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ドラキュラ登場2

「……白雪姫は美しいぞ?」

「性格が……あ、いえ、美しければいいというものではないのです。未成年は対象外です。」

「女王命令じゃ。とりあえずそなたに魔法をかけて昼間でも動けるようにするからの。」

「イヤですよ、いつ寝ればいいんですか!」

「ええい、うるさいっ。血を吸ってでもよいからそなたの言うことを聞くようにし、ヘッセン王子を忘れるように気晴らしをさせるのじゃ!」


 *


 ドラキュラ伯爵は闇夜に現れ、その美しい容姿で女性に近づき、その血を吸う。

 一度目で女性は従順にドラキュラ伯爵の言うことになんでも従うようになり二度目でうっとりして恋をし、三度目で同じ吸血鬼となる。


 血は栄養があるので月に二度吸えば足り、それ以外なら赤ワインや血の滴る牛肉を食べる。そして夜に活動し、陽の光があるうちは眠る。

 

 伯爵としては吸血鬼が増えると困るので、血を吸うのは獲物が吸血鬼にならない二度目までに止めるようにしていた。

 今は妻に一度に制限されていて、獲物を探すのがとても難しくなってきている。しかし吸血鬼の矜持として未成年には手を出さない。


 それよりも最近、ドラキュラ伯爵は街に出回っている自分の絵姿に不満があった。

 黒髪真ん中分けでぺったりした髪型、きつい吊り上がった目、裂けるように口角を上げた赤い口に牙。

 

(誰だ、見たこともないのに描いた奴は。)


 あの絵姿のせいで女性が夜外を出歩かなくなったと伯爵は考えている。絵姿が出回る前は、夜の街に繰り出すと女性がわんさかいてよりどりみどりだったのだ。


 本当の伯爵は若々しく長身でスタイルのいい体躯にさらりと風になびく漆黒の髪の毛、赤みがかった魅惑的な優しい瞳で血を吸わずとも女性には人気があった。

 

 そして妻のカーミラは嫉妬深い。

 

 カーミラは輝く銀色の髪に赤みがかったオレンジ色の瞳の美しい女性で、伯爵と同じように女性の血を吸う。

 実はカーミラは、伯爵の好みど真ん中だったため血を三回吸い、同じ吸血鬼にして妻とした獲物の一人だった。


 カーミラは伯爵とは違い、血の代わりにはホットチョコレートを飲む。そして夫である伯爵が女性の血を吸うのに激しく嫉妬し、なんとか一度で止めさせるように邪魔をしたあげく獲物を横取りしようとする。


 妻といい女王といい白雪姫といい、なぜこんなにも強い女性たちに囲まれているのか。

 少し自分が不憫になった伯爵である。


 *

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