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18、修学旅行


 朝の7時に学校に集合して、点呼を終えると出発前の先生たちからの注意事項を聞いてバスに乗り込んだ。

隣の席は壮亮だ。席に着いてすぐに、眠いと言って寝始めた。

窓の外を眺めながら駅に向かった。

駅について壮亮を起こしてバスを降りた。

そのまま新幹線のホームに行くと10分もしないうちに新幹線が来た。

出席番号順の席に座った。


そのまま東京に向かって、着く頃には昼前になっていた。

昼ご飯は公園で弁当を食べて、そこからはクラス別でバスで移動する。

最高裁判所に着いて、いくつかのグループに分かれて説明を聞きながら見学をしたり裁判官の座る席に座らせてもらったり衣装を着てみたりと結構色んな体験ができた。


見学ツアーが終わるとバスでホテルに向かった。

ホテルに着いて荷物を持って並んで部屋ごとにカードキーを渡される。

俺と壮亮と閑也の3人部屋で、室長である閑也がカードキーを受け取って部屋に荷物を置きに行った。

3つベッドが並んでいて、壮亮は私服に着替えてすぐにベッドにダイブして寝始めた。

どんだけ寝るんだよ。

まあ、志望校が難関大学だしもう既に受験勉強で忙しそうだからそっとしておくか。


「そういえば、明日の自由行動って颯真は誰と回ることになったんだ?」

「C組の子」

「女子?」

「まあ。閑也は?壮亮と誰と回るんだ?」

塚田(つかた)とミヤとてっちゃん。女子誘いたかったんだけど、てっちゃんが男だけも楽しいだろって」

「確かに。それはそれで楽しそう」


俺が頷くと、閑也は惚気かよと肘で小突いてきた。


夕食の時間になって食事会場に向かった。

部屋ごとに席に着くと、既に夕食が並べられていた。

プレートにハンバーグや魚のフリット、アスパラのソテーなどが盛り付けてある。

デザートにはフォンダンショコラまであった。

さすが東京のホテルだ。


写真を撮って蓮晴たちに送りつけて自慢した。


夕食を食べ終えて部屋に戻ってすぐに大浴場に向かった。

クラスごとに時間が決められていて、男子の多い理系クラスは一番最初だ。

大浴場に着くと隣のクラスの絢斗に会った。

絢斗も一緒にシャワーに行って露天風呂に浸かった。

夜空を眺めていると、壮亮が俺と絢斗を見比べた。


「颯真、何で筋肉ついてんの?絢斗は合気道やってるからまだ分かるけど、颯真が運動してるとことか想像出来ないんだけど」

「失礼だな。俺だって筋トレくらいするよ。夏に海行ったから、その前に筋トレしててそこから続けてるから」

「颯真が筋トレって意外だわ」


まあ、茉優にヒョロいって思われたくなくてやってたらルーティーンになっただけだけど。

時間になって大浴場を出ると、茉優たちと鉢合わせた。

茉優と一緒に八尾さんもいて喋りながらエレベーターに乗った。


「え、茉優の部屋、男子来るの?」


え!?

