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再:梅16「船出」「特技」
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◇船出
「君にしかわからない何かがきっとある」
私は船上のデッキで、風に吹かれながら彼の言葉を思い返していた。突然決まった船出、手渡されたチケット。これは現実なのか。
私をじっと見ている海鳥の存在に気づく。
あぁ、この鳥はお見通しなのだろう。この先に起こる事も、手提げ袋の中にパンがある事も。
◇特技
あらゆる仕事が集まるこの場所は、いつも大勢の人々で賑わっていた。
長い待ち時間を経て、私の順番がきた。
数分後、私の集中力は風前の灯火となっていた。体が無になると心まで無になるらしい。得意な事を聞かれた時、透明になるべきではなかった。その上、戻る方法を忘れたなどと言えるものではない。
Tw140文字小説