留守番した。

誰に合うかわからないしね。


お嬢さまは奥様が用意したデビュー用の白いドレス。リボンは薄いブルー。

仮縫いの時に拝見したが、とてもお似合いで可愛らしい。





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