茉優の方を見て笑った。


「C組の男子?」

「ううん。A組の人。まあ、私は人見知りな方だからどうせ隅でいるだけだけど」

「じゃあ、茉優は私の部屋来る?私、2人部屋だけどもう1人休みで1人なんだよね」

「なっちゃん大好き!ババ抜きしよ!」

「昨日したじゃん」


八尾さん、ありがとう。

まあ、八尾さんは茉優のために言ったんだろうけど。

茉優、さっきちょっと嫌そうに話してたし。

お菓子取ってくるねと言って、茉優はエレベーターから降りていった。

八尾さんは茉優たちより1つ上の階で降りた。

俺と壮亮と閑也と絢斗はそのさらに上の階でエレベーターを降りる。


部屋に戻って壮亮と閑也はお菓子を取り出した。

お菓子の袋を開けて、窓際のテーブルに置いた。

お菓子を食べながらテレビを見た。


「服部さんって、可愛いよな」


そう言われた瞬間、気管にカスが入ってむせてしまった。

壮亮と閑也はニヤニヤと笑って俺の顔を見ていた。

視線を逸らすと、まあまあこれでも飲んでと缶ジュースを渡してきた。


「颯真、やっぱり服部さんのこと好きなのか?」

「もしかして付き合ってたり」

「………」


もしかしたら、隠してるつもりで全然バレてるかも。


「そんなに、分かりやすかったか?」

「服部さんと喋ってるところを見たことがなかったから気付かなかったけど、喋ってるところを見たらそうなんだろうなって分かった」

「隠してるから、学校ではなるべく話さないようにしてた」

「なんで隠してるんだ?」

「俺と付き合ってるって知られたら嫌がらせを受けるかもって」

「あ〜」


閑也も壮亮も納得したように頷いている。

むしろ、俺が茉優と釣り合わないって言われそうだけど。

明日も、なるべく隠すつもりだけど多分バレる。

バレたら噂になって結局知られるだろう。

呼び方は服部さんの方がいいかな。

そしたら、俺が片想いしているっていう噂で済むかもしれない。



翌日、朝食を終えて部屋に戻って制服に着替えた。

9時過ぎにバスでホテルを出て遊園地に向かった。

フリーパスが配られて、次々と入園していった。


カチューシャを買いたいと言っていたので入ってすぐのお土産屋さんで待ち合わせている。

お土産屋さんに入ると既に茉優がカチューシャを見て悩んでいた。


「服部さん、何と何で悩んでるの?」

「呼び方、」


茉優がどうして?と首を傾げた。

耳元で苗字呼びの方が怪しまれないかと思って、と言うと茉優は一度目を閉じてゆっくりと開いて俺の顔を見上げた。


「もう、無理して隠さなくていいよ。ごめんね、これまで隠してくれてたのに。やっぱり、私の彼氏カッコいいし可愛いでしょって自慢したくなっちゃった」


茉優は少し照れくさそうに笑って猫のカチューシャを俺につけた。


「猫、好きだね」

「うん。やっぱ颯真似合うね。買ってくる」

「いや、自分で買うよ」

「いいの。私がつけてほしくて買うんだから」

「じゃあ、茉優のは俺が選んで良い?」

「いいよ」


茉優には色違いの猫のカチューシャを買った。


カチューシャを付けて、早速アトラクションに向かった。

すこい列。

しかも、同じ学校の制服が多い。

ずっと隠してたせいか、茉優と手を繋いでいるのが少し恥ずかしい。

けど、隣で楽しそうに笑っている茉優を見れるのは彼氏の特権なのかなって思うと嬉しくなる。


「1時間待ちだって」

「これ乗ったら昼ご飯の時間だね」

「チキンは絶対に食べようね。あと、ワッフルも」

「そうだね」


俺たちの声が聞こえたのか、背が高くて目立ったのか一組はさんで後ろにいた去年のクラスメートに声を掛けられた。

まさか、こんな近くにも並んでいるなんて思ってなくて少し驚いてしまった。


「原田と服部さん?付き合ってたの?」

「うん」

「気付かなかった。いつから?」

「内緒」

「なんだよ〜」


喋っているうちに順番が回ってきた。

トロッコのような乗り物に乗って、夜の湖をテーマにした施設内を回るアトラクションだ。

荷物を預けてアトラクションに乗り込んだ。

天井を見上げるとプラネタリウムみたいになっていて本当に今、夜なのかと錯覚してしまいそうになる。

茉優は俺の肩に寄りかかって音楽を聴きながら鼻歌を歌っている。

