表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

コメディーの棚

突然彼女に「婚約破棄していい?」って言われたんですが

作者: 徳田タクト




「ねえ……婚約破棄していい?」



 ある日、俺がスマホゲームに集中していると、さとみが言ってきた。


「は……え?な、なんで?」


 俺は突然のことに驚き、手に持っていたスマホを床に落とした。


「なんでって……いや、もうダメでしょ」


 1ヶ月前、俺は恋人のさとみにプロポーズした。さとみは嬉し泣きしながら、俺のプロポーズをオッケーしてくれた。

 ……確かに、結婚式の準備やらで、ちょくちょく言い合いみたいなものはしたりしてるけど、婚約破棄されるほど大喧嘩した覚えはない。


「ダメって……そんな突然……」

「へ?いや、前から言ってるじゃん。なかもう無理っぽいって」


 そんなこと言ってたっけ?俺、何で覚えてないの?もしかして、俺が酔ってた時にさとみはそんなこと言ってたのか?てか……婚約破棄って。もうダメって……なんだよ。何でだよ。

 俺は膝から崩れ、床に四つん這いになった形で絶望した。


「……何?龍生たつきが悪いんでしょうが。何でそんな絶望してるの?」

「悪いって……俺……俺、なんで……」


 突然の強いショックに、俺はうまく話せなくなってしまった。


「そこまでショック受けること?とにかくまあ、もう無理みたいだから」


 そう言ってさとみは、くるりと俺に背を向けた。俺は慌てて立ち上がり、後ろからさとみに抱きついた。


「……っ!待って!お願い、捨てないで!!」

「へ!?いや、どんだけ嫌なのよ!新しいの探せばいいでしょ!?」

「嫌だ!!新しいのじゃ嫌だ!お願い、捨てないで!!!謝るから!!お願いだから捨てないでくれーーー!!!」

「なんなのもう!あーもうわかったわよ!!じゃあどうぞご自由に!もう、早くどうにかしてよね!」


 そう言ってさとみは、俺に何かを渡した。

 蒟蒻こんにゃく──だった。


「……へ?蒟蒻?」

「そんなに大事なものなら、期限内で食べればよかったのに。前から『早く食べないと、そろそろ期限ヤバイ』って言ってるのに。期限切れてるからって捨てようとしたら、『消費期限じゃないから大丈夫だよ。俺が責任もって食べるから置いといて』って言って聞かないし。でももう、なんか色が変わってるからさすがに食べるの無理っぽいかな~って。だから『この蒟蒻、廃棄していい?』って聞いたの」

「蒟蒻……こんにゃく、こんやく……婚約?破棄……はき……はいき……廃棄?蒟蒻廃棄?婚約破棄??」

「なに、どうしたの?」




 数か月後。俺は婚約破棄されることなく、さとみと無事結婚することができました。



 


 終り。

私にほんまもんの婚約破棄系は書けません(笑)

お読みくださりありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
あわわわぁ~♪ 面白かったのぉ! 菜乃もきっと(今後も) 婚約破棄系は書けまヘン(∩´∀`)∩ こんにゃく……お腹の中のお掃除してくれるって聞いたことあるなぁ……いやぁ~そろそろ、おでんとかいいなぁ♡…
ちょっと面白半分でなろうの小説検索で「こんにゃく破棄」を検索したら8作品ヒットしたw
良いですね~。 オチもさることながら、セリフ一つとっても、何かリアルな彼女彼氏感があって。 何と言いますか、身体の動きとか触れた時の柔らかみとかが、目に浮かぶ様な感じがして、とても不思議なのです。 千…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