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むかしむかしあるところにーーー白雪姫が帰ってきました  作者: ミソラ


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カラバ侯爵登場

「わあ、ドラキュラ伯爵がいる! おはようございます! 伯爵!」

「カラバ侯爵。」


 ドラキュラ伯爵には敵わないものの、栗色の髪に整った顔をしたカラバ侯爵がにこにこと笑いながら手を上げて前から歩いて来た。

 いつものように後ろに猫を従えている。

 

 カラバ侯爵は粉屋の息子から猫の知力で侯爵となり、果ては先々代国王の王女を娶った男だ。

 流れで自分よりも位の高い侯爵位に収まっているのは気に入らないが、元々性格もよく、気さくなので伯爵は彼個人に悪い感情は持っていない。

 問題は彼の連れている猫だ。


 キジトラのその猫は、猫のくせに長靴を履き、二本の足ですくっと立っている。そして長いしっぽをゆらゆらさせながら、大きな目の中の虹彩を細くしてドラキュラ伯爵をじっと見ている。

 

 キバだとか夜に強いだとか、近親憎悪というのか、なにか似たものを感じて気に入らない。

 それに小さいくせにマントを翻しているのも気に入らない。

 猫は伯爵を見ると、仰々しく大きな羽飾りの付いた帽子を取ってお辞儀をした。


 カラバ侯爵が『よくできました』とばかりに猫の頭を撫で、猫も目を細めてぐるぐると喉を鳴らしながら侯爵を見る。

 あざとい。


「どうしてこんな朝っぱらから伯爵がいるんです? 焼け焦げて死にませんか?」

「……。」

 焼け焦げはしない。さらさらと灰になるだけだ。

(あいわらずズケズケと話す男だ)と伯爵は目を細める。そんな伯爵の視線には気付かず、カラバ侯爵はなにかを思いついたようにパンッと手を叩いた。

 

「そういえば白雪姫のこと、聞きましたか? 伯爵。」

「ええ。先ほど女王陛下から『なんとかしろ』と言われました。」

「うちも妻が陛下から相談されましてね。一度お茶会をしたのですがダメだったらしくて。なのでさっき猫にすりすりして来いって言ったんですけど、ヤダって。」

 

 猫は目を細めた。その目はなんとなく先ほどの伯爵の目と似ている。それを感じて伯爵はまた(気に食わない)と思った。

 

 目を細めた猫は鼻に皺を寄せ、わずかに爪を出した手を口元に持っていった。

 頭を撫でてもらっていた時とは違い、なにかを企むような表情だ。

 

「すりすりしたくなったらしてもいいが気分じゃねぇし、あんまり近づきたくねぇな。」

 

 飼い主に似て口の悪い猫だ。だが同感だと伯爵は思った。

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