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自覚

「ここ、やってもらえる?」

「はい」

蓮寺未華子は入社二日目にしてマニュアルを覚えたようだ。

天才。ジーニアス。だが、蓮寺未華子は「欠点」を持っていた。恋愛的に。

昼も野菜ジュースしか飲まないのである。これが欠点ではない。

蓮寺未華子がいた休憩室に山田太郎が入室した。

「凄いね。蓮寺さん。」

山田太郎も蓮寺未華子の天才さに感心していた。千ページ近くあるマニュアルを二日で覚えたのだから。

「いえ。これくらい簡単です。」

表情も変わらない。山田太郎は無意識のうちに情が湧いた。

そしてその「無意識」を自覚するのはいつだろうか。それは時間が解決するのであり、更に別の意味で「意識」することとなる。

とても綺麗で可憐なその容姿が昇給の「欲望」よりも優先されている。昇給が山田太郎の「欲望」であることには変わりないのだが。

「いや凄いよ!教えて欲しいくらいだ。」

そう、まだ山田太郎は勤続年数二年でもマニュアルを丸暗記していないのだ。しかも、マニュアルは日々変わる。

「視れば良いのです。」

淡々と髪を耳に掛けながら口から発した。何かを隠しているのだろうか。蓮寺未華子は山田太郎の目を一瞬見た。

最初に話し掛けた時も、異動してきた後も、一度も目を見たことがない。だが一瞬ではあるが、今初めて目を見た。

山田太郎は普通の女性(ひと)ではないとわかっていたが、今の出来事で完全に察知した。

この人は何かを隠している。

俺に何か用がある。それも特別な用。そして、人生が変わる出来事を起こすような、凄い何かが。

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