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第13話 手紙。

朝食後にクルトと教会に行く。日曜の礼拝には村人が集まってきていた。

前の方の席にマルちゃんがヤン爺さんの家族と来ているのが見える。声は掛けなかった。


帰り道に雑貨屋によって、切れていた調味料を買い込んだ。

「クルト?おめえに手紙が来てるぞ。ほれ。」

雑貨屋のおやじからクルトが手紙を受け取る。ここは、こうやってこの村の郵便物も扱っている。手紙を出したり、預かってくれたり、荷物も出せる。

「ありがとう」

そう言ってクルトが受け取った手紙は、ジーモン侯爵家の奥様からだった。


「なんだって?」

「ん?」


木陰に入って並んで座って、クルトが開いている手紙をのぞき込む。

「あーランドルフ様がこっちに来るみたいだな。ん?今日あたり着くな。お嬢様の兄上も一緒に来るみたいだ。」

「あらまあ。やっぱり来たわね。マルちゃんのお兄さんは何度かお屋敷で会ったことがあるわね。坊ちゃまの同級生で、一緒に学院に行ってるのよね?」

「そう。」


奥様の文面は、とても慌てているのが伝わる。まさかマルちゃんがちゃんと家賃を払ってくるようなことにはならないと思ってただろうし…。

クルトが広げている手紙をよく見ようと、身を乗り出す。


「修羅場かしらね?」

「あの二人に限って、修羅場は無くない?話し合いって言えよ。一方的にマルちゃんさんが婚約解消するっていっても、坊ちゃまにしたら納得できないだろうからな。」

「そうよね…」


「あら、まあまあ。あんたたちってホント仲いいのね。まあ、駆け落ちしてくるぐらいだからねえ、当たり前かあ!」


急に声をかけられてびっくりする。

朝市を終えたパン売りのおばちゃんが荷物を一輪車に積んで通りがかったようだ。にやにや笑いだ。

クルトは顔を真っ赤にして、身を乗り出していた私の顔をそっと押しのける。ん?


「あはは!そうなんです!なにせ、駆け落ちですから!!」


顔を押しのけられながら私がそう言うと、クルトが頭を抱えた。変な奴。話、合わせろよ。



*****


その日の夜に着いたランドルフ様とマルちゃんの兄上を、とりあえずキープしておいたマルハウスの2階の客室に泊まってもらうことにする。マルちゃんは家に帰った後だったし、長旅の後だし。お二人は、ちょっといいところの商人の息子風の服装。


「次の休みまで1週間待てますか?」

お茶を出しながら聞いてみた。なにせ、平日は朝早くから子供を預かるので忙しい。ゆっくり話をしている暇はなさそうだし。

「いいぞ。1週間でも、2週間でも待つ。」

ランドルフ様がそういうと、どうしたわけかクルトが喜んだ。

「1週間でも、2週間でも?お手すきなんですね?」

「あ、ああ。」


次の日の朝から…客人の二人は、クルトに森につれて行かれ、連日木を切っているようだ。


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