前と後ろと距離があるから2人きりのように感じるのだろう。

家でしか甘えてこないから珍しい。


出口が近づいてきてだんだん明るくなると、茉優はすぐに体を起こした。


アトラクションを降りて預けた荷物を受け取って、出口から出ると、同じ制服の女子生徒数人がいた。


茉優も知らないみたいだし、誰だろうと思っていると、女子生徒のうちの1人が一緒に回ってもいい?と訊いてきた。

俺は茉優と恋人繋ぎをして女子生徒たちの誘いを断った。


「ごめん。デート中だから」


え、と戸惑うような声が女子生徒たちからも茉優からも聞こえたけど気のせいだ。

それと、茉優は驚くことじゃないはずなんだけどな。


チキンを売っている店に行くとこっちも知ってる制服の行列だった。

まあ、300円だから学生としては嬉しいよね。

茉優と列に並んだ。

順番が来て、茉優はバジルチキン、俺は照り焼きチキンを買った。


一口食べるか訊いてみると茉優は大きく頷いた。

そして、俺が手に持っていたチキンにかぶりついて美味しいと笑っている。

周りからの視線が少し気になるが、茉優はチキンしか目に入っていないため気にしていないから俺も気にしないでおこう。


「次どこ行く?」

「お城の前で写真撮ろ」

「お城ってどこだっけ?」

「パンフレットあるよ」

「ありがとう」


お城の前に来て、茉優が頑張って内カメで写真を撮ろうとした。

俺と茉優2人とお城を写すのは腕の長い茉優も俺でも流石に無理があった。

どうしようかと話していると、茉優のクラスメートの女子が話し掛けてきた。

茉優もあんまり話したことがないらしく、少し驚いたように目を見開いてなに、と構えた。


女子生徒たちはそんなに構えないでよと笑って手を差し出した。


「写真、うちらが撮ろうか?お城写したいんでしょ?」

「どうする?」

「お願いします」

「おっけ」


茉優はスマホを差し出した。

ポーズはどうしようかと話していると、1人の女子生徒にお姫様抱っこは?と提案された。

茉優にいい?と訊くまでもなく、面白そうと言いたげな顔をしていた。


別に嫌なわけじゃないけど、恥ずかしいから早く終わらせたい。


茉優を抱き抱えて顔を覗き込むと、少し赤くなった顔でこっちを見上げていた。


写真を撮ってもらって、茉優をおろした。


「腕疲れたよね。ありがとう」

「別にこれくらいじゃ疲れないよ」

「颯真って意外と筋肉あるよね」

「昨日も言われたけど、意外とは余計」


顔を見合わせて笑っていると、写真を撮ってくれた女子生徒が茉優にスマホを返しに来た。

撮ってもらった写真を見ると、ついさっき茉優と顔を見合わせて笑い合っているところも撮っていた。

なんか、カップルって感じがする。

お礼を言って茉優は嬉しそうに俺に写真を送ってくれた。


写真を保存して、今日撮った写真を見返していると茉優に写真が見えそうになって慌てて隠した。

けど、それが良くなかった。

茉優はニヤッと笑って浮気でもしてるの?と訊いてきた。

そんな疑い、全くかけてないくせに。

けど、もし、疑われていたらと茉優にスマホを見せた。


「これと、これと、この写真も。消してね」

「はい、」


も〜、と楽しそうに文句を言いながら、茉優は写真を選んでいく。

今日、俺がさりげなく撮った茉優の写真は軽く50枚は超えていて、茉優が嫌だという写真はどんどん消えていく。

ただ、許可なく勝手に撮っているため、文句のつけようがない。

隠し撮りって言い方はやめてほしいけど。


「撮りすぎ」


茉優はスマホを俺に返して呆れたように笑った。


「茉優も撮ってるくせに」

「私は27枚だけだもん」

「だけって言うほど少なくないじゃん」

「颯真に比べたら少ないよ」


それは確かにそうかもしれないけど。


それから、お城の近くにある店でワッフルを買って食べた。


気付いたらすっかり夜になっていて、パレードを見てホテルに戻った。



最終日は、ホテルをチェックアウトしてから関東大震災についての講習会を受けて、昼ご飯を食べて新幹線で帰った。


あっという間な修学旅行だったけど、楽しかったな。

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