第04話「友達になろう?」
ユアン・モルガン13歳。
スキル【回復魔法】の使い手。
スキルが僕の頭に焼き付いた瞬間に、僕に浮かんだものがある。
一つは、スキルの知識。
一つは、人体・動物の体の朧げな構造。
そしてもう一つは、強烈な被虐心。
人の体を壊し、潰し、そして治したい。
その為に僕に必要だったのは「人体の構造をより深く理解する事」
その為には、壊し、潰しても簡単に死なない対象が必要だった。
人間の体を切り刻みつぶして行くと、普通は痛みで大きな障害が出る。
その為に、相手の痛みを取り、眠らせる【睡眠】のスキル持ちが必要だった。
その、スキル持ちはと言えば・・・
「ひぐぅ、がふっ・・・」
嗚咽を漏らし、泣いていた。
爪を剝がれ、指の骨を潰され、手を折られ、痛みで気が飛びそうになると【回復魔法】で治される。
そして【回復魔法】を掛けられるととてつもない快感が身を襲う。
いつしか、エフィは【回復魔法】を心待ちにするようになった。
恐ろしいのはそれだけではなかった。
最初は爪を一つ剝がされ、治されるまで5分ほどかかっていた。
しかし、両の手足の爪を剝がされ治されるまで今では1分程しかかかっていない。
「成程、爪の構造と言うのはこうなっているのかぁ。実際に見てみるとやっぱり良く分かるなぁ」
「あんまり動かないでくれよ。まだ骨の構造を良く分かってないから治すのに時間がかかっちゃう」
正直、何を言われているか良くは分からなかったが、相手が恐ろしいと言う事は良く分かった。
それこそ、鞭打ちをしてくる牢獄長など可愛いものであることが。
昼の鐘が遠くで鳴るのを聞いた時、何度目か分からない爪剥ぎからの治療が終わり、痛みと快感の中エフィは遂に意識を飛ばした。
◆◆◆
ユアンにとって、これは一粒で二度美味しいチャンスであった。
一つ、実際に切り刻み治す過程で人体の構造をより深く理解し、【回復魔法】を進化させること。
一つ、エフィを屈服させ、仲間にすること。
「あれ?エフィ??あー、遂に意識失っちゃったか。まだまだ加減が良く分からないなぁ」
まぁいいや、と呟くと僕は一眠りすることにした。多分1時間ほどで目を覚ますだろうしね。
きっちり1時間後目を覚ましたエフィはどこかスッキリとした表情で僕に御挨拶してくれた。
「ユアン様、否、ユアン・モルガン様。私エフィを如何様にもお使い下さい」
にぃ、と悪い笑みを浮かべた僕に向け、彼女は身をよじり震わせながら続けた。
治療をもう一度お願いいたします